第16話 手紙
『ともやくん! これを読んでる時には私はもうこの世界にはいないんだね。
ともやくんに出会えて私の人生はすごく幸せだったよ! ありがとう。 実はね、ともやくんとの思い出を小説にしてみたんだ! まずはそっちから読んでみて!』
手紙を一旦しまい、何十枚もある原稿用紙を手に取り小説を読み始めた。
『小学四年生の頃に大人まで生きれないと言われた。なんのために生きるんだろう』
『なんで私なの? 何か悪いことした? 早く死にたい』
小さい頃から僕とは比にならないくらいの苦悩を彼女は感じていたのだろう。読み始めから胸が痛くなった。
『公園にいっても昨日までみたいに楽しく遊ぶ気にならなかった。そんな時、一人の男の子が暗い私を見つけて笑わせようとしてくれた。
それでもそんな気にはなれなくてずっと無視してた。しかし、彼はずっと話し続けてきた。時々おかしいことを言うので思わず笑ってしまった。
笑った顔を見ると彼の話しは一瞬止まり、嬉しそうな顔を見せた後にまた話しを続けた』
『私は楽しそうでいいねと思ってることを口に出してしまった。すると彼は楽しそうにしてると楽しくなるよと教えてくれた。
その言葉だけで少し体が軽くなった気がした。私もそう思えば楽しく生きられるのかな』
彼女がいつも笑顔だった理由が少しわかった気がした。
『その日から私はともやくんのおかげで変われた』
え…この男の子は僕なの? 小説を書くために少し話を変えたのだろうか。分からないまま読み進めた。
『今日転校することになった。仲良くなったともやくんと離れるの寂しい。それでも約束した。絶対にまた会うって。それまで私の体もってるといいな…』
ようやく思い出した。僕はありさと小学校の頃に会っていた。性格が変わりすぎて分からなかったがあの時お別れをしたのは君だったのか…
なんでもっと早く気づけなかったんだ…
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