俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
第46話 変態、人狼に囲まれて騙され襲撃オワタ
第46話 変態、人狼に囲まれて騙され襲撃オワタ
ダンジョンにおける最強の魔物は基本ダンジョン核付近で核を守っている守護者、俺達はボスと呼んでいるが、ソイツが一番強い。
何故なら、ダンジョン核の一番近くが良質な魔素が漂っているらしく、魔素は魔物にとって飯みたいなもんらしく、美味い飯は一番強い奴が食うという弱肉強食な話だ。
で、大体ダンジョン内の食物連鎖は決まっているので、その種族で一番強い奴がボスとなり、ダンジョン核の前で陣取っている。
そして、ダンジョン核の前にいれば良質の魔素が手に入り強くなる。強くなればより魔素が必要になる。というある意味負のループで一番強い奴はダンジョン核からあまり離れられなくなるとも言える。
と、有名な論文系ユーキューバーが言ってた。
以上、18話のコピペでした。
「くそう、【人狼の塒】で若手冒険者育成チームの実践演習を行っていたら、まさか、ダンジョン核に、ボス以外の奴らまで大量に集まっているなんて異常事態に出くわすとは……しかも、50はいるぜ……!」
「アホ、説明乙」
さて、どうしたものか。
俺達は今、通称ボス部屋から少し離れた場所で奴らの様子を眺めている。
眼鏡や秋菜、ジュリちゃん、そして、他の若手組の鑑定探索に優れたメンバーにダンジョン核付近を調べさせ情報を伝えさせている。
そして、スマホに映る奴らの姿を眺め照らし合わせながら氷室さんたちモノノフメンバーが相談している。
「なんでダンジョン核付近にこんな数のモンスターが集まってんだよ」
弓手のおじさんがぼやいている。
そう。本来ならあり得ない光景。ボスがダンジョン核の一番近くで良質の魔素を喰ってるのはいつも通りだが、その周りに異常な数の人狼達がいる。
普通あれでは、ボスも魔素をおいしく腹いっぱい頂けず、子分どもを蹴散らすはずなのに何も言わず、じっとしている。誰かに従うように大人しく座っている。
「どうしますぅ? ……あの数、もう近いうちに
Bチームについていた魔法使いのお姉さんが困ったように頬に手を当てながら嘆いている。
だが、笑えない。本物の災害だからだ。
本来、魔素が存在しない場所では生きられないモンスターたちが増えすぎダンジョン内の魔素では補いきれなくなって、ダンジョン外に飛び出してくることを言う。
ぶっちゃけた話、イナゴの大移動のデカくてヤバい版だ。
今では保険適用範囲にも組み込まれている大発生。
有難いことにある程度の対策は出来る。ダンジョンに入り、モンスターを減らす魔引きだ。これにより魔石の確保をすると同時に、過剰なモンスター発生を抑えることが出来る。
が、災害は災害。突如として起きることもあり、実際、九州で四回、四国で一回、本州では五回、北海道では二回、大きなものが起きている。
俺も……数年前の大発生で……冬輝を……。
「撤退だ。少しでも数を減らしておきたい気持ちは分かるが、今は彼らがいる。強いといっても、数への対応は簡単じゃない」
そう。問題は数だ。ゲームみたいにターン制で戦えるなら苦労はない。
全方向から休む間なく襲われれば経験のない人間なんて思った以上に呆気なく死ぬだろう。
しかも、あいつらはダンジョン核付近で魔素を吸ってどんな進化をしているか分からない。
俺達がここまで戦ったのは弱くて群れから追い出されたはぐれだったのであろう、あいつらとはレベルが違うはずだ。
何より。
「情報がなさすぎますね」
そう。あの人狼共の状態は分かった。だが、あれだけの人狼共がいること自体が異常。
今まで見たことのない異常事態なのだ。
これまでの常識をくつがえす、正に
「撤退だ。来たルートを最速で、殿は私が務める。西田、大園、お前らが先導を。真宵はすまないが私のフォローを」
