〖起-3〗ブラスター(240929改稿)【神沢コメ-3_230401】

【降下チューブの中】

・海坊主を含めた男5人が、チューブの中を降りていく。チューブは透明で、チューブ外側の岩壁が凄い勢いで上に流れていく。


エミリー(声のみ):「紅蓮の牙へ、正式クエスト出ました。スカルドラゴンは2本角です。海坊主へ、正確な座標を竜神丸に送ります」


紅蓮の牙リーダー:「紅蓮の牙、了解した」


海坊主:「海坊主、了解だ」


・チューブから見えていた岩肌が切れて、トラス状に組まれたフレームと、その向こうに宇宙空間が広がる。

 宇宙空間の中、チューブが降りる足元には〈ハンガー・ベイ〉が見えて、《ドリルシップ》竜神丸がドッキングしている。足下へ向けていた視線を上げると、横には直径150m厚さ80mの円盤型居住区が3層重なったガンシティが見える。その斜め下に何隻もの輸送船が停泊したハヤブサが見える。

《ドリルシップ》

 元々は、個人の鉱物採掘者が運用していた採掘作業船。採掘事業者が、個人から法人にシフトし、より大型のプラットフォームを使用することにより廃れた。

 現在は、個人所有の汎用用途の中型宇宙船の総称として使う。

 全長20m全幅25mの円盤状の機体から5mのコックピットが突き出ている。コックピットの下分はF16のような放熱ダクトがあり、その下にはラム(衝角)が球状船首のように突き出している。コクピットの後ろ(円盤状の機体の上面)には、後ろ向きにポーターが搭載されている。円盤状の機体の左右上下にアームがあり、全長8m全幅4mのコンテナを4台搭載可能。このアームには、業種によって、小型戦闘艇や、採掘用重機などを搭載する。

 イメージとしては、宇宙からのメッセージのリアベ号。


【乗降用ハブ施設内】

・〈乗降用ターミナル〉内に、チューブの中から、5人の男が次々に降りてくる。ドリルシップへ続く〈ボーディングブリッジ〉を駆け抜けて、ハッチからドリルシップへ入船する。


【ドリルシップ コックピット】

・コックピットのドアが開き、5人の男達が入ってくる。パイロット、サブパイロット、ナビゲーター、エンジニア、ガンナー、が自分達の座席に慌ただしく座り、4点支持のシートベルトを着用する。


・海坊主が、パイロット席のコンソールスイッチを入れる。


・ブンという音とともに、操縦席前のメインモニターに明かりが点く。

サブウィンドウに、メアリーと後ろにスティーブンが映ってる。


海坊主:「竜神丸、出航準備あと3分だ」


・海坊主の後ろの男達が、慌ただしく、各々のコンソール上のボタンやツマミをチェック、操作している。


エンジニア:「ジェネレーター確認。炉心状態良好。通電開始、0.1メガワット、0.2、0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、〈メインクラスター〉稼働。出力安定まで、後3分」


ナビゲーター:「座標受信しました。座標DU185846。座標までの、《D-ダイブ(ディメンションダイブ)》プラン作成開始、あと2分かかります」

《D-ダイブ(ディメンションダイブ)》

 複数の時空プレートが接触しているエリアで、時空に穴を開けることで時空をショートカットし、光速を越える航法。

時空プレート同士が接触していないエリアでは利用出来ない。

 小惑星帯の周辺には3つの時空プレートが接触している。

D-ダイブに入るためには、〈ライディン鋼〉 で出来た《ラム(衝角)》を、極低温で冷やして、大容量の電流を流し、ある一定の速度に達することで、接触している時空の壁に穴を開けることが出来る。電力量を大きくするほど「より深く潜れる」し、浸宙時の速度を上げることで「より遠くへ行ける」。D-ダイブから出るときには、電力量と航行速度を落とすことで、自動的に通常空間に弾きだされる。

 D-ダイブ到着地点が、時空プレートが接触していないエリアだと通常空間に出てこれない。また、D-ダイブ中は現時空間ら外れるため、現時空間から見てD-ダイブ中の船内時間は停止している。そのため、D-ダイブするためには、事前に厳密な航行プランを作成する必要がある。

