あこがれの女教師は娼婦(その45)
脇坂亜紀良様
何の証拠もないのに、友達を殺人者として断罪しようとするのか?
・・・あなたは、そうおっしゃるかもしれません。
これは、オセロのようなものです。
黒石をひとつ置いただけで、6つの疑惑がすべて黒(有罪)に替わるのです。
警察官でも検事でもない私は、あなたが楽しんだ殺人ゲームのからくりを、頭の中だけで想像して暴くだけのことです。
森本くんは、高校生のころから川崎くんに恋焦がれていました。
交換留学生としてサクラメントの高校までもついていこうとしましたが、それはうまくかわされてしまいました。
彼のリビドーは、川崎くんに向かっていたので、美祢子先生にではありません。
美祢子先生に恋焦がれていたのは、・・・あなたです。
先生が週末にD坂で娼婦として客を引いていると知ったあなたは、その噂を流すことによって、先生にあこがれる私をライバルから蹴落とし、同時に森本くんをけしかけたのです。
単細胞の森本くんは、すぐにサラリーマンに扮装してD坂へ向かいました。
先生をラブホテルに連れ込んだ森本くんは、すぐにあなたに連絡しました。
すぐにD坂のラブホテルに駆けつけたあなたは、あとで女を呼ぶとか言って、3階の別の部屋にチェックインし、森本くんと入れ替わりで先生の部屋に入りました。
でも、うまく出来なかったあなたは、そちらの要求が非常に高い先生になじられたのではないでしょうか?
逆恨みしたあなたは、偏執的に先生を切り刻んで殺した・・・。
森本くんから、川崎くんと私に跡をつけられたと聞き、あなたは目撃者がいたと警察にたれ込んだ。
・・・卑怯にも、森本くんに先生殺害の罪を着せようとしたのです。
川崎くんが、『先生といっしょにホテルに入ったのは森本くんだ』と証言しなかったので、森本くんは助かりました。
殺人者は決して救われません。
罪の意識が深ければ深いほど、・・・悪いことをしておきながら、警察に捕まって断罪され、世間にその罪を知られるのを恐れるものです。
特にプライドの高い知性のひとほど、その傾向があります。
知性がある割には、幼稚な見え見えの画策に走るのですが・・・。
あなたは、森本くんを猟奇的連続殺人者に仕立てあげて罪を逃れようとしました。
歌舞伎町のバッテングセンター裏のラブホテルで殺人があると私に殺人予告を送りつけ、森本くんと同じ扮装でデリヘル嬢を殺し、私を目撃者にしようとしたのです。
歌舞伎町のデリヘル嬢ともうまく出来ずに、やはりなじられて笑われたあなたは、彼女を偏執的に切り刻んだ。
それとも、猟奇的に娼婦を殺す快感に酔い痴れたのでしょうか?
・・・これは、想像でしかありません。
歌舞伎町ではうまくいかなかったので、次に新宿中央公園の殺人では、ふたりで出かけるように仕向けました。
これだと、確実に目撃者が確保できます。
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