【 其の三・転 】

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『おはよう諸君。半月が経った』

 自室で目を覚ました頃に、唐突に主催者の声は脳内と、シーカーのログとして現れた。

『ここでゲームを盛り上げるために、今回はとっておきの情報を公開しよう。全色スキルの秘匿されし能力の開示。例外なく、全てだ』

 シーカーを通して、ぼくの目の前に一覧が描画される。

 それは九つの色、全ての能力の紹介だった。


【基礎】色は紫色。能力は、生活スキル取得によるポイントの消費を半減する。


【栄光】色は橙色。能力は、自身への【暗殺】の無効化。


【勝利】色は緑色。能力は、対象へ拒否権のない強制【決闘】の行使。


【美】 色は黄色。能力は、色なし殺害時のペナルティを無効化。


【峻厳】色は赤色。能力は、自身への攻撃スキルの無効化。


【慈悲】色は青色。能力は、毎日追加されるポイントにプラス一増やす。


【理解】色は黒色。能力は、対象へ物理的接触による色鑑定。


【知恵】色は灰色。能力は、攻撃スキル取得によるポイントの消費を半減する。


【王冠】色は白色。能力は、対象へ物理的接触による色の強奪。


 ――さまざまだ。

 全ての能力を見ていくなかで、直感的に感じる有利不利から、目が惹かれるほど率直に強いと思えるほどの能力がある。

 ペナルティを犯した色持ちも今まで能力の開示は同時に行われてきたけれど、今回は全て。だからこそ余計に、樋笠練の持つ灰色が九つの色の中でどれほど優秀なものだったのか、そして詩織さんの持つ赤色はどれほど有利なものなのかを思う。

 そして、ぼくはたった一つ、白色のその能力に、一つの救いのようなものを考える。

『現時点で生き残っている参加者の数は三十六名だ。以上で通達を終える』

 ……思ったよりも人数が減っている。

 消えた主催者の声に、暫し呆然とベッドの上で俯いた。

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