現在の技術では、D-ダイブ可能なのは、ドリルシップなどの中型宇宙船まで。輸送船などの大型宇宙船は、通常宙行しか出来ない。

一定のスピードに達すると空に浮く飛行機と、電磁石を極低温に冷やして大量の電力を流すことで浮かぶリニアモーターカーと、推力を止めてバラストの水を排出してしまうと水面に浮かび上がってしまう潜水艦をミックスしたイメージ。

用途としては、ドリルシップが飛行機で、輸送船がタンカーみたいなイメージ。大量輸送するには、航空便は不適で、時間が掛かるが海上輸送が適しているみたいな。


《ラム(衝角)》

 船首に取り付けられた鋭角に飛び出した角のような部分。ライディン鋼により出来ている。D-ダイブ(ディメンションダイブ)に必須な部品。


エミリー:「海坊主、よろしく頼みます」


海坊主:「坊に、まかせろと伝えてくれ…。あ~…、四代目だったな…。気を付ける」


メアリー:「(クスッと笑い)、…了解。伝えておきます」


ナビゲーター;「座標DU185846。座標までのD-ダイブプラン作成完了」


海坊主:「竜神丸、D-ダイブプラン作成完了。管制との通信に切り替える。滑宙路に入って、指定速度に達し次第、離宙する」


【宇宙空間】

・直径3~5km程度の小惑星が、エウレカとハヤブサを中心にして囲むように、半径150km程度の球形に配置されている。小惑星同士は3~5km程度の間隔があって、それぞれマーカーの灯りが点滅している。

・小惑星で作られた球の中を、ハヤブサから、外宇宙側に真っすぐ幅5km・高さ5km程度の幅の滑宙路が伸びている。


・ドリルシップが、船体の姿勢制御用クラスターを数回噴射して、ブリッジから離弦する。点滅している光で区切られている、誘導路へ移動していく。


管制官:「竜神丸。D-ダイブ専用滑宙路5番へ誘導する。誘導システムに、操縦権限を預けてくれ」


海坊主:「了解。誘導システムへ操縦権限を移す」


管制官:「D-ダイブプランを提出願う。転移点座標と、転移距離、ハイジャンプ時速度、ラム(衝角)の許認可番号を報告・データ送信されたし。こちらでも確認する」


海坊主:「了解した。D-ダイブプランを送信した。座標DU185846、転移距離1.8AU、ディメンションダイブ時速度時速2,500㎞、許認可番号0007」


・ドリルシップが、滑宙路へ到着し、機首の向きを変える。

 進行方向へ、光の四角のガイドで囲まれた滑宙路が伸びていく。


管制官:「D-ダイブプラン確認した。誘導システムから操縦権限を戻す。出航許可する」


海坊主;「了解。竜神丸、出航」


・竜神丸後部に並んだ4つのメインクラスターの噴射口から、細かな光が噴き出す。光の量がどんどん増える。


・竜神丸が、ゆっくり動き出し、クラスター噴射口から光が爆発的に大きく噴き出し、スピードを上げる。滑宙路の四角い枠がどんどん後ろへ飛んでいく。


ナビゲーター;「D-ダイブ時速度時速2,500㎞、現在速度、500、600、700…」


海坊主:「2,000km到達と同時にラム(衝角)稼働。3.2メガワットを予定。ラム(雷角)の温度監視開始」


エンジニア:「了解。2,000で、3.2メガワット電源達成で、ラム(衝角)へ電力供給します。ラム(衝角)現在温度77K」


ナビゲーター;「…1,800、1,900、2,000」


エンジニア:「ラム(衝角)稼働」


・竜神丸の船首から鋭角に飛び出しているラム(衝角)に、何本もの電流がスパークする。


ナビゲーター:「2,200、2,300、2,400、2,500到達。D-ダイブ入ります」


・竜神丸の前方やや下の宇宙空間が波をうつように揺れて、黒い穴が開く、竜神丸が滑り込むように船首から沈んでいく。

 竜神丸が消えた箇所を中心に、波のような揺らぎが起きてすぐに静まる。


・真っ黒い嵐の雲の中に飛び込んだような、ドリルシップ。

 船体を、猛烈な揺れが襲う。船体の周りを飛び回る稲妻。


ナビゲーター:「予定通り、D-ダイブ入りました。速度2,500kmで、深度1、2、3、予定通り4まで到達。あと30秒で、上昇に入ります。飛び込むときの速さ、ラム(衝角)への電力と、次元穴の大きさ。どれもプラン通りです。上昇に入ります。深度、3、2、1、通常空間へ浮かびます」


