〖起-4〗スカルドラゴン(240929改稿)【神沢コメ-4_230326】
【ブラスター・ギルド コントロール室】
・コントロール室正面奥に大きな画面が3つ。
・左側の画面に、竜神丸に搭載したカメラの映像が映る。
巨大な小惑星の隣で、採掘プラットフォームが小さく映っている。
・中央の画面に、ポーターに搭載したカメラの映像が映る。
パワードスーツを装着した紅蓮の牙のメンバーが、採掘プラットフォームの脇を通り抜け、小惑星に取り付き、坑道の中に入り込んでいく。
・右側の画面に、緊急用シェルターの狭い室内が映されている。
ハードシェル(船外活動用宇宙服)を着た男達が、シェルターの壁に設けられた銃眼から、シェルターの外に向かって迫撃砲を砲撃している。
画面上に、ハードシェルを着た男Aが映り込んできて、興奮した声で叫ぶ。
A:「ブラスターの連中は未だ到着しないのか! さっき依頼したのに、まだ来ない! 遅い! こっちはもう弾切れなんだ!」
【ブラスター・ギルド コントロール室】
・エミリーがコンソールに映りこむ男Aを見つつ、こめかみをピクリと引きつらせる。事務的な口調で話しかける。
エミリー:「落ち着いてください。そのシェルターは、《ライディン鋼》で出来ています。2本角の攻撃であれば、問題なく持ちこたえられます」
《ライディン鋼》
スカルドラゴンの角部材・クロム・モリブデン・タングステンカーバイド・セラミックス・コバルトを主原料とした合金。ドリルシップ用のラム(衝角)や船殻の材料や、対スカルドラゴン用パワードスーツの装甲・武器の部材として使われる。
時空間への強い透過性があるため、D-ダイブのラム(衝角)の主要素材。。
また、スカルドラゴンの青い障壁(ブルースペース)への強い硬性攻撃力があり、スカルドラゴンからの攻撃(ブルーブラスト)に対しては強い硬性防御力を持つ。
スカルドラゴンに、人類の銃器が効かない状況で、ライディン鋼を使ったシェルターが最初に作られ、次に、ライディン鋼を使った装甲で覆った戦闘用外骨格パワードスーツが作られた。まだまだライディン鋼は高価で、ライディン鋼を使ったパワードスーツや迫撃砲は一般的に普及していない。
宇宙服の男:「こっちの砲撃が通らないんだ!」
エミリー:「大丈夫です。今、ブラスターのチームが、そちらの採掘プラットフォームに既に到着しています。あと5分でそちらに到着します。今は落ち着いて、シェルターの中で待機しつつ、弾幕を張ってスカルドラゴンを牽制してください」
宇宙服の男:「高い金取るくせに動きが遅いな。ッたく。解かった、後5分だな」
エミリー:「気持ちは解りますが、今しばらくご辛抱ください。」
【小惑星内の坑道】
・シェルターの銃眼から、迫撃砲を撃つ男達。
・スカルドラゴンに着弾する寸前に、青い波打つ光が現れて、光に接触した徹甲弾が爆発してしまう。スカルドラゴンが口を開けて、青い光の束を吐き出す。
・青い光の束が、シェルターに着弾し、シェルターが光の束を弾く。
・シェルターの中、宇宙服の男達が、銃眼の陰に身を隠している。
青い光の束が、銃眼から入り込み、床に置きっぱなしだったレイガンに当たる。レイガンが膨らみ爆発を起こす。
宇宙服の男:「馬鹿野郎! どいつだ置きっぱなしにしやがったのは?」
・紅蓮の牙の4名が、坑道の中に飛び込んでくる。
紅蓮の牙リーダー:「現場到着した。これから、スカルドラゴンの排除を行う」
【ブラスター・ギルド コントロール室】
・コントロール室の後方ドアが開き、ローラが入ってくる。
比較的手の空いているオペレーターが、ローラに声をかける。
オペレーターA:「三代目、お久しぶりです」
オペレーターB:「ウッス!」
・部屋中から次から次ぎへとローラに声がかかる。
ローラ:「皆、バタバタしているところ悪いね」
