俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
二部第2話 変態、海のダンジョン行かされて無双オワタ
二部第2話 変態、海のダンジョン行かされて無双オワタ
【青蛸の巣】。B級ダンジョンで、中学時代、
青い足には魔力吸収の魔法が刻まれているらしく、触れられると、魔力が吸われていく。
ただ、魔力吸収自体は、そこまで強力なものではないので、無視して一気に攻めた方がいい。
「お前の場合はな!」
アホが何か言っている。体中には青蛸の足が巻かれている。
どうやら、一撃で仕留められなかったようだ。
どんな武器でも扱える全武器適性とかいうのなのにな。
「お前さっきおれが全武器適性を自慢したの、まだ根に持ってんのか」
持ってねーよ。全武器適性アホ。持ってねーけど。
「多分、アレだ。俺はどどめ色蛸にやる気を吸い取られたんだ」
「いねーよ! そんな蛸! 見たことねーわ! どどめ色! しててもわかんねーだろ!」
うん、わからんな。
さて、冗談はさておき、俺は自分の指を、
そして、目を暗黒蝙蝠に変え魔力感知力を高める。
全武器適性アホを避けて青蛸の核に針を突き刺す。すると、全武器適性アホにまとわりついていた青蛸の力が緩み、やがて地面にズルリと落ちた。
「大丈夫か、全武器適性なのに蛸も倒せないアホ」
「根に持ってんじゃねーか」
俺は、べとべとになって手を差し出すアホを、無視した。
だって、べとべとしてるもん。
「お、おい! 夏輝! 僕も大変だぞ! たいへんだ!」
眼鏡が何か言っているが無視する。眼鏡は、略式詠唱魔法が得意だから、あれくらいどうとでもなる。
わざと助けてもらおうとするのは友情と言えないぞ、眼鏡。
俺が突き放すと、眼鏡はがっかりしたように、魔法を使い、青蛸を倒す。
できんじゃねーか。
まあ、普通はダンジョン攻略でこんなにはしゃげはしない。
だが、こいつらはここまでだ。だから、多めに見よう。
青蛸の巣では、途中何度か海に潜らないとダンジョン核まで辿り着けない。
大体は、何かしらの魔法や魔法道具やスキルで対策をとって、青蛸が何処かに行っている隙に海に潜り通り抜け陸に上がり、陸上での戦闘に絞るのがセオリーなのだ。
だが、俺には【変態】がある。
「じゃあ、こっからは俺一人で行ってくるからな」
俺は、自分の身体を【変態】させ、魚人に近い形になる。
「これで海の中でもいけるってんだから、マジで【変態】は無敵だな」
「まあ、やっぱプロフェッショナルは違うぞ。俺はあそこまで動けない」
「魚人をプロと呼ぶな」
眼鏡がツッコむ。いいぞ、今日は眼鏡が曇ってないな。
どんどんツッコんでこい。ボケ、ツッコミの方のツッコミだからな、間違えるな。
お前は時々、怖いぞ。近いぞ。
ただ、マジで魚人は早い。やぱりホームグラウンドは違うのだろう。
どんなにそこに適した身体を得ても、経験値が違い過ぎる。
「考えたんだけど、俺らも【変態】させていけばいいんじゃね?」
「ダメだ。他人を【変態】させるのは、魔力を半端なく使う。そこそこのサイズの魔石がないと駄目なくらいにな」
以前起きた大発生では、十数人を【変態】させたが、あの時は緊急事態という事で、魔石を大量にダンジョン庁やアホの実家である大企業から頂いた。
今回はそういうのじゃない。だから、変態させるのは難しい。
それに、俺は中学時代、攻略を済ませているので、滅多な事がない限り、やられることはない。
……
この思考に入りたくなかった。ド定番だ。こんなただ考えましたよってだけの伏線で、出てくるのだ。マジやめてほしい。
俺は神に祈ろうとして……辞める。固有スキルに【変態】なんて名前をつけて俺の人生を狂わせたやつだ。そんなヤツに祈っても、余計な事しか起きそうにない。
俺は、アホ達と一旦別れ、海に潜る。
一応、青蛸の気配が離れてから潜ったので、周りに青蛸はいない。
けれど、今日は待つ方がしんどい。なので、一匹二匹いても気にせず近づく。
青蛸が陸上とは比べ物にならないほどの速さで迫る。
流石に海中でのスピードでは敵わない。
だが、飽くまで追いかけっこをするならだ。
遠距離攻撃のない青蛸が俺を弱らせようと近づいてくる。
青蛸の足が俺を捕らえ、そして、魔力を吸おうとして麻痺して毒喰らって眠った。
身体を【変態】させ、状態異常スキルを喰らわせまくった。
あの滅茶苦茶かっこいい主人公みたいな魔法攻撃ではない。ただ、肌にそういう状態異常を起こす針を大量に作っただけだ。
遠距離や武器攻撃してくる敵では出来ない戦法だが、青蛸には有効だ。
以前もこれだけで攻略し、動画が盛り上がった。
縛りプレイは結構人気だった。
ということで、余裕で攻略出来ました。
異常なし! だったらよかったんだけど、ダンジョン核のそばで眠っている生き物がいるという異常。
頭に朝顔みたいな花がくっついた女の子が眠っていた。
はああ?
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