魔法の心技体
「キュピーン」
実際にはそう口に出してはいないが、言い放ってそうな彼女はガルという名前のギャルだ
「おーい、どうしたのー?いきなり固まっちゃって?」
ギャルの未知故の恐怖に、身を硬めていた
「おーいおーい」
手を俺の顔の前でかざす
「――いくぞ!サナ!」
サナを急いで抱きかかえ、走って逃げる
「え?え?どーゆーこと!?ま、待ってー!」
「ハァハァ…」
「疲れるの早すぎじゃね」
30秒程ダッシュしただけで体力の限界を迎えてた、ガルとの差も微塵も空いてなかった、逆にあのいきなり逃げ出したアドバンテージを埋めるぐらい縮んでたぐらいだ
「なんで、いきなり逃げるのさー?」
「――怖いから」
「コワイ!?私が?そんなに変な顔してたかな?前髪変だった!?」
目を上に向け自分の前髪を見るように、手で揃えていく
「いや…そういうわけじゃなく」
「じゃーなんなのー?」
「あまり…僕が、あなたみたいなギャルが得意ではなくてー」
「さっきからギャルって一体なんなのー?私みたい?それ!もしかしてー、ちょーイケてるやつって意味!?」
ギャルにぴったりな分かりやすい言葉、例えがないか探す
「いや…ちがくて、ちょー…なんて表現すればいいんだ?」
「気になるじゃんかー?まあイケてるやつだねー、それはそうとして、ネコの持ち主?」
「ちがう、このネコの持ち主の少女の手伝いで一緒に探してたんだ」
「じゃー届けなくちゃねー」
「なのでそういうことで」
回れ右をし、駆け足で歩みを始める
「ちょちょちょ私も連れてってー!あんたの名前も聞いてないしー!」
「な、名前か?名前はレントだ」
「レントかーよろしくねー、それでーどこからきたのー?」
もういいだろとツッコミたくなるが答える
「日本」
「ニホン?絵本じゃなくてー?」
「にほ――」
いや、ここは異世界だから通じないのか
「実はどこから来たのか分からないんだ、ここもどこなのかも実のところわかってない…」
どこから来たのか以外を正直に話す
「えー、記憶喪失ってやつー?」
「少し違うがな」
「ならなら!私がー教えてあげるー!この街のこと!」
「本当か!?」
「ほんとほんとー、この街は、ソウキョウ街、この世界の都市だねー、かなり栄えてるでしょー」
東京と少し似ている
「じゃあじゃあ!この世界に!魔法!超能力!はあるか?」
「そんなことも知らないのー?ホントに何も知らないじゃーん。あんたの言う通りあるよー」
「え!?まじで!!」
魔法があることを知り、ワクワクが押さえられず、前のめりで聞く
「この世界にはー、
「おぉー!めちゃめちゃ楽しみになってきたー!俺はどんな能力が使えるんだ!?」
「それは、わかんないよー!私も全部知ってるわけじゃないしねー」
「どうやったら?わかる?」
「普通なら、感覚的に分かるはずなんだけどなー?」
感覚的にと言われても今まで普通の暮らしをしていた俺には分からない
「そうか!そういうもんなのか!」
「そそー」
「長々と、どうもありがとうございます、ギャル大先生。」
「ギャル大先生って、照れるなー」
照れくさそうにうつむくガル
魔法があることを知った俺は、少女へサナを届けに行く。
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