「りょうか」
その時だった。
「きゃあああああああああああ!」
来た道付近で固まって待機していたAチームの女の子が叫び声をあげた。
視線の先には人狼がいた。それも大量に。
「馬鹿な!? 何故魔法道具に感知しなかった!?」
「んなこと言ってる場合じゃねえだろ! 全員一旦中央に集まれ!」
弓手の声に慌てて全員が部屋の中央に集まり身体を寄せ合う。
取り囲む人狼は何十匹だろうか。
「ハメられたのか?」
「かもしれませんねぇ……! 人狼って実際はそこまで賢くないはずなんですけどぉ……!」
「ど、どうしましょうか?」
「動揺するな、真宵。子供たちの前だ」
特例冒険者は基本危険度の低いダンジョンしか入れない。
だから、こんなのは初めてだろう。
若手組のほとんどが震えている。
動画撮影禁止区域でしか見られないような光景。
最強冒険者達、最前線の、笑えない、本物の戦いの光景だ。
無理もない。
「ふううぅうう……」
「夏輝?」
「おい、アホ。お前が俺の代わりに若者たちを導くのじゃ」
「何を……」
「眼鏡、かんぱ、がんば」
「また、僕は……!」
「お前にしか出来ないことなんだよ」
「分かってる……!」
「秋菜、愛、ジュリ、お前らならみんなを守れるよな?」
「兄さん?」
「あの、なつきさん?」
「ちょっと、夏輝、あんたまた一人で……!」
「一人じゃねえよ。ねえ、氷室さん」
「……いいんだな?」
氷室さんが突き刺すような眼で俺を見る。
氷室さん、その奥で思いやりと申し訳なさが溢れて揺れてますよ。
「ま、遅かれ早かれですし……死にたくはないので」
「そう、だな。……全員聞け!!!!」
氷室さんの凛とした声に全員が身体を震わせる。
「現在、このダンジョンは原因不明の異常事態に襲われた! 我々は、この状況に対応せねばならない! 出来なければ死が待つのみだ!」
泣きそうな目で見ている子がちらほら。東江さんも怖いのだろうけど、唇を噛みしめ必死でこらえている。やっぱすげえな。
「だが! 死んでたまるか! 私達は! モンスターをぶっ殺し、必ず帰って見せる! 心を亡くすな! 魂を燃やし続けろ! 命を捨てるな! 全員で生きて帰る! 見ろ! 私達は、モノノフだ! 日本最初の選抜部隊! 選ばれた人間達! 何度も何度も何度も危機を乗り越えこの国を救ってきた! 君達を生きて返す! 君達が生きたい思いを捨てない限り! 必ず救う! 私を、私達を信じろ!」
『高揚』ものせているのであろう。みんなに立ち上がる勇気が出てくるのが見てわかる。
流石、ベテラン、伊達にとしは
「ぴ」
槍がとんできたよ。
「いくか、更科夏輝」
行くか、だよね? 逝くか? じゃないよね?
やれやれ。
「あいあいあいさー」
「あいが多い。いや、この場合は喜ぶべきか」
「間違いました。さー」
「あいがないな」
俺と氷室さんは冗談交じえながら並んで歩く。
これも教えてもらった。ピンチの時ほどジョークが効いてくるって。
笑えって。
俺達は薄ら笑いを浮かべながら集団から離れる。
群れから離れたはぐれを狙うのは獣の常とう手段だよな。
人狼達が襲い掛かる。
「「いらっしゃい」」
氷室さんの槍が一度に2体の人狼の心臓を的確に貫く。
流石すぐる。
俺は、身体中から針を伸ばし、適当に4、5体やる野暮ったいやり方しか出来ない。
「え……あれって……」
針を収め、紅い外殻を身に纏う。
黒い仮面をつけ、魔力で身体中を満たす。
まったくもう、この姿見られるのやなんですけどー。
けどな。
もっと嫌な事があるからな。
こんなクソみたいな理不尽でみんなを殺されてたまるかよ!
「道を開くぞ!
「【女帝】様の仰せのままにっ!!」
全部ぶっ飛ばして笑ってやらあ。
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