・宇宙空間に黒い穴が開き、水中から飛び出すようにドリルシップが飛び出す。

 主に前方のクラスターを何回か噴射して、スピードを落とす。


ナビゲーター:「座標確認開始します…、近隣〈ウェイポイント〉電波受信中…。座標位置割り出し中…確認完了。予定通りDU185846の近くまで到達しました。D-ダイブ成功です」


・宇宙空間に浮かぶドリルシップの前方に、小惑星と採掘プラットフォームが見えている。小惑星からチカチカと細かな明かりが不定期に漏れている。


海坊主:「パワードスーツ装着準備。あと5分で現場につける」


・紅蓮の牙のメンバーが、サブパイロット、ナビゲーター、エンジニア、ガンナー、の席から立ちあがり、コックピットのドアを飛び出す。


・コックピットを出て狭い通路を走り、小さな踊り場に出ると、左右両方に2つドア

がある。2手に分かれてドアを開けると梯子が現れる。梯子を掴んで、1人は上に昇り、1人は下に降りていく。


・すぐ上の階に着くと2重になったドアがあり、そのドアを超えると小部屋に入る。


・部屋の中には、《パワードスーツ》が、頭を手前にして仰向けに横たわっている。パワードスーツはの胸から上のハッチが手前側に跳ね上がっており、人が入り込むスペースが開いて見える。

《パワードスーツ》

 高さ3mの外骨格スーツ。操縦士が着て動いて、パワードスーツが人の動きをトレースするタイプ。胸のところが、軍用ヘリコプターコブラの風防のような形状で突き出している。風防部は、戦闘用が強化装甲(内面ディスプレイ付き)で覆われ、作業用が強化ガラスで覆われている。胴体から、搭乗者の腕が突き出た、アップルシードのランドメイトギュゲスのようなタイプ。

 なお、戦闘用には頭部があり、頭部の全周を360度カメラがグルリと取り囲んでいる(首は固定で動かない。ある意味、モノアイがないズゴック)。

 スタジオぬえさんのパワードスーツとデストロイド・トマホークのテイストも残したい。ボトムズも好きだが。

 神沢は、スケトニクスに、アシスト自転車のモーター制御技術を組み合わせたら、良い線行くのではないかと夢想するでござる(何故かござる調?) 。


・パワードスーツの胸部ハッチから上の部分が跳ね上がっていて、人1人が入れるスペースがあり、そこへ足から身体を入れていく。

 パワードスーツの胸から上の部分が閉まって、頭部・両肩・両手足の甲の7か所にパイロットランプ兼航宙灯が点灯する。


紅蓮の牙4名(バラバラに):「スタンバイOK」


海坊主:「了解、こちらも現場に付けた。バージする」


・宇宙空間。小惑星と採掘プラットフォームが目の前に見える。採掘プラットフォームの高所部分に散らばる照明がゆっくりと点滅をしている。


・ドリルシップの甲板上下左右に接続アームが設置されていて、それぞれのアームが幅4m高さ4m奥行8mの貨物用コンテナを1つずつ掴んでいる。アームが稼働してX字にコンテナが展開する。コンテナの横側面がウィング式に開き、パワードスーツが見える。


