〖承-4〗ケンノビ(241214改稿)

【改稿点】

・20241214改稿

 ①「魔術師の巣」→「竜の巣」へ変更。

 ② マヌエル・ジャンク・ショップの内部設定に合わせて、一部描写変更。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【竜の巣】

・《竜の巣》部屋の大きさは、約20m四方。部屋半分には、小型宇宙艇用のリフトがあり、ぺリル号が鎮座している。残りの半分は、沢山の剥き出しの部品が置かれた錆の入ったスチール棚、年季の入ったノートPCが乗ったデスクと椅子(2脚)、2つの支柱に吊るされたハンモック、などがある。

 部屋のくすんだ壁には、沢山の工具が掛けられたハンキングボード、工程表や、ポスターがピン止めされているコルクボードが貼ってある。

 PPタイルの床の上には、工具箱が置いてあり、上蓋が開けっ放しで、溢れんばかりの工具や、細かな部品、ケーブルが入っている。

 部屋の端っこに床が四角い穴が開いていて、押し上げ戸が乗っている。下の階からははしご使って出入りする。


・ケンノビが、デスクの前に座り、ノートPCを操作している。


・ケンノビの肩越しに、PC画面が見える。画面上部にカタカナで「オバオク」の文字が見える。その下に「検索結果」の文字。そして、一際大きな字で「Not Found」と表示されている。ケンノビが、肩を竦めると、両腕を上に伸ばして身体を伸ばす。


ケンノビ:「はぁ~、こんな古い機体のジェネレーターなんて出品ないよなぁ~。どんなに機体を整備したところで、スワップするジェネレーターが無けりゃ、ただの箱。そんな事は判っちゃぁいたけど。そうだけれども」


・ケンノビの後ろに、ぺリル号がリフトの上に鎮座している。ケンノビが、ぺリル号に向かって椅子を回転させて、前かがみになり、左手を伸ばす。左手から薄い青い光が出る。


・ケンノビの口が開いて、何か声を出そうとするけど躊躇う。しばらくして、大きなため息をついて、左手をゆっくりと降ろす。左手の薄い青い光もゆっくりと消える。椅子を回転させて、デスクに向き直り、頭の後ろに腕を組んで、天井を見上げる。



【マヌエル・ジャンク・ショップ】

・《マヌエル・ジャンク・ショップ》の入口のドアが開き、10才のケンノビとドリーが、ランドセルを背負って駆け込んでくる。


ケンノビ:「ただいま~」

ドリー:「ただいま~の、ただいま~」


・入口入って右のレジコーナーで、ジェイクが買い物客と話している。


ジェイク:「悪いな。うちは、現金だけなんだ」


客:「マジ?、冗談じゃなくて?」


ジェイク:「(客の後ろを駆け抜けていく、ケンノビとドリーを目で追って)おう、お帰り。(客を見て)マジのマジだ。先代の遺言でな」


ドリー:「母さんは?」

ケンノビ:「お腹減った~」


ジェイク:「ローラは、宙族狩りだ。冷蔵庫にアイスが入ってる」


ドリー・ケンノビ:「食べる~。ジイジ、いただきま~す」


・ジェイクが、段ボールの空き箱に商品を詰めると、客から紙のお札と小銭を受け取る。そして、金額もロクに確認せずに、手元の蓋つきの空き缶に放り込む。客が、信じられないものを見るように、ジェイクの手元を見ている。


お客:「いや、お釣りがあると思うんだけど」


・ケンノビとドリーが、レジコーナーの並びにあるバックヤード入口に入る。バックヤードには、壁沿いに棚が並んでおり、食品やパーツ類が山積みになっている。ケンノビとドリーは、棚に挟まれた通路を、ランドセルを商品に引っかけないように気を付けながら全力で走る。


・ケンノビとドリーが、店員用の休憩スペースに辿り着く。休憩スペースには、4人用のソファセットとローテーブル、その隣に冷蔵庫がある。ケンノビが、冷蔵庫の前に立って、上の段の冷凍庫ドアを開いて、背伸びをしながら頭を突っ込む。冷凍庫の中から、渦巻きアイスを取り出す。1個はバニラ、もう1個はミックス。


