第67話 変態、ぼっち集合でソロプレイオワタ(カクヨム限定ストーリー)

 【河童の森】

 D級ダンジョンであり、小鬼系ダンジョンと並ぶ初心者向けダンジョン。

 ゲートとなっているのは街中にある一つのマンホール。

 そこを抜けるとあら不思議。

 いつの間にか梯子は木製のような素材に変わっていて、上を見れば変なもやもや(魔力の霧みたいなゲート)下を見れば木の根というジブ〇のような世界観。

 となりにトト〇がいるわけではないが、いてもおかしくないような森の中。

 そして、いくつもの河が流れている。

 その名が表す通り、メインのモンスターは【河童】だ。


 見た目は、マジ河童そのもの。

 ただ、コントとかの芸人がやってるつるっつるじゃなくて、結構短い毛が生えていて、リアルだとちょっと気持ち悪い。あと、緑っていうより苔っぽい色なので、ちょっと……。


 ただ、遠距離攻撃がなく、体術のみだし、河に引きずり込まれなければ、そこまでの強さはないので、環境とモンスターを両方意識するにはいいダンジョンと言える。


 そんなダンジョンに私は来ています。いえー!

 そして、メンバー紹介だZE!


「ナツ、どういうことだ?」


 何故か露出高めのドレスアーマーを着て身体中から冷気を放って圧ある笑顔でこっちを見てる超絶ど助平下着見せてくる痴女美女【女帝】氷室レイラ!


「うう、うう!」


 今日は河童っていう和風モンスターのせいか、ピンク色の着物に黒いの羽織って、うーうー言ってる、竹を咥えてこなくてよかったコスプレ憑依系妹【念者】更科秋菜!


「くれくら様……ウ、ウチはこれでも大丈夫ですけん!」


 何故か靴に向かって話しかけている! え? 舐めないよね舐めないでよ? 無礼なめてもいいけど、舐めないでよ、奴隷希望元ツッコミ清楚系美少女、東江弓香!


「さらしなさん……ふたりきりじゃなかったんですね」


 アニメ声でそんなしょんぼりされちゃうとこっちもしょんぼりと俯きかけてたら、襟伸ばして俺に膨らみを見せようとしてたぜあっぶねえ系氷室の遺伝子受け継ぐ露出びしょうじょ、氷室ジュリ!


 そして、俺! 更科夏輝、いえー!!!


 以上のメンバーでお届けするぜ!


「いや、なんでだよ」


 脳内バンドメンバー紹介風シャウトをして落ち着いた。

 落ち着いたからツッコめた。

 脳内で我慢できた。長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかったかもしれない。


 何故ここに来ているか。

 それは、冬輝の方の【変態】スキルに慣れる為だ。


 俺の【変態】、ややこしいな、【変態・赤】としよう、【変態・赤】は勿論使い慣れているので、操作が簡単だ。だけど、冬樹の【変態・青】、周りを変質させるスキルについてはまだまだ慣れていない。

 変化させることが安定していない上に、魔力消費も無駄が多い。

 じゃあ、それの解決策は何か。


 練習練習練習!

 あるのみなのだ。

 というわけで、氷室さんにお願いし、魔引きされたばかりで、貸し切りにしても大丈夫なダンジョンを用意してもらったんだが。


ついてきた、なぜかみんなが、ついてきた


 夏輝、心の一句である。


「なんで、いるの?」

「私は、監督としてやってきたのだ。冒険者の先輩でもあるわけだし、ナツのこと、見てやらないとと思ってな」


 言うてますけど、レイさんや、なにその、ファンタジー世界にありそうな、「え? それ? 防御力あるの?」みたいな鎧は? 見るどころか見せにきてるじゃん。

 あと、ああいうのって、胸がおおき


「ぴ」


 槍が飛んできた。横槍どころか前槍だった。


「で、秋菜は?」

「うー! うー!」


 うん、今日はこれで行くみたいだ。飽きるまで放っておこう。

 箱の中にいれて担いではあげないからな、こっちのにいちゃんは。

 多分、俺の部屋での様子を念写して、俺が出かけることを知ってついてきたんだろう。


「東江さんは?」

「き、昨日、訓練中氷室リーダーに『ふっふっふ、いやあ、この前も大変だったなあ。ナツにまた頼られてしまったよ。まったくナツのヤツと来たら私がいないとなんにも出来ないんだからな。困ったヤツだ。やれやれだぜ……だな』って言ってたので知り、勉強をさせて頂くのとくれくら様の情報更新の為にと、くれくらくらぶのメンバーでくれくらじゃんけんをして勝ったウチが来ました!」


 くれくらじゃんけんってなに?

 っていうか、おい、レイよ、お前マジでともだち初心者か。

 あと、ジョ〇ョ履修してんのか? 今度、どのスタン〇が一番強いか語り合おうぞ。


「ジュリちゃんは……」

「おねえちゃんが『ああ、明日が楽しみだ! ナツにたっぷり見せるぞ! ふふふ……ああ早く明日来ないかなあ! 時よ、加速しろ!』っていってたのをきいてきました」


 はえーな! もうそこまで読んでるのかよ!

 じゃなかった! ほぼ原因あんたじゃねーか! レイ!


「ちなみに、多分、おねえちゃん、楽しみすぎてあまり寝れていません……」


 遠足前の小学生か!


「こ、こほん! 心配するな! おやつは300円までしか持ってきてない!」


 遠足か!


「す、すまない……今日が休みだったのでな……ナツと遊べると思ったらナツがトレーニングに行くと知って頼られたのは嬉しかったんだが、やはり、ちょっと折角ならと思って、その、一緒にいたいなと……ダメか?」


 ぐぬぬぬぬ! 超絶美女の捨てられた子犬のような上目遣い!

 その上、ぼっちちゃんだったという過去も知ってるから、見捨てられないよ!

 よーし! ぼっち・よ・こっち! 陰キャならロックにいこうぜ!


「うぅうううううう~」


 俺の裾を掴んで涙目で見てくる妹、秋菜。

 や、やめてくれ……そんな目で見ないでくれ……! 「うう」だけで会話しようとしないでくれ。お前の陰キャ引きこもりコミュ障期を知ってるから……。

 くそう! ぼっち・よ・こっち! 俺と秋菜の絆は誰にもひきさけないぞ!


「なるほど、くれくら様はそっちの人間ですか」


 東江さんが何かをメモる。

 そっち・て・どっち? なんか怖い! あとでメモ見せてね!

 正しい報道を望みます!


「おねえちゃんはよくて、わたしはだめですか?」


 しょんぼりジュリちゃん。そういえば、この子も超絶コミュ障のせいで暴れ回っちゃって狂戦士とか呼ばれるようになってぼっちプレイしてたコだった!

 ぼっち・も・こっち!


 なんだよなんだよ! このぼっち集団は!


「分かりました! じゃあ、今日はみんなで行きましょう! 【河童の森】!」


 結束していこうね!

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