第17話 彼女の小説
『私は変われた。絶対にともやくんにお礼を言おうと思った。それでも6年ぶりに会ったともやくんは別人になっていた。その事もあってなかなか話しかけられずにいた』
君はあの屋上での出来事の前から僕に気づいていたんだね。
『ともやくんが屋上から飛び降りようとした時はすごく怖かった。でも話すことができた。今度は私がともやくんに希望を与えたいと思った』
だから君はあんなに僕に気にかけてくれてたんだね。今になって彼女の行動の意味を理解し、また涙がとまらなくなってしまった。
『今日はともやくんとデートをした! 買い物に付き合ってもらっただけだけど! ゲームセンターで見た彼はいつもより笑顔が増えた気がする。すごく嬉しかった。』
『修学旅行で好きな人と着物を一緒にきれた! 本当に幸せだった。何回も写真を見返した。』
彼女の小説に書かれている事は僕との思い出ばかりだった。
『ともやくんが私の人生は変えてくれたんだよ! すごく楽しい17年間だったよ! 本当はもっともっと一緒にいたかった…』
『私のこれから起こっていたであろう楽しい思い出たちはともやくんに譲るね! だから君の人生はこれからもっと楽しくなるよ! こっちにきたら思い出話しきかせてね! もちろん長生きした後にね!』
『それまで私は楽しみに待ってるね』
もちろんだよ。もう絶対に自殺しようなんて思わない。君の人生の楽しい思い出ももらったからね。
僕は泣きながら小説を大切にたたみ、次に手紙をあけた。
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