ケンノビ:「ジイジの店のアイスはいつも同じなんだよね~。たまには違うの食べたい」


ドリー:「あたしは、ミックス好きだから。これで良い」


・ドリーが、ケンノビが持っているバニラとチョコが渦を巻いたソフトクリームを指さす。


・ケンノビとドリーが真剣な顔をして睨み合う。2人とも左手にアイスを持ちながら、右手を拳にして前に出す。


・ケンノビ・ドリー:「「最初はグー!、ジャンケンポン!」」


・ドリーがグーで、ケンノビがチョキ。ドリーが、グーを上に掲げて喜ぶ。


ジェイク(声のみ):「まいどあり~」



【マヌエル・ジャンク・ショップ(ピットエリア)】


・マヌエル・ジャンク・ショップのピットエリアは、リフトが4台並んでいて、入口から一番近い1番リフトに、整備中のポーターが乗っている。その脇を、アイスを持ったケンノビとドリーが歩いている。


ケンノビ:「あれぇ、今日、ゲンさん居ないなぁ。聞きたい事あったのに」


ドリー:「ダメだよ、ケンノビ。ピットエリアは危ない道具が一杯あるから、子供は入っちゃいけないって」


ケンノビ:「俺は、ゲンさんに、弟子入りするから大丈夫。ドリーは、ピットの外で待ってて」


ドリー:「いやだ。ケンノビだって、まだ弟子じゃないじゃん。ケンノビがここに居るなら、私も居る」


・ケンノビが、入口から一番遠い空の4番リフトに近づく。


ケンノビ:「ドリー、ジイジに今日ゲンさん来るか聞いてきてくれる?」


・ドリーが、う~んと言った顔をするが、「ちゃんと、居てね。居なくならないでね」と言って、入口から出ていく。


・ケンノビが近づいた一番奥の4番リフト。他の3台のリフトと同じパンタグラフ式のタイプだが、その上部四隅に特殊なジョイント部のような突起物が出ている。


・ケンノビが、その突起を見ながらう~んとうなり、四隅の突起の1つに左手を差し出す。左手から淡い青色の光が出て突起部分を照らす。


ケンノビ:「君は、何かの飾り?」


・ケンノビの右手から出ている淡い青い色の光が変化して、赤色に染まる。


ケンノビ:「君は、他の3台のリフトとは違うの?」


・ケンノビの右手から出ている光が、赤色から、濃い青色に変わる。


ケンノビ:「君と他の3つのリフトの違いって何?」


・ケンノビの右手から出ている光が、薄い青色に戻って、消えてしまう。


・ケンノビが、ふと天井を見ると、4番リフトの4隅の突起物と延長線上の天井に4つの凹みがある。そして、その4つの凹みを四角く囲むようにして、天井の壁に切り込みが入っている。その隣に点検口が設けられている。


・ケンノビの右手から淡い青色の光が出て、リフトの突起部分を照らす。


ケンノビ:「君のでっぱりと、上の天井の凹んでるところって、関係あるの?」


・ケンノビの右手から出ている光が、淡い青色から、濃い青色に変わる。


ケンノビ:「ふ~ん、そうなんだ…」


・ケンノビが、靴を脱ぐ。靴を両手に持った身体がふんわりと宙に浮かぶ。そのままジャンプする。天井に辿り着くと、両手に持った靴を天井に押し付けるけど、くっつかない。慌てて、いろんなところに靴を押し当てると、点検口の蓋の縁の菌億部分に吸着した。



【竜の巣】


・真っ暗な部屋の中。いくつかの計器のランプがいくつか点滅している。

 何かを引きずるような低い音がして、真っ暗の部屋の床の押し上げ戸が持ち上げられて、横にズレる。ズレて開いた穴から、階下の部屋の光が上に照らされて、その光の穴からケンノビの顔が飛び出す。そのタイミングで、自動で部屋の照明が付く。


ケンノビ:「わぁぁ。なんか凄いの見つけたぞ! 秘密基地だぁ…」


・ケンノビが、階下の点検口の穴から、身体を部屋の中に持ち上げて、部屋の中に入り込み、靴を床に置いて、立ち上がって履く。


・部屋の中は、まるでちょっと部屋の主が席を外しただけのように、雑然として、改めて片づけられた感じがしない。特に埃が溜まっているという感じもない。


・ケンノビが、後ろを振り向くと、そこにはリフトの架台と、その上にブルーシートで包まれた大きな塊がある。それは…。


ケンノビ:「船? ポーター? え?本当?」


・ケンノビが、ペタペタとブルーシート越しに船体を触りまくる。ケンノビが我慢できなくなって、船体に左手を指し伸べる。左手から薄い青い光が出て、ブルーシートの隙間から見える機体を照らす。