・ローラが、スティーブンの席の隣に立つ。
ローラ:「四代目、被害の状況は?」
・スティーブンが、困ったような顔をして、座席からローラを見上げる。
スティーブン:「お袋、もう引退したんだから…」
ローラ:「三代目とお呼び。引退したからって先達を軽く扱うんじゃないよ。血を分けた息子とはいえ場所をわきまえな」
・スティーブンが、渋々立ち上がり、苦虫を嚙み潰した(それはこっちのセリフだよと言いたい)顔でローラを見る。
・スティーブンとローラが立ち話をする前で、右側画面では、紅蓮の牙の盾役のパワードスーツが、巨大な白い盾を持ってスカルドラゴンの前に飛び出している。
【小惑星内の坑道】
・盾役パワードスーツの後ろに身を潜めるように、前衛のパワードスーツが武骨な白い槍を持って続いている。
・スカルドラゴンが、口から青い光の束を吐きだす。
・盾役の巨大な盾に青い光の束が弾かれる。
・スカルドラゴンが、身体を回すように、巨大な尾を振り回す。
・盾役のパワードスーツが、巨大な盾を構え、右片膝を地面に付いて衝撃に備える。
巨大な盾を持ったパワードスーツが鈍く光り、右片膝と左足が地面にめり込む。
・巨大な盾に、スカルドラゴンが振り回した尾がぶち当たる。
盾役のパワードスーツの後ろを、槍を持った前衛のパワードスーツが駆け抜ける。
・前衛の前に、スカルドラゴンの横腹が迫る。青い光の腰だめに構えた槍を、そのままの勢いで突っ込む。スカルドラゴンに槍の穂先が届く寸前、青い波打つ光が現れる。槍の穂先は何の障害もなく、スカルドラゴンの腹に突き刺さる。青い血が噴き出す。
・スカルドラゴンが、怒りに我を忘れて顎を大きく開けて牙を剥き出し、前衛に食らいつこうとする。盾役が更に前に出て、中衛が前衛とは逆方向に回り込む。
・スカルドラゴンの死角に走りこんだ中衛が、スカルドラゴンの後ろから飛び上がるように大きく白い斧を振りかぶって、スカルドラゴンの首に叩きつける。青い血が噴き出す。
・スカルドラゴンが、たまらず絶叫しながら、中衛の方を向こうとする。そのタイミングで、前衛が、スカルドラゴンの鈍く光る胸に、力任せに槍を突き立てる。グリグリと切先をスカルドラゴンの胸の中を搔きまわす。
・スカルドラゴンが、前衛に顔を向ける、青い光の束を吐きだすために口を大きく開ける。前衛が素早く槍を引き抜き下がり、盾役が前衛の前に出る。スカルドラゴンの後ろで、中衛がもう一度大きく剣を振りかぶる。
・スカルドラゴンが力を振り絞って尾を振り回し、背後の中衛に当てる。中衛が吹っ飛び、岩壁にめりこむ勢いで衝突する。スカルドラゴンが、ふらりと力なくよろけるが踏みこたえる。青い光を吐き出そうと口を大きく開く。槍の刺さった跡がある胸が大きく晒される。
・スカルドラゴンの胸の槍の刺さった跡が、ドコッと大きく凹む。そのまま、スカルドラゴンが勢いよく倒れる。
・スカルドラゴンが、倒れた向こう側に、迫撃砲を構えた後衛のパワードスーツが構えている。
・スカルドラゴンの死体から、噴き出すように青い血が蒸発してガスが身体のあちこちから噴出している。ガスともに、スカルドラゴンの肉が溶けていく。ガスの噴出が止まったとき、抜け殻となったスカルドラゴンの外骨格が、ガタリと形を崩す。
【ブラスター・ギルド コントロール室】
ローラ:「中衛が一発貰ったけど、なかなか良いチームじゃないか。盾役は重力関係のギフト持ちかい?」
エミリー:「お義母さ・・・三代目、〈紅蓮の牙〉というチームです。近々、Bランク昇格間近と言われている有望株です。仰る通り、盾役でリーダーの紅蓮は10秒だけ質量を15倍に出来るギフト持ちです。海坊主が指導しています」
ローラ;「エミリー…、お前…」
・エミリーが、?という顔をする。
ローラ:「水くさいじゃないか。お義母さんと呼んでおくれよ」
