俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
第44話 変態、かわいいショートカットに応援されやる気オワタ
第44話 変態、かわいいショートカットに応援されやる気オワタ
【人狼の塒】
ダンジョン協会から徒歩15分。
雑然と立ち並ぶビル群の中にポツンと存在する小さな神社。
ビルに挟まれながらもずっと存在し続けたその神社の鳥居をくぐるとたどり着くのがこのダンジョンだ。
「今回の演習はここで行い、君たちの実力を改めて見させてもらう」
元チームモノノフで歴戦の猛者、【女帝】氷室レイラさんがまわりを見渡しながら、口を開く。
今回のチームは3チーム。
Aチームは、【氷の精】東江弓香を中心とした6人。ほぼ俺を敵視して追い出したいチーム。
Bチームは、無名ながらも氷室さんに認められた期待のホープチーム。
Cチームは、【変態】こと、俺、更科夏輝率いるゆっくりしていってみようねチーム。
各チーム6人ときれいに分かれている。そして、その上で安全に配慮し、モノノフ候補生、もしくは、元モノノフの方がサポーターとして入る。
Cチームのサポーターに俺は恐怖する。
「
美人である。
愛さんと同じくショートカットながら、小柄で細身、おまけに眼鏡だ。
変態だ。変態に違いない。
騙された。
俺は氷室さんにお願いしていたんだ。
もう見た目はどうでもいいから、中身まともな人をお願いします、と。
騙された。
美人じゃねえか。じゃあ、変態じゃねえか。
「あの、行こう?」
俺より小柄な蓮さんが上目遣いでこちらを見てくる。
ああぁああああああああ! かわいぃいいいいい!
絶対へんたぁあああああああああいいいいいいい!
「行きましょう(ニコリ)」
心の叫びに蓋をし、紳士的に微笑む俺。
がんばった。
とてとて小走りでついてくる蓮さん。
ああぁああああああああ! かわいぃいいいいい!
だからこそへんたぁああああああいいいいいいい!
「ねえ、聞いてる?」
いつの間にか東江さんがこちらを見ている。
こいつも美人、つまり変態、証明完了。
「聞いてません」
「正直であればいいというもんやないんよ」
キレる変態、もとい、美人、だから、変態。
「どう決着つけるかの話だけど、あんたの判断でいいわ」
「え? そんな緩くていいんです?」
「いいわ。圧倒的に勝てないなら偉そうに出てけなんていうべきじゃないでしょ」
なんだこの人? 普通にちゃんとした事言ってるぞ?
変態じゃないのか? だって、美人だぞ?
「しっかり見てなさいよ」
東江さんが前に進み出ていく。
「今回は、ローテーションで先頭チームを代えていく。交代のタイミングは私が判断する。まずは、Aチーム」
「はい! 行きます!」
氷室さんの声に応え、東江さんのチームが先頭に進んでいく。
サポーターは見たことある。
確か引退した弓手の人だ。
東江さん達は補助回復担当二人を台形の中に囲み進んでいく。
そして、東江さんの戦いは流石の一言だった。
氷の精霊を呼び出し漂わせながらの索敵、見つければ即座に脚を狙って凍結魔法、からの、剣による一撃必殺の斬撃。
一人で全てをこなすオールマイティー。天才だ。変態だな。
他のメンバーも凄い。一人一殺を確実にこなしている。
お前らも変態だな。
「よし! 交代だ」
戦闘組が、各二体倒したくらいで交代の声がかかる。
その間、東江さんは五体くらい倒してた。変態だ。
サポーターの弓手のおじさんはよかったと肩を叩いている。おじさんはフツメンだ。変態じゃない可能性が出てきた。
「ふう……どう?」
「いや、変態じゃなくて、大変勉強になりました。個人であんなに全てこなせるとは」
「まだまだよ、あの人には遠く及ばない……!」
「あの人? いや、東江さん本人も凄かったし、索敵とかしてた精霊も凄いですよ、あのうどん脳」
「ちゃうわ! それは香川県の妖怪ゆるキャラやきん!」
そんな香川県トークを軽快に繰り広げている内にBチームもAチームに及ばないまでも敵をかなりの数撃破し交代の声をかけられる。
Bチームも勿論、ルーキーとは思えない活躍だったが、東江さんが別格過ぎた。肩で息をしながら後ろに回る。
サポートの魔法使いのお姉さんが励ましている。笑顔がやわらかいおっとりした感じのかわいい人だ。変態じゃないと信じたい。
俺も励まされたい。変態に囲まれた人生を慰めてほしい。
「次! Cチーム」
「が、がんばろうね!」
かわいい蓮さんに応援されて前に出る。
でも、蓮さん絶対変態だからなあ(予想)
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