第14話 変わっていく彼女

「僕は君が好きで君みたいになりたいって思ってるよ」 


 言わずにはいられなかった。今伝えないと一生言えない気がした。


「嬉しい…そんなこと言われたの初めてだよ」


「君だったら告白くらいされてるでしょ」


 彼女の容姿の綺麗さだ。きっと小さい頃からモテてきたに違いない。


「そんなことないよ。私もともと暗い性格だったから」


「それは想像つかない」


「自分でもびっくりするくらい変われたんだ」


「なにかきっかけでもあったの?」


「んーそれはまだ内緒かな! でもいつか教えてあげる」


「わかったよ、それまで待つよ。また明日くるからね」


「お待ちしております!」


 それから僕は毎日放課後に病室へむかった。次第に彼女の身体は痩せ細り骨が浮き出るようになってきた。長く生きてほしいという希望とは裏腹に彼女の状態は悪くなっていった。

 

 学校が休みの土曜日に僕は午前中から病室に行った。最近彼女は僕が来るまで小説を書いてる。集中してるのかこちらに気づいていなかった。


「調子はどう?」


「びっくりした! 順調だよ! この小説だけは絶対最後まで書くんだ!」


「楽しみにしてるよ」


「ともやくんには一番にみせるんだ!」


「でも無理しすぎないでね」


「大丈夫大丈夫!」


 その後も他愛もない話しを続けて夕方になったので帰ろうと思い病室を出た。すると外には彼女の両親がいた。


「ともやくんいつもありがとう。今少し話せる?」


「大丈夫ですよ」


 そう言い近くのベンチに腰をかけた。


「毎日来てくれてあの子もすごい幸せだと思う。前は学校にも行きたくなかったみたいだけどともやくんと出会ってから変わった気がするんだよね」


「変われたのは僕の方です。僕は彼女に全てを変えてもらいました」 


「そう言ってもらえてよかった。あのねともやくん…ありさもう長くないみたい…」


 彼女のお母さんは泣きながらそう伝えた。覚悟していたつもりでもいざその事実を突きつけられると頭が真っ白になった。

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