エミリー:「えっと・・・、あっと、はい。お義母さん」
・エミリーは、チラリとスティーブンを見る。スティーブンは、心の中でお経でも唱えていてそうな表情をして、必死に自分の心を宥めている様子。
ローラ:「エミリー、私は寂しいよ、私は、まだ当分、孫の顔は見れそうもないかい?」
エミリー:「えっと・・・、あっと」
・エミリーが、顔を赤くしながら、スティーブをちらりと見る。
スティーブンは、心の中のお経を読む速度をスピードアップしたらしく、真っ青な顔色になって、ガタガタと震え始めている。
エミリー:「まだです・・・」
・コントロール室のほぼ全員が、にまにまとした顔で、スティーブンを見ている。
一部のメンバーは、爆発しろと言いたげに、暗い目でスティーブンを睨んでいる。
ローラ:「まったく、うちのボンクラ息子は、こんな良い子を置いて何しているのさ。ぼけっとしてると他に持ってかれちゃうってのに」
・スティーブンが、スイッチの壊れたオモチャが突然動き出したように、素っ頓狂な大声を出す。
スティーブン:「あ~ッ!、三代目は今日はどんなご用事で?」
・ローラは、露骨に溜息をついて肩を竦める。
ローラ:「こりゃ、まだ当分動かないね…」
ローラ:「なんか、大事が動き出しそうだからね。来てみたのさ」
スティーブン:「大事って?」
ローラ:「それが解ればこんなところへ来ずに、直接現場へ行ってるよ」
・スティーブンが、真顔になって。
スティーブン:「何か、兆候があるのか?」
・ローラは、可哀想な人を見る目でスティーブンを見る。
ローラ:「女の感さ」
・スティーブンが、なんだそりゃと、表情を崩す。
スティーブン:「え、えぇ…?」
ローラ:「エミリー、お前には解るだろ?」
エミリー:「はい、お義母様」
・ローラが、壁に掛けられた1枚の写真を見る。
その写真には、16才位の少女が写っている。嬉しそうに、隣の誰かの太い右腕を抱えるようにして(隣の誰かは、写真の枠から外れてしまって判らない)、屈託のない笑顔を浮かべている。
ローラ:「何の理由があるのか知らないが、何て罪作りなことをしてくれたんだい。英雄さんよ。この2人が可哀想じゃないか…。」
・240929改稿
①《ライディン鋼》の説明を追加。
【神沢コメ-4_230326】
ロミオとジュリエットは、世界中の物語で語り継がれるストーリーですよね。けど、この物語はバッドエンドなので、ハッピーエンド好きの神沢には馴染みません。個人の趣味ですけど、ジュリエットも幸せにならないと。
身分の違う2人悲恋物語…とか、幼馴染の報われない恋とか…の設定も、ロミオとジュリエットのバリエーションだと思うんですけど、これもやっぱり幸せにならないといけないって思います。
【神沢コメ-1】でお話したドラえもんとのび太の物語も、実はロミオとジュリエットなのかも知れませんね。
あっ、そうそう〈ドリー〉という名前には、「ファイディング・ニモ」のドリーも少し入っていますね。
[記号凡例]
①〖〗 エピソード番号 起承転結に分けて採番する。〖資〗は資料編。
②【】 主に、場所を記載する。
③〈〉 氏名・固有名詞・用語。本文中に説明があることがある。
④《》 氏名・固有名詞・用語の説明。
本文中と資料編「登場人物・用語集」に説明がある。
⑤ ・ 主に、登場人物の動きや表情を記載する。
⑥ ・ アニメで言う背景・ドラマで言うセットの内容を説明する。
⑦ 名前:セリフを記載する。例)ドリー:「こんにちは!」
⑧ 説明:状況を説明する。
⑨[] :神沢メモ他を記載する。
⑩ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ :シーンとしての区切り。
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