海坊主:「バージ」


・4体のパワードスーツがコンテナから切り離されて全身が見える。機体背中に背負ったクラスターを噴射し、体勢を整える。


背負ったクラスターを噴射し、体勢を整える。


海坊主:「ポーターを射出する」


・竜神丸のコックピットエリアの後ろから、ポーターが射出される。海坊主が遠隔操作しているため、コックピットの窓は暗いまま。


・ポーターの左右の側面に、パワードスーツが2体ずつ取り付く(箱乗り)。


海坊主:「行ってこい、野郎ども!」


・ポーターの後部クラスターから炎が噴射される。


【補足】


〈ハンガー・ベイ〉

 定期旅客便・輸送船・ドリルシップ等の乗り物の発着・警備な修理・燃料補給に使用される施設・格納庫。


〈乗降用ターミナル〉

 乗降用ターミナルは、旅客用と軍用とブラスター・ギルド用の3種類がある。

 ハンガー・ベイに接舷した宇宙船に乗り込むための一時待機場所。


〈ボーディングブリッジ〉

 乗降用ターミナルから、宇宙船のエアロックまでを繋ぐ、ブリッジ機構。


〈メインクラスター〉〈クラスター〉

 イオンエンジンの一種。ホールクラスター。


〈ウェイポイント〉

 宇宙空間を航行する宇宙船が、どこに自分が居るかを知るため仕組み。主に、宇宙船が多く使う航路に、ウェイポイントが複数設置され、それぞれ固有のポイント名を持ち、固有のビーコンを発信している。宇宙船は、それぞれのビーコンと、自社の距離を知ることで、自分の船が現在どこにいるか知ることができる。



[改稿点]

・240725改稿

 ①D-ダイブ(ディメンションダイブ)の解説を追加。

・240922改稿

 ①ブラスターコントロール室からドリルシップに移動する際に見える景色を、ガンシティの描写に変更。

 ②D-ダイブの解説に1部追加。

 ③パワードスーツの解説を追加。


・240929改稿

 ①ドリルシップの解説にサイズ・外観的特徴を追加。

 ②パワードスーツのサイズを変更。4m→3m。


【神沢コメ-3_230401】

 〈海坊主〉という名前は、隆慶一郎さん「見知らぬ海へ」から来ています。〈竜神丸〉もそうですね。それのまんまで良いのかとも思いますが、良い名づけアイデアもないので、とりあえずそのままにしてます。

 「見知らぬ海へ」は未完ですが、海洋冒険小説の本場イギリスを敵に回しても戦える作品だと思います。見て触れるような細かな臨場感のある描写は凄い。それに男気が漲る一癖も二癖もあるサムライ(いくさ人)が出てくるのです。鬼に金棒、面白くないはずが無い。


 とは言え、本場イギリスの海洋冒険小説はカッコいいですよね。ホーンブロワー3部作は最高です。今の子達には読みにくいかな~。けど本物だしなぁ。

 少年少女向けの帆船モノがあるのもイギリスの特徴ですね。アーサー・ランサムさんの「アマゾン号とツバメ号」とか。そして、フィリップ・ターナーさんの「シーペリル号の冒険」もそうですね。シーペリル号は人力動力外輪駆動の平底船だけれども(笑)。帆船で世界を牛耳ったイギリスにとって、「船」は特別なのかも知れません。


 佐藤さとるさんの「誰も知らない小さな国」は、一番大好きな物語の一つです。

その解説に、その細やかな描写はイギリス文学の影響を受けていると書いてあって、当時小学生の私はイギリス文学って何だろうって思ったものです。

 そして、アーサー・ランサムさんとか、フィリップ・ターナーさんとか、リチャード・アダムスさんの「ウォーターシップダウンのうさぎたち」とかを読んで、「あぁ、これかぁ」と思いました。

 なんなんでしょうね。「ロケ地」と「芝居や舞台で使うセット」を頭の中に具体的に組み上げて、そこで「キャラクターが生きて動いている」のを、ビデオカメラで撮って、それを文字で起こしているみたいな感じでしょうか。



【神沢コメ-3_240929】

 神沢が子供の頃、消防署の消防士さんは憧れでした。火事の連絡があると、2階の待機室から、1階の車庫に、滑り棒を使って降りていく。カッコよかった~。

 絶対、あれ考えたのって効率じゃないと思います。あの滑り棒を採用した担当者さんは、サンダーバードの搭乗シーンに憧れたんですよ。

 そして勿論、僕は彼の肩を持つ。階段なんてクソくらえ!


[記号凡例]

 ①〖〗 エピソード番号 起承転結に分けて採番する。〖資〗は資料編。

 ②【】 主に、場所を記載する。

 ③〈〉 氏名・固有名詞・用語。本文中に説明があることがある。

 ④《》 氏名・固有名詞・用語の説明。

     本文中と資料編「登場人物・用語集」に説明がある。

 ⑤ ・  主に、登場人物の動きや表情を記載する。

 ⑥ ・  アニメで言う背景・ドラマで言うセットの内容を説明する。

 ⑦ 名前:セリフを記載する。例)ドリー:「こんにちは!」

 ⑧ 説明:状況を説明する。

 ⑨[] :神沢メモ他を記載する。

 ⑩ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ :シーンとしての区切り。

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