ヒロインは美少女

「さーて、何をするかな?」


ワクワクしながら足を弾ませる


「異世界転生アニメだったら、まずはヒロインを助けるところだよな!どこだ?どこだ?俺の新たな開幕を迎えてくれる、メインヒロインは?」


キョロキョロとしながら辺りを見回す


「まだ、それらしき女の子は、いないな、探してみるか!」


とりあえず歩いて見ることに決めた



30分ぐらい歩いたところで、困っているような顔をして、探しものをしている女の子に出会った


「最初のイベントきたー!」


少女に近づく、なるべくキメ顔で


「どうしたんだい?お嬢さん☆」


自分史上最高にイケてるセリフだ


「あ…探しものをしてるの、家の猫なの」


「なーんだ、簡単じゃないか☆」


てっきり、なになにが盗賊に盗まれたの、助けて!みたいな感じだと思ってたが


「まだスキルがかくせいしてないからか?簡単すぎでは?いや、探している途中に、襲われるんだ、きっと。そこで俺は、シュパパパと倒しちゃうのか!ハッハッハッハ!!」


「何を言ってるの…?」


「いいや!なんでもないさ!ハッハッハッハ!」


俺は期待に胸を膨らませながら、猫探しに手を付ける

少女曰く、猫の特徴は全身が白く青い目を持った猫らしい

猫の名前はサナと言うらしい




もう小一時間程だっただろうか


「おーい、サナちゃんやーい、出ておいでー!」


「サナちゃーん、どこいったのー?」


二人で呼んでみるが一向に出て来る気配はない


「二手に別れて探してみようか」


「うん、分かった」


少女は出店のたくさんある、人通りの多い方へ。俺は人通りの少ない、路地へ向かった


「でてこぉーぃ…はぁ…全然見つからないじゃないか!最初のイベントがこんなんじゃ面白くないよ!もっと難しいイベントでスキルが覚醒するもんだろ!しかも一体!魔法はあるのかここは?ただ特殊な動物がいる、平和な動物園じゃないか!?ホントにどこにいるん――いた」


「ミャ〜オ」


暗闇の中にポツンと座っている光る青い目、サナだった



――だがもう一つ、いやもう一人ポツンと座る人間


「うんうん、なにそれー!ちょーカワイイ!」


猫に喋りかけるへんな女子


ちょー短いスカートに、ちょーカワイイうすだいだい色のカーディガンにちょーイケてるリボン、ちょー聞いたことある口調、肌は黒くはなく、カーディガンの少し白くした色、さながらそれは前世のそう平成の“ギャル”ってやーつーじゃーねぇー


「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャルだ!」


前世の俺は陰キャ、大した特徴のない、妄想大好き野郎だったから、ギャルとか陽キャに適正なんてない


「え、なにー、お前ギャルて名前なのー?」


「ちちちちげぇー!お前だよお前!」


「え!?あたし?私ギャルって名前じゃないよー、私の名前は…ガル!」


名前を叫びながら勢いよく立ち上がり、右手の人差し指指を口元にさすようにし、片足を外側にあげ、決めポーズを取る、金髪に左寄りに結んだポニーテールがひらりと舞う、笑顔が輝き、黒く艶のある瞳が揺れる、なんとも美しい姿だった。

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