脳のカケラ

「うぉーーー!」


自分的には目にも止まらぬ速度で走る


後ろからサギョウが追いかけてくる様子もなく、ただ泥をかけられたという事実だけを受け止め、ただ棒立ちになっているだけだった


安堵し、そのことで呼吸も落ち着いてきた



しばらく、体力がない中でも維持できるスピードで走った――すると、前の方に工場のようなものが見える


随分昔に捨てられたのか、外装の壁は随分崩れ落ち、少しうす気味悪い


そして、工場で道を塞がれ、先へ行くためには、工場の中を突っ切らなければ行けないのだ


「入りたくねぇな…」


そうつぶやきながらも先へ進むために渋々と入る


内装は意外としっかりしており、外装の雰囲気通り、電気があまり通っていない


何かないかと散策していると


――ガチャ


「なんだ!?」


四つ角の入り口から左上辺りの地面を踏むと、異変が起こる


ザザザザッ、と左の壁から上へ続く階段が現れた


驚き、少し足が後ろへ引きずってしまった


「なんだこれ!?秘密の部屋へ続く隠し扉見つけちゃったか!?」


少し怯えながらも、好奇心に駆られた俺は止められず


「流石に気になるよなぁー」


体勢を立て直し、登っていった


コンコンッ


「なんなんだここは?何かの施設か?」


最初の部屋には、特に突出したものはなく、何に使われていたかは不明だ。何かに使われていた施設とは思えなかった


だが、1つ、出口付近の方に、糸のようなものが一本張ってあった。



登って行くと、1つの部屋へ突き当たった。

そこの部屋へ入ると


「――ッ!ひっ…人?!」


カプセルの中に液体が入っており、そのカプセルの中には人の姿もある。それが大量に


「気味が悪いぜ」


奇妙に思いながらも、そのカプセルへ近づく


カプセルをノックしてみる


「おーい、生きてますかー?」


「死んでいますよ」


声が聞こえた右を見る


「サ!サギョウ!お前はあそこにいたはずだろ!」


「お気になさらず。わざわざ自らの足でワタクシの研究室、『脳の管理室』へ来てくださり、どうもありがとうございます。」


サギョウがお辞儀をする


「脳の管理室?なんだそれは?」


「ワタクシが説明してあげましょう」


コンコンッと足音をたてながら、こちらへ近づく


「人間には、脳のカケラというものがあります。その脳のカケラは、人、自分自身を操るためには欠かせない、人には必要なものです」


サギョウは不気味な笑い方をしながら、カプセルの人を見つめ、カプセルを撫でる


「この人たちが、その脳のカケラを提供してくれる人です」


「提供?」


「はい、頭の中に手を入れ、脳の中枢部にある脳のカケラを取るんです」


その行為の気持ち悪さに、すこしおのの


「な…なぜ?そんなことを?」


「それは、ワタクシの、心の能力『操作マインド』のさらなる向上のためには必要なのです」


「マインド?」

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