俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
二部第18話 変態、奇行種の奇行制御不能、オワタ
二部第18話 変態、奇行種の奇行制御不能、オワタ
更科夏輝with手錠inダンジョン。
なぁああああんでだよぉおおお!
最悪だ。エマに連れられてダンジョンにやってきた。流石、国際的アーティストにして冒険者あっという間に許可をとってダンジョンに入れた。
「よおおし! じゃあ、アタシのストレス解消にどつき合いください! サンキュウウ!」
「おつきあい、な! っていうか、分かったから、手錠外せや! 俺はいつまで容疑者N君やればいいじゃ!」
めっちゃ恥ずかしかった! 海外で囚人がダンジョン入って魔物を倒して少しでも刑期短くするっていう恐怖動画でしか見た事ないような画で、ダンジョン警備員もめっちゃ俺をガン見してた。
「いやー、でも、ナツキ嬉しそうじゃね」
ちょっとね……じゃねーんだわ!
俺は、父一輝と違ってそういう趣味はない! 父がそういう趣味あるっていうのがとっても悲しいですけど!
「でも、妹ちゃん嬉しそうじゃね?」
「はあはあ……兄さんの、大好きな兄さんの貴重な手錠姿」
我が妹更科秋菜が、ハアハア言いながらずっと俺の写真を撮っている。
さっきの家族大切発言とその前の二世勇者とのやりとりがあったせいか、秋菜さんのブレーキがぶっこわれているようだ。ずっと、念話で声を掛けてくる。
念話でも、吐息が混じっててこわいよう。
エマの屈強なアメリカンSP、コードネームチクワとカマボコでさえも『OH……』って困惑してる。
「はっはっは! まあ、魔力制限はもう解いてあるからさ。ハンデだと思ってそのまましててよ」
「ハンデ?」
「……アタシと、ハンデ付のナツキ、対、妹ちゃんとそっち3人でどっちが先にダンジョン核に辿り着けるか勝負、どう?」
そう言いながらエマは、秋菜と一緒に来ていた東江さん、上田さん、鈩君を見る。
「……ダンジョンにゲーム感覚で挑むなんて良くないと思います」
東江さんが多少ピリつきながらエマに向かって言い放つ。女の睨み合い怖え……! っていうか、上田さんもプライドが傷ついたのか東江さんと一緒になって睨んでるぅ……。
「遊びじゃなくて真剣によ。本気のゲーム。それに、チクワとカマボコがそれぞれセーフティーでつくわ。彼らはそれぞれアメリカのA級よ。ああ、まあそっかー。アンタ達が弱いから、ナツキが守ってあげなきゃいけないんだよねー。じゃあ、仕方ないかー」
おいぃいい! エマァアア!
強烈な挑発をかますエマに俺が『にらみつける』をつかうが、それ以上のにらみつけるが背後から突き刺さる。鈩君以外の三人がめっちゃキレてるぅうう。
「ええよ。やってあげるわ。後悔させたげるきん、ねえ、あかり?」
「そうやねえ……! こんなはがい気持ちになったん久しぶりやわ」
「この女、二度と兄さんに近づこうと思えないくらい倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す」
俺と鈩君は目を合わせ、たはは……と笑うしかない。
こうして、勝負が始まった。
今回のダンジョンは【
その名の通り、岩の巨人が現れる。動きは遅いがとにかく硬い。なので、撤退は簡単だが、進むのに時間がかかる。その上、ここは穴が色んな方向に出来ていて方向感覚が狂いやすい。まあ、競争するにはいいダンジョンかもしれない。
「じゃあ、同時スタートでどっちが先にダンジョン核に辿り着けるかねー」
まるでバカンスに行くかのような口調でエマが言っている。とはいえ、装備は、最新の強化ラバーキャットスーツの上にドレスアーマーを着て、攻撃用ガントレットを付けている。
やる気満々だ。東江さんたちもショップに連れていかれ、最高級の装備を奢ってもらってた。いいなあ!
「ナツキは装備いらんだろー?」
いや、そうなんだけど、やっぱ男の子だから憧れはあるのだよ。伝説の剣とか鎧とか装備したいのよ。伝説級ではないが、出来るだけ懐にもダメージを与えようとしたのか東江さんたちは一番高い装備を買わせていたが、エマは気にする様子もなく黒いカードを出していた。流石、アメリカンドリームやでぇ……。
「じゃあ、準備はいいなー? よーい……どん!」
エマの合図で一気にスタートダッシュを決めるチーム東江。秋菜の念動力と、東江さんの氷嵐で体を運んでいるようだ。カマボコさんはそれを追いかけていく。はええ……。
「おーおー、はやーい」
「っていいのかよ、そんな余裕で」
スタート地点でじっと秋菜達を眺めているエマに俺はため息をつく。
「あん? いーのいーの。どうせすぐに追いつくって、ナツキも考えてるだろー?」
「……まあな」
正直、東江さんたちは頭に血が上りすぎている。それに比べて、エマは冷静だ。
向こうがスタートダッシュ決めてる間にダンジョンの構造や魔物たちの配置を調べていた。
それだけで、今後の展開がある程度読める。その上、
「じゃあ、行こうか。一気に」
コイツはマジでヤバいからな。
エマが魔力を解放する。始まる始まる。
俺もチクワさんも全力で防御する。
「ん……あああああああっ!」
エマの口から放たれたのは、魔力のブレス。
一直線にレーザーのように飛んでいくそれは岩壁を消滅させ道を作っていく。
出来た穴の横穴から、いや、向こうの方が正規ルートだったんだろうけど、そこから顔をのぞかせ驚いている東江さんたち。
常識なんてないんだとこの女で学んでほしい。
「はっはっは! 道は切り開くものってなあ! よおおし! いくぜえ! ナツキ!」
俺はチクワさんをスライム足で絡めとる。チクワさんも状況が理解できたようでおとなしくなる。そう、コイツと一緒に行くのなら、もう常識にとらわれてはいけない。コイツの奇行についていくしかないのだ。
秋菜達に背を向け大きく息を吸い込んだエマは、飛び上がり思い切りブレスを放つ。あえて、踏ん張ることをやめたエマはしがみついた俺を背中に乗せ、ヒップアタックのような形で、先ほどのブレスで作られた穴をまっすぐに飛んでいく。
「は、はああああああ!?」
「あっはっは、バ~イ♪」
顔を出した岩巨人達を俺とエマのヒップアタックでどんどんと潰していく。
クレイジープリンセス、エマの奇行に付き合う恐怖のツアーが始まった。
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