第4話 幌馬車隊西へ

 大型船の甲板に上がると、軍人と思われる男5人が縛られて転がってた。

「私達移民団は軍人とは無関係です、この『迷走フラフラ号』で移民用機材を持ってやって来ました。軍人は私達の安全の為の護衛ですが、住み易そうな大陸にたどり着いて欲が出たようです」


 イゲレスと言う島国から出航したそうだが、帰りの海路が分からなくなるほどフラフラ迷走したらしい、船の正式名は『メイホラバー号』だそうだが、『迷走フラフラ号』としか呼ばなくなって久しいそうだ。


 この帆船が唯一接岸出来る漁港に向かって貰い、接岸した。

 陸の方が僅かに低いが、桟橋を掛けて機材が陸揚げされてる。


 落ち着いたころ、フックは侵略犯罪者の主犯として処刑した。

 残った6人の軍人は奴隷として扱う事を宣言し、あらがった一人を処刑、残りの5人は従順になった。

 船の備品に、奴隷用の手枷足枷が何故か有ったので装着させた。


 コロボスは迷惑をかけた詫びに、手に持てる大砲をくれた。

『ハンドガン』と言うそうだ。

 ワイアットって人がガンの撃ち方手入れの仕方を指導してくれた。

 私は『ハンドガン』に魅了された。

 ホップはハンドガンで無く『ライフル』と言う長いガンを貰い、チャックと言う名人に指導してもらってる。


 機材の組み立ても順調に進み『幌馬車』と言う乗り物に変わった。

 痩せ細った馬2頭も回復は順調だけど、元は6頭いたそうで長い船旅で4頭死んだらしい、死んだのか殺して食料にしたかは語られなかった。



 ジャロが連絡して30日程が過ぎたある日、ジアン大酋長と兄のジャイとイアンがやって来た。

 ジャロはコロボスの頼みで、馬10頭の代金として金貨が詰まった革袋を持って行った。

 ジャイとイアンは確かに馬10頭連れて来たが、一目で乗馬に適さない駄馬を連れて来てる。


「ジアン大酋長、その駄馬では金貨半分返して貰う!」

「無能!誰が口を開いて良いと言った!!」

「ジャイは黙ってろ!村長として、大酋長に正式な取引をして居る」


「シャイアン?村長とおだてられ、冗長じょうちょうしたか?それほど言うならジャイとイアン二人と勝負せよ!勝てば金貨全て返し、馬は無料でくれてやる!」


「大酋長として、言った以上取り消しはせんだろうな!その勝負了承した!ジャイ!イアン!かかって来い!!」

 勝負の前に相手をあおるのは戦略手段せんりゃくしゅだんだ。

 無能と侮った二人の兄は、無謀に突進してきた。

「自爆電撃弱!!」

 一瞬で勝負は決まった。

 ジャイとイアンは泡を吹いて倒れて、ヒクヒク痙攣けいれんしてる。

「ジアン大酋長!私の圧勝、金貨を返して貰う!」

 

 無能と思われてる私の圧勝は信じられないようだった、暫く無言で私を見詰めて居たが踏ん切りがついたようだ。

 大量の金貨、安全の為ジアンは持ち歩いていたようで、放って来た。

 大酋長がなぜか、優しそうな目で私を見てた。





「移民族をイディア大地に受け入れるが、与えるのは不毛の地西部だ!開拓して住むがよい!!住めればな!」

 私達に言い残し、回復したジャイとイアンを連れて帰って行った。


 無能とさげすまれて居た東海岸村の住民は、私の圧倒的勝利に沸き立った。



 コロボスは、馬車馬と口利きのお礼に『ショットガン』10丁と『ハンドガン』5丁を、ジャロに進呈した。

 私はジャロに村長職を返し、移民団と西部に向かうと決意した。

 未開の西部に行きたいのではなく、無能者に心強いガンと言う武器を発明した移民族にかれたからだ。

 ホップとサミットも私に着いて来てくれた。


 漁村が気に入ったとかで、ガン職人のスミスが東海岸村に残る事になった。

 スミスが造るガンで、漁村は『東部』と呼ばれる武装都市に変わって行く事になる。






 6台の幌馬車隊は長く隊列を組み、未開の西部に向かい出発した。

 不毛の西部とはよく言った物で、荒涼とした景色が何処までも続く。

 誰か即興で歌ってる。

「サボテンの花咲いてる、砂と岩の西部、高く低く流れる赤い川の流れ。夜空に星輝き、狼哭オオカミなくく西部~♪」


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