ケンノビ:「君は、ポーター? 宇宙船なの?」


・淡い青い光が、より濃い青い光に変わる。


ケンノビ:「わ~お。凄い。君の名前は?」


・不思議なタイミングで、ブルーシートを船体の上で一つにまとめているひもが解けて、ブルーシートの一部が剥がれる。そこに、古めかしい文字体で、「ぺリル号」と書いてある。ケンノビは、それを見ると嬉しそうに叫ぶ。


ケンノビ:「君の名前は、ぺリル号って言うんだね!」


・手から照らし出される青い光が、一旦薄くなって、また濃くなる


ケンノビ:「うんうん。僕はね。母さんみたいに、宇宙船の船長になるのが夢なんだ。ねぇ君、僕の船になってくれる? 君が、僕の船になってくれたら嬉しいかなぁ」


・手から照らし出される光は、やはり一旦薄くなり、しばらく考えたふうに時間をおいて、また濃くなった。


・竜の巣の壁に目立たないように埋め込まれた細かなランプが、いくつも点滅してライトアップされたように光る。ケンノビが、目をキラキラしながら、ポーターに話しかける。


ケンノビ:「そっか、君は僕の船、そして僕は君の船長! 君に決めた! そして僕を選んでくれて、ありがとう。あれ? けど、君壊れているの?」


・ケンノビが左手から出る薄青い光が濃くなる。


ケンノビ:「僕が絶対に直してあげる。ってか、僕に直せるかなぁ?」


・手から照らし出される光は、一旦薄くなり、しばらく考えたふうに時間をおいて、また濃くなった。


ドリー:「ケンノビ、どこ~? ゲンさん、昨日ギックリやって、今日はお休みだって~。ケンノビ~? どこ行ったの~?」


・ケンノビが、慌てて点検口から下の階に顔を出す。そこには、不安そうなドリーがキョロキョロとケンノビを探している。


ケンノビ:「ドリー! こっちこっち! 凄いよ。僕…らの秘密基地だよ。そして僕の秘密兵器見せてあげる! こっちおいでよ」


・点検口の下から、ドリーがポカーンとした顔で、ケンノビを見上げている。

ケンノビは、最高にニコニコした表情で、ドリーに、船を見せたくて仕方がない。


ドリー:「ケンノビ、嬉しそう…。今行くから待ってて。もう、待っててって、1人でどこかへ行っちゃ駄目って言ったじゃない」


ドリー:「ケンノビ! 受け止めて!」


ケンノビ:「僕の船だよ。ぺリル号って言うんだ。うわぁ!」


・ケンノビは、魚雷のように点検口の穴から飛び出してきたドリーを抱きとめて、その勢いに振り回されて、ドリーを抱きしめたまま倒れてしまう。


ケンノビ:「危ないなぁ。怪我したらどうするの?」


ドリー:「ケンノビには言われたくない。一人で勝手に冒険してんの。ズルい」


ケンノビ:「そんなこと言ったって…」


・ケンノビの足元に、点検口の押し上げ戸が転がっている。そこには、古い文字体で[竜の巣」と書いてあった。



[記号凡例]

 ①〖〗 エピソード番号 起承転結に分けて採番する。〖資〗は資料編。

 ②【】 主に、場所を記載する。

 ③〈〉 氏名・固有名詞・用語。本文中に説明があることがある。

 ④《》 氏名・固有名詞・用語の説明。

     本文中と資料編「登場人物・用語集」に説明がある。

 ⑤ ・  主に、登場人物の動きや表情を記載する。

 ⑥ ・  アニメで言う背景・ドラマで言うセットの内容を説明する。

 ⑦ 名前:セリフを記載する。例)ドリー:「こんにちは!」

 ⑧ 説明:状況を説明する。

 ⑨[] :神沢メモ他を記載する。

 ⑩ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ :シーンとしての区切り。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る