戦いの「た」の字

「どうぞ!」


俺はサナを少女に手渡しをした


「お兄さんありがとう!」


「いいや、感謝すんなら俺じゃなく、コイツにしてくれ」


俺は目でガルの方へ少女を誘導する


「ありがとう!お姉ちゃん!」


「いやー!そんなことないっつーのー!」


遠慮しつつも嬉しがるガル


「じゃぁね!お姉ちゃん!お兄さん!ありがとうなのー!」


「行ってしまったな、ガルはどうする?」


「おもしろそーだからまだ一緒にいようかなー」


それを承諾した俺は、ガルと適当にぶらぶらとソウキョウ街を歩いた





随分立った頃だ、初めの朝方からもう正午を過ぎた頃ではないだろうか。俺はなにかのイベントなのではないかと期待し、毎度毎度街の悩み事や助けが必要な人を助ける、お助けマンになっていた


「じゃーねー」


「バイバイ!ありがとう!」


ガルは元気よく、少年へ手を振るが、俺は複雑な感情を抱いていた


「あれー?どうしたのー?浮かない顔して?」


意味もない苦労へ遂に不満が爆発する


「報酬も!次のイベントで繋がるものとか!貰えないのかよ!?win-winの関係築こう!助けごとは気持ちいいが!?早く次のステップ行こうじゃないかー!」


「あんた何言ってるのー?だいじょーぶ?」


転生者、主人公としての扱い方がいつも観ているアニメとは違い、怒り、焦りを感じていた。


覚悟した、もう待っているだけではダメだ、自分から向かいに行かなければイベントは起こらないのかもしれない


「なぁなぁガル、ここらへんで、いかにも魔物とか、魔族とかに侵略されてそうで、倒したらチヤホヤされヒロインたちに囲まれそうな場所ってないか?」


危険な場所でのイベントなら、覚醒やら色々あるだろうと考え、自ら飛び込む気だ


「なにをいってるのー?」


「つ、ま、り!危険な場所だ!」


「え?そんな場所行ってどうすんのー?」


「いやー、特にないけどー…」


「行くんじゃないよねー?」


「いや!い、行かないさ!」


いや、行く。ここで止められたらおれの転生lifeに始まりすらしない


俺ならどんなイベントが来ても生きれる!だから、危険な場所でのイベントを築き、最強スキルで難なくこなす!――予定…


「ほ?ほんとー?」


「本当さ、安心しろ」


「じゃーなんでしりたいのー?」


「そ、それは、そう!逆に近づかないようにするためさ!」


「なるほどー!」


ポンッと納得したように手の平に拳をぶつけた


ギャルだから助かった、普通の人なら一発KOだった


「ないといえば嘘になるかなー、だけど本当に危険だよ、そこはね――」



ソウキョウ街の東のハズレにある森、ファイストの森。奥は薄暗く、木々草花が生い茂っており、素足であしを進めるのは困難極まりないほどのがんじがらめな森


そこはいわゆる、危険な場所。未知な上、視界は劣悪で、何が出てくるかは分からないと言われている。


なんとしてでもはやく能力を覚醒させ、使いたくて仕方がなかった


「いくか」


俺はその森へ足を進めた

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