最初は異世界転生しなくちゃ

誰向けに言っているかは自分でもよく分からないが、自己紹介でもしよう。


俺は、恋人れんと、高校2年生、そこそこ伸ばした髪に、平均的な体格。特に取り柄もない、特徴もない陰キャ、アニメやラノベが唯一の趣味、休日は家でゴロゴロすることが多い、今もゴロゴロとしている。こいびとと書きれんとと読むが、安心しろ彼女いない歴=年齢。この名前は一生嫌うことになりそうだ


と、そんな俺の自己紹介はどうでもいいか




「…」


俺は一人暗い部屋の中、ベットの上で、忙しなく動く画面をもつスマホを眺めていた。


アニメだ、アニメはアニメでも、男1女4とかいう現実味がない状況だ。


「羨ましいー!!!」


俺TUEEE、いわゆる主人公最強ハーレム、ムフフでエッチな、なんとも羨ましい状況なパイオツ系アニメだ


「死ね!タヒね!氏ね!全部のレパートリー使い切ってやったわ!なにが、「す、好き…です!」「ば、バカ!な、何いってんだ…よ♡」おめぇーが何いってんだよ!主人公?転生者?なにか知らねぇーが!うぜぇー!誰がこんなの好き好んで見るか!ボケ!」


俺は立ち上がりスマホをベットに思い切り投げた


「おれも、清純派メインヒロインとイチャイチャしてぇし!ツンデレ金髪美少女と口喧嘩してぇし!パイオツでかいお姉さんに誘惑されてぇし!天真爛漫ロリに抱きつかれてぇ!てぇてぇなぁ!うーらーやーまーじぃー!」


俺は煩悩にまみれた戯れ言をベットに吐き捨てながらのたうち回った。



数時間後、アニメを見終わり、見終わったあとの謎の虚無感に駆られていた


外は暗く、その暗闇の中でも点々と光が顔を出している


「もう3時か…寝るか…」


さっきまでの元気はなく、最終話を見て満足をしていた、それまでではなく続きがないかまでも気になっていた…


「くそっ、悔しいな、おもしれぇ」


そうつぶやきながら目を閉じる


「俺も、転生したいなぁ、したなら、周りに美少女多めで、最強で、イケメンな、主人公補正マシマシで頼みますよ…」


意識がだんだん朦朧もうろうとしてきた


いつの間にか眠りについていた



全身の血が体中に巡るのが分かる、不思議な感覚だ。血の巡りと共にすごい力が湧いてくる


――なんだこの力






眼が開いたのはあっという間だった、何時間経ったかは分からない


そして…


「ここは?!どこだー!?!?」


周りにはどう見ても人には見えない生物、耳が生え、尻尾が生え、牙が生えている


「ここはどこだ?本当にどこだ?!俺は、異世界転生系主人公とはちがい飲み込みはそんなに早くないんだよ!」


こんな状況異世界転生としか思えないと思いつつも、どこか疑っていた、あんなことを考えながら寝たから、それが影響したのではないかと考える


「よし、確かめるなら、この方法しかない!」


賑やかしい、近くの出店のようなところへ急いで向かう


「おっちゃん!この食べ物、一体いくらだ?」


「あぁ?ここに書いてるだろうが!95ウェンだ!」


「ん?円?」


「ウェン!」


「ウェン!?」


「そうだ」


「じゃ!、じゃぁさー!この食べ物の、名前は?」


指をさしたのは焼きそばのような食べ物


「ばびそばだ!」


「焼きそば?」


「ばびそば!」


「ば、ばひそば!?」


そんな、全く聞いたことのない通貨、既視感のある食べ物の名前を聞き


「きーまーしーたーわぁー!転生確定演出!異世界転生アニメでは、通貨の名前も違う、食べ物は既視感のある名前。日本語は通じる、獣人があちらこちらにいる、ここは――異世界だー!!!」


異世界転生に感極まる俺


「まずは人助け!そこから、キャー!ありがとうございます!お礼に家に来て下さい!なんて風になるのがお決まりのお決まりだからな!」


という風に俺の転生lifeが始まった。

この時は、まだ俺はこの異世界での主人公だと勘違いしていた。

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