俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
二部第13話 変態、お家BBQでMAMA決定戦、オワタ
二部第13話 変態、お家BBQでMAMA決定戦、オワタ
「はい! わたしは更科トウカです!」
「んぎゃわぃいいいいいい! よく出来ましたぁああああ!」
ウチのトウカが自分の名前を言えた。赤飯を炊かねば。
「まあ、よく考えたら、コイツだけ例外ってことはないよな」
「溺愛の血は間違いなくあったんだろう」
アホと眼鏡が何か言ってらあ。
姉や妹とは違うぞ。俺は。
「そう思いつつ、更科夏輝、スマホを連写し続けているぞ」
おっと神辺先輩に言われて初めて気づく。
だが、俺はトウカの全てを撮りたいわけではない。
そんなヤツがいたらマジ56す。
「そして、その溺愛連写の様を君の妹に撮られているぞ」
おっと神辺先輩に言われて初めて気づく。
秋菜が俺とトウカを撮りまくっていた。やめなさい。
いや、待て?
ここここここここれは娘とのツーショットなのでは?
「トウカ、パパと写真一緒に写らないか?」
「ん~? んんー!」
こてんと首を傾げたトウカが意味を分かってない様子だが、両手を広げた俺の所にとてとてと駆け寄ってくる。
は?
かわいすぎるんだが?
俺は天使を抱きしめ、秋菜の方に二人で向く。
「秋菜、撮ってくれるか?」
「……! ににににににいさんが撮ってって? あああああああんな素敵な笑顔で? ししししししかも、なんかこれってふふふふふふふふふうふふふふふふふみたいじゃない?」
負が多いな。
だが、秋菜の撮影技術は間違いなく本物。
フツメン俺が被写体なのに、賞を取ったくらいだ。
秋菜の連写が今は心地よい。今俺は娘とツーショットを撮っています!
「なんか、アタシ嫉妬しちゃうかと思ったけど、思った以上にこれは……」
「武藤さんも? 私も弟をとられたような気がしてたんだけど」
「そうですね、あんななつきさんの笑顔」
「うむ、父性溢れるナツの笑顔は、良いな……」
涙が出てきた。
トウカのお陰で、変態共の変態性がなりを潜めている。
奇跡が起きている。
流石トウカ! さすとうだ!
だが、段々とトウカの身体が熱くなってきて、トウカが俺にもたれかかり始める。
「むにゃ……」
んぎゃあああああああああああ!
ぎゃわぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
おねむか!?
おねむの時間なのか?
めをごしごしさせるトウカに俺は話しかける。
「ねむたいのか? トウカ?」
「うん、ねむい。トウカ……寝る」
トウカを抱きかかえ、部屋に戻ろうとする俺だったが、トウカは
「ぱぱ、ねるね」
「ああ、おやすみトウ、カ……!」
寝返りをうつようにごろんとしながら俺の身体の中に入っていった。
「え?」
そして、俺の身体の中に小さな熱が少し灯ったような気がした。
「か、神辺先輩! トウカは!?」
「ふむ……君の中で眠っているようだ。心配するな、呼吸のような揺らぎは見える。恐らく、魔物ではなく魔力体とでも呼ぼうか魔力体であるトウカ君にとってこちらの世界自体はダンジョンのように魔力が充実しているわけではないから定期的に魔力を取り込むために君の中で眠る必要があるのだろう」
そうか。ダンジョンの外に出るなんて普通の魔力体(魔物)はしない。
魔力が酸素のようなものだからだ。
トウカも外に出ることは出来るが、ずっとではないということか。
「次にトウカ君が目覚めるまでにどのくらいの時間がかかったかを是非教えてもらいたい。あと、どういう状況かも、体調や記憶、そういったものも確認しておいてくれ。いや……定期的に行くべきか。君も無事かどうかは毎日聞かねば不安だろうし。よし、毎日君の所に伺うからチェックさせてくれ」
「あやしい研究の手伝いはしませんよ」
「トウカ君の為に専用の研究者は必要だと思うが?」
「ぐぬぬぬう! わ、わかりました……!」
「はっはっは! 交渉成立だ!」
かわいい娘の為だ。致し方ない! パパは娘の為にがんばるよ! トウカ!
「あとは、今後の生活の事も考えるべきだな。ナツは夏休みが終われば学校にも通わねばならんし……仕方ないな。ここは私が責任を持って預かろう」
「いえ、氷室さん! ここは私が。大学は暫く休学するわ」
「ちょおおおおお! 春菜さん!? 本気かな!? あたしの楽しいキャンパスライフが!」
姉さんが馬鹿な事言ってらあ。氷室さんもそんな風に言ってくれるのは嬉しいが……。
「子連れ高校生で行くから大丈夫!」
「大丈夫ではないと思うぞ。それは」
神辺先輩に呆れた顔をされた!? 心外だ!
「大体、君。トウカ君の事が気になって学校の事に身が入らないだろう?」
ぐぬぬ。正論過ぎて何も言えん。
「学校行き始めたら、私が預かるわよ」
そう言ったのは母さんだった。
だが、母さんは……。
「大丈夫よ、母さんは己の変態性をコントロールできるから」
そうだった。母さんはどSではあるが他の変態家族共と違い、完璧にコントロールできる。
「それに、あんた達がみんな手のかからない子になっちゃって、さみしい気持ちを父さんにぶつけてたところもあったから。あんなかわいい子の為なら母さんはりきっちゃうわ」
さみしい気持ちで父さんは半殺しになっていたのか……。
まあ、父さんは幸せそうだから何も言わなかったけど。
「でも、父さんはいいの?」
「大丈夫よ。父さんは放置プレイでも満たされるから」
大丈夫とは?
そんな父親は、その言葉で満たされたのか恍惚とした表情をしている。
その顔トウカに見せたらぶっ56すからな。
「あとは、それに向けてトウカちゃんに色々教えてあげないとね。親離れって夏輝も大変だったから。あと……子離れもね」
「トウカと……離れて暮らす……?」
死ぬかもしれない。
そんなこと……。
「いや、暮らすって……学校にいる間だけでしょうに……って、まあ、お父さんもそんな感じだったしね。春菜はお母さんが見てたけど、夏輝と冬輝の時はお父さんだったし」
衝撃の事実。俺は幼い頃父さんに育てられていたのか。
おい、父親。ドヤ顔すんな。
それにしては真っ当な息子に育ったな。反面教師と言うヤツだろうか。
「まあ、とにかく。夏の間は、しっかり面倒見てちゃんと子育てするのよ」
勿論だ。トウカが良い子に育つように全力を尽くす。
「となると、やはり、母親の存在は必須だな、ナツ」
近寄らないでください。トウカが過激下着痴女に育ったらどうする。
「中高生徒会長の私に任せておきなさい、夏輝」
近寄らないでください。トウカが俺のモノをなんでもコレクションし始めたらどうする。
「一番年の近いわたしがいいんじゃない、兄さん」
近寄らないでください。トウカが盗撮が趣味になったらどうする。
「ど、どうぶつてき勘で育ててみせます、なつきさん」
近寄らないでください。トウカが露出魔&匂いフェチに育ったらどうする。
「教材は揃ってるわよ、夏輝」
そのヤバい漫画をしまぇえええええええ!
三日後。ようやく出てきたトウカに『ママはいるか?』と聞いたところ、『いらない』と言われ、変態女達の死体の山が生まれ、『ぱぱだけでいい』と言われ、俺が死んだ(死因、幸福死)。
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