俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
二部第8話 変態、プールで対決見守る審判、オワタ
二部第8話 変態、プールで対決見守る審判、オワタ
「夏輝、姉さんをしっかり見てなさい」
「夏輝! アタシ頑張るからね!」
競泳できるタイプのプールで競泳できないタイプのセクシー&キューティーな水着で勝負をしようとする美女二人。姉さんと愛さんの気合はとても入っていた。
勝った方が、俺と二人で一つの浮き輪で流されて大ランデブーらしい。なんでや。
だが、もう止まらない。
姉さんは止めると代償を求めてくるし、愛さんはマジで主人公スキルを駆使してくる。
『え? なんか言ったあ?』で絶対乗り切ろうとする。そんで、そん時目がキマってるからちょうこええんです。
というわけで、狂女達の勝負を見守ることしか出来ない更科夏輝。
「夏輝、合図出して」
スターティンの合図を出すしかできない更科夏輝。
「夏輝、応援して」
がんばってぃんの声を掛けるしかできない更科夏輝。
「「夏輝、好きって言って」」
あいむらぶぃんと囁くしか出来ない更科なつ……。
「って、もうええわー! よーいスタート!」
勢いよくスタートをする姉さん。だが、愛さんはこっちを見ていて、
「夏輝! アタシの水着どう?」
何故このタイミング? だけど、咄嗟に出てしまったのは正直な感想。
「あ、かわいいです」
その瞬間、愛さんの身体が縮んで消えた。
俺でなきゃ見逃しちゃうね。
〈
「んんっ……!」
という色っぽい我慢ヴォイスを置いてけぼりに光の速さでスタート。
相対性理論のドルフィンキックで一気に姉さん追いつく愛さん。
いや、かわいいゆうただけでそんなパワーアップするなんて滅茶苦茶でんなあ。
思わず、関西弁になった更科夏輝が次に見た驚きの光景とは!?
CMを跨がず、実況します。
姉さんが固有スキル【蒐集家】で目の前の水を〈収納〉し、すぐさま後ろに〈解放〉して進んでいた。
無詠唱で出来るとはいえ恐るべき速さで空間操作しそれで進んでいく姉、春菜。
更に、恐らく空気を収納していたのだろう。
姉さんが一向に浮かび上がってこないまま進み続けている。
衝撃のノットブリージングで春菜爆泳!
はるちゃんマジ人魚。
一方の愛さんは、水泳部では確か専門はバック、と言う思春期男子には刺激の強いパワーワード持ちらしいが今はバタフライ、しかも、固有スキル【愛人】でパワーアップした力によって両側に渦が起き海割れのバタフライである。
っていうか、上級冒険者やからって固有スキル遠慮なく使いすぎやでー。
春菜まなフリー! すぎるんやでええええ!
これは正に、スキルのスラム街やああ。
思わず、彦摩●になった更科夏輝が次に見た光景とは!?
普通に必死に泳ぐ二人だった。
なんでそんなに必死なのか。
俺なんかと仲良くする為に。
そう、思ってしまう。
だけど、きっと、そう思っちゃいけないんだよな。
俺は、俺を認めてあげなきゃいけない。
でなきゃ、認めてくれるあの人たちに失礼だから。
あの人たちを大切にしたいから。
だから、俺がすべきことは。
俺は固有スキル【変態】を使って、足を〈
「はーい、同着~。おつかれさん」
怪我をしなかったことにほっとしながら声をかける。
そうだな、向き合っていこう。
それがどういう気持ちなのかはまだ整理がつかないけれど、俺はもっともっと自分を好きになって、みんなと向き合っていかなきゃいけない。
変わらなきゃいけない。俺も必死に。
この夏で少しでも、そうなれたら。ひと夏の成長が出来たらと思えるようになれた。
だから、今は頑張った二人をねぎら……。
「ななななななななつきがわたしをだきしめているるるるるるるるる? ななななななななつきからああああああああたしを?」
姉がバグっていた。
「夏輝のゴツゴツとした男っぽい手、鍛えられた筋肉、そして、手から伝わってくる体温、プールの水は冷たくて、その温かさがアタシも熱くさせて、アタシは恋に、落ちた」
愛がポエムってた。
もうめんどくさくなっていたので、小脇に二人を抱え、三条さん達のいた場所を目指す。
すると、
「いいじゃないですかあ? 一緒にウォータースライダー行きましょうよ」
メッシュイケメンボーイが三条さんと秋菜に絡んでいた。
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ
やっちゃいけないって言ってるだろ、あのウォータースライダーを二人で滑ろうって誘ってるのか?
マジでウォータースライダーの危険性を分かってないDQNはよお。
オイオイオイ、死ぬぜ、アイツ。
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