第3話 三度目の場所

 次の日、僕が登校して教室に入ると彼女の姿があった。僕のクラスメイトと話をしていた。

 普段僕が周りを見ないだけでよく教室にきているのかなと考えていたら彼女も僕に気づき、目があった。人見知りの僕は特にアイコンタクトも送らずにすぐに目を逸らした。彼女も話しかけてくる様子もなくいつも通りの日常がそこにあった。


 ホームルームが終わり、授業の準備をするため、机に手を入れると付箋があることに気づいた。その付箋を取り出して内容を確認した。


『今日の昼休み屋上にきて! ありさより』


 クラスメイトの名前もろくに覚えれていない僕はありさが誰かわからなかった。昨日会った彼女がありさなのかもしれない、名前を聞いとけばよかった。


 昼休み屋上に行くと柵を手に置いて後ろ向きの彼女の姿があった。まだ僕の存在には気づいていなかった。彼女がありさじゃない可能性もあるため、僕はなんて話しかけるか迷っていた。しかし、その間に彼女は僕に気付いた。


「ともやくん! 付箋気づいてくれたんだ!」


「流石に一時間目の授業の教科書に貼ってあったから気づくよ」


「流石にわかりやすかったか」


「それで今日はなんで呼び出したの?」

 僕はすぐに本題に入った。世間話しをできるほどのコミニケーション能力がないからそのくらいしか話題をふれなかった。


「私、ともやくんの友達になろうと思って!」


「え、なんで? 僕はもう自殺なんて考えないから大丈夫だよ」

 

「それはまだ安心できないな! 何をするかわからないもん」


「それはなんとも言えないけど、でもなんで友達なの?」


「彼女の方がよかったの?」

 そう言うと彼女は悪戯っぽく笑みを浮かべた。


「いや、そういうことじゃなくて」


「うそうそ、冗談だよ! でもなんか友達になりたいって思ったの! 私、思いついたら行動せずにいられないの」


「僕とは真逆の性格だね」


「そんなことないよ、だって…」

 彼女はそこで何かを思い出したのか話すのをやめた。表情から笑顔が消えたような気もしたがすぐに元の笑顔に戻ったため、気のせいだったようだ。


「とりあえず放課後に二年一組に集合ね!」

 彼女はそう言うとすぐに屋上を後にした。僕に反論する隙を与えなかった。特に放課後何かあるわけでもないし、行ってみるか。


 放課後になり、僕は来たことを後悔した。二年一組に入るとそこには彼女以外に二人いた。 

「彼が今日から文芸部に入るともやくんです!」

 彼女は僕が入るとすぐにそう話した。何を話しているのか全く理解できなかった。状況が飲み込めず固まっていると、彼女以外の二人も固まっていた。

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