盗品ばかりを盗む――もとい取り返す怪盗がいる。
現場には「深緋のホウキギ」のひと枝が残され、人々は彼を「怪盗コキア」と読んだ。
冒頭プロローグは若い刑事の視点から始まるこの物語、しかし読み進めていくと、本当の主人公がわかってきます。本作では、まだ世に出ていない名画を盗んでそれを自分のものとして発表し、脚光を浴びるようになった自称画家と、名画を取り戻さんと作戦を講じる怪盗のやり取りが、丁寧に描かれてゆきます。
怪盗といえば義賊というイメージが強いですが、この物語の怪盗コキアも例に漏れず。
まだ世に出ていない芸術は、自称したもの勝ちなところがあります。これは絵画だけでなく、小説やイラスト、様々な分野のクリエイターが頭を悩ませる問題でしょう。
ですから怪盗は絵画をただ取り戻すだけでなく、自身の実績を利用するのです。
では具体的に、どんな作戦を講じたのか?
ライトな読み口で進むライトミステリーですので、どんな方でも気軽に楽しめます。ぜひご一読ください。