第5話 バッファローのお肉!

 東海岸村から旅立って30日経った。

 豊富な食料も200人近い人達に消費され、豆のごった煮とカフと言う黒く苦いお茶がもう10日続いてる。

 魚の乾物ひものは旨い旨いと、皆が大量に食った為最初の5日で無くなった。


 食べ物が有るだけ有りがたいが、豆は流石に飽きて来た。

 砂と岩の大地から草原に所々ひねくれた灌木が生えた地が続いてる、おそらく川が近くに流れてる。

 灌木しか無いのは、広い平地のこの辺り頻繁に川が氾濫し流される為と推測される。

 水飲み場にはバッファローや獣が集まる。

「近くにバッファロー美味しい肉が居る」

「おう!お肉は有り難いがバッファローとは何ですか?」

「コロボスさん、牛は分かります?毛むくじゃらの巨大牛なんです」

「牛!ビーフは大好物です!早速狩りに行きましょう!」


 ガラガラ騒音を立てる幌馬車が近付く前に、獲物は逃げてしまう。

 狩りをするなら少人数で移動するしかない。


 コロボス達には6台の幌馬車で円陣を組み、野営体制で待機していてもらう。

 狩りに向かうのは、案内出来る私にホップ、ワイアット師匠とチャックさん、遠目が利き繊細な射撃が出来るサミットの5人で向かう事になった。

 イディアの戦士は男だけだが、私が酋長になった移民族は男女関係無く、戦う能力があれば戦士と認める。

 出来ればコロボスに酋長をやって貰いたかったが、二対一の勝負で圧勝した私に代表者になって貰いたいとの移民全員の希望に応えるしか無かった。


 極小民族の移民族では、人材が少なく男だから女だからと言って居られない、適性があれば誰でも何にでもなれるし推薦もする。

 川は近いとホップが言ったように、数分歩いただけで広くゆるやかな流れの川が見付かった。


⦅バッファローが居た!⦆

 皆に小声で伝えた。

 バッファローだけで無く、鹿に野生馬も居る。

 200人弱が腹一杯肉を食べるには、最低2頭は狩らないと……ライフルのチャックさんにホップとサミットで1頭ずつ狙ってもらう。

「俺が帽子をおいて、1、2、3で一斉に撃つ」

 簡単に打ち合わせして、3人は伏射の姿勢になり獲物を狙う。

 チャックさんが帽子を置いた。

 銃声が一つに纏まって聞こえた。

 バッファローが3頭倒れ、水飲みに集まった獣が駆け出した。


 私とホップにサミットが、バッファローの首を切り裂き血抜き処理をしている間に、コロボスさんが解体が出来る人達と、食肉運搬応援を連れて来た。


 職人芸だな!バッファローの皮が剥ぎ取られ、内臓を取り出し胃や小腸大腸の内容物の洗浄、心臓の血抜き洗浄、運搬応援が運んで行った。

 革職人は、剥ぎ取った皮の内側の脂肪や肉をナイフで取り除いて居る。

 川に浸け水洗いして仕上がったようだ。

 この後なめすのが大変な作業だが一段落したようだ。

 綺麗で手早い流石巧み技術者!バッファローの毛皮は、ジャイアン族でも重宝してる。


 コロボス移民団は後続こうぞく移民の足掛かりになる拠点作りに、各種その道の巧み技術者が揃った優秀な集団だった。


 仕上がった毛皮3枚を運ぶ手伝いをして、野営地に戻った。

 辺りは既に旨そうな臭いが充満してた。

 肝以外の内臓の濃厚なゴッタ煮に、塩コショウだけの肉の旨みの焼き肉、スペアーリブにバックリブ骨付き肉を焼いた物、新鮮肝臓は薄切りにして生食。


 旅を始めて、初めての豪華晩飯だった。

 料理人も特別優秀な人材で、味はとびきり旨かった。


 森と川が有り、豊富な獣の生息地どの種族の所有地でも無い、この地を拠点とし町作りを始める事にした。

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