二部第11話 変態、プールでようじょのパパ確定、オワタ

幼女。

それは検索をかけると、かなりいかがわしいサイトがオーバーラップして前線に上がってくるパワーワードである。

だが、幼い女児に罪はない。

あるとすれば濁った目をした大人たちであろう。


更科夏輝。

それは検索をかけると、変態という予測変換がオーバーラップして前線にあがってくるオフサイドラインギリギリのつよつよワードである。

だが、更科夏輝に罪はない。

あるとすれば濁った目をした変態共だろう。


幼女と夏輝。

それは検索をかけてもノーマークなこっちフリーフリー! な、ざこざこワードである。

そして、二人には罪はない。

だが、今、真っ黒な目をした変態共に正座させられているのは何故だろう。


「夏輝、誰の子……? 簡単に認めないわよ」

「お兄ちゃん、私と目が合ったから出来た子だよね?」

「夏輝、夢見きらり先生となんとか連絡とって、はナマナ! かぞくになろうよ編描いてもらおう」

「ナツ……子育ては大変だろう。金ならある。金が全てではないが、子育てには金も必要だろう。なんだったら、あ、愛もあるぞ」

「さらしなさん……ちっさい子はちっさい子と分かり合えるんですよ」

「あはははははははは!」


姉さん姑さんかよ。妹さん保体学んでない子かよ。愛さんそれが正しい方法かよ。レイ流石国家公務員だよ。ジュリちゃんがんばだよ。三条さん笑いすぎかよ。


「あはははははははは!」


きみも笑うのね。ようじょちゃん。

そう、正座する俺の隣でようじょちゃんが笑っている。


「ぱぱ、おもしろー」


そう、俺をぱぱと呼ぶようじょ。

正体は青蛸の巣で見つけた魔物? だ。魔物かどうかは分からない。

だが、確実に言えることは、彼女の肉体は魔力で構成されている。

つまり、魔物と同じだ。

ただ、魔物は普通喋らない。意思の疎通がとれないはず。

今までで意思の疎通、言語でのコミュニケーションがとれたのは、魅魔王ヴィーと魔王殺しの魔王アウグストだけだ。

ということは彼女も魔王。


「ぱぱー」


とてもそうは思えない。とてもかわいい。

ちなみに、さっきまでぬるぬる色付きスライムで全裸を誤魔化していたが、今は大人Tシャツをワンピースのように着こなすようじょちゃん。

何故か他の人のを断り俺のTシャツを着ている。え? 俺、帰りは上裸?

謎が謎を呼ぶようじょなのだが、俺をぱぱと呼ぶせいで大騒動が起きた変態女共のせいで。

どこの女と作った子なのか、いつ生んだ子なのか、誰とどこで致したのか、どんな風に、どんな気持ちで、興奮するシチュエーションはなどなど根掘り葉掘り聞かれたが、根も葉もない話だったの掘ったところで言えたのは興奮するシチュエーションだけだった。

なので、ひとまず、俺の推測を説明する。


すると、再び大乱闘ど変態女子ーズ開催。


「ねえねえ、こっちにパパの服があるの、パパの服持ってる私はママよ」

「さっきお姉ちゃんとパパの間にいたでしょ? ママよ」

「近い将来にあなたを主人公とした漫画が生まれるのよ、そのママがあたしなの」

「ナツ、レイと呼び合う親しい仲だし、一番お母さまに近い年齢は私だ。お、お母様って呼んでご覧」

「ちいさいのは遺伝なのです。ママはわたしですよ」

「あはははははははは!」


おい、それ俺のお気にのTシャツやんけ、姉。保体を学んできてないやんけ、妹。まだコミカライズされてないやんけ、愛。一番それっぽい理由やんけ、レイ。きっといつか大きくなると俺も信じとるやんけ、ジュリちゃん。笑いすぎやんけ、三条さん。


「あはははははははは!」


笑っとるやんけ、ようじょちゃん。

かわいい。

そして、少しして男子ーずが神辺先輩を連れて登場。

呼びに行ってもらってた。


神辺先輩は、スク水である。


「生憎これしかなくてね」


いや、別に着なくても入れるし。浮世離れ変態はこういうところがあってびっくりする。しかし、よく入ったな。


「ありがたいことに、幼い頃から脳と身体の発育が良くてね」


魔眼で心を読まないでほしいんだが。

だが、神辺先輩は、別に俺の思春期男子特有の脳内には興味がないらしく、じいっと俺とようじょちゃんを見つめる。


「ふむ、どうやら本当にこの子の父親は君の様だぞ、更科夏輝」

「え? なんだって?」


主人公スキル発動!


「君の魔力とこの子の魔力が繋がっているんだよ。それこそへその緒のように」


だが通用しない! って、ちょっと待て。


「魔力が、繋がっている?」

「うん、まあ、こんな現象は初めて、なんでね……ちょっと、冷静になれていないんだが……繋がっているんだ。魔力の紐で、君とこの子が……はあはあ、んんんっ!」


サンドイッチなメンたちよりもこの人興奮してきたな。

その魔眼使用中の眼が俺とようじょちゃんに迫る。

こわい。


「やあー」


ようじょちゃんも怖かったらしい。

俺に抱きついて来ようとする。

そして、


俺の身体の中に入っていった。


「は?」

「ふむ、確定だな。更科夏輝、この子は、魔力の身体、魔力体で構成された限りなく魔物に近い生命体だ。だが、どういう理由か君とほぼ同じ魔力を有している。古巣正直達から聞いた話も総合すると……もしかしたら、だが」


神辺先輩はそう区切って、はあはあ言いながら、俺に告げてくる。


「君の【変態】が作り出した新しい存在なのかもしれない」


え? なんだって?


「そして、間違いなく君がパパだ。おめでとう」


え? なんだって?


「ぱーぱ♪」


ようじょちゃんが俺のおなかからひょっこり顔を出しニコニコで呼んでくる。


「ぱーぱ♪」


え? なん……! なんだっ……!


「ぱーぱ♪」


言えねえよぉおおおおおおおおおおお!

クソ主人公スキルがよぉおおお! 作者の都合のいい時ばっかり発動してんじゃねえよ! 発動させねえからなぁあああ!

パパです! 僕がこの子のパパなんですぅうううう!


「ぱーぱ♪」


うぎゃああああああああああああああ!

ぎゃわぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!

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