第15話 彼女の最後
もう長くない。何をしていても頭の中に死がちらついてしまう。神様がいるなら病気を治してほしい。もっと長く一緒にいたい。
そんなことを授業中に考えていると携帯に通知が来た。彼女からのメールだった。
『会いたい』
メールを見た瞬間僕は教室を飛び出した。先生はいきなりのことでびっくりしたのか止めてこなかった。僕は急いで病院に向かった。
病室に着くと痩せ細って顔色の悪い彼女がいた。
「ともやくん…きてくれたんだ」
「いつでもくるよ」
「ごめんね。急に怖くなって。この世界から消えるのが」
彼女の手を握った。以前よりも随分と小さく感じた。
「私、ともやくんのことが好き。大好き。この先もずっと一緒にいていろんなところに行きたかった。ともやくんは私のことを変えてくれたんだよ」
「僕も君…ありさのことが好きだ」
「やっと名前で呼んでくれた。遅いよ」
彼女は呼吸をするのもきついはずなのに精一杯の笑顔を見せてくれた。
「ごめん、なかなか言い出せなくて」
「でも聞けてよかった。ともやくんのことずっと好きだったよ」
「ありがとう」
そう言い、彼女を優しく抱きしめた。ずっとこの二人だけの時間が続けばいいと思った。しかし、数時間後彼女は息を引き取った。
「ともやくん、最後までありさと一緒にいてくれてありがとう。これありさから渡すようにお願いされてたの」
目を腫らした彼女のお母さんが僕に手紙と原稿用紙を渡した。僕はその場で急いで手紙を開けた。
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