俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
第26話 変態、メイドに奉仕されて竜の目の前オワタ
第26話 変態、メイドに奉仕されて竜の目の前オワタ
「ということがありました」
「説明ありがとうございます。ご主人様」
昨日の、銀髪美女・美少女、氷室姉妹に挟まれていた画像の一件を俺は姉・春菜に説明し終える。
その間、我が姉は、メイド服姿で俺をもてなす。
俺の耳を掻き、爪を切り、髪を整えてくれるメイド姉。
さっきまでは、俺の目の前には美味しそうな洋食が並んでいた。
パン・白身魚のなんかムニエル的なの・スープ・サラダ。デザートにさくらんぼだ。
勿論、完食した。
俺は恐怖で震えていた。
姉の猛攻が始まっていた。
手を拭いたナプキン、使ったプラフォークやスプーン・プラ皿全てが綺麗にパックされている。そして、髪を小さな瓶に入れようとしていた。食べ物は、ない。食べたから。ない。
お分かりだろうか。
姉は俺のモノを集めたがる系変態なのだ。
爪とかは流石に本人も年齢を重ね俺も説得を重ね諦めるようになってくれたが、その時の名残か全部整えてくれるのだ。
そして、『いいです』と言うと死ぬほど落ち込む。
そして、何故か相当危険な魔物に挑みに行ってしまう。
「私は、夏輝におもてなしさせてもらう価値もないから価値を高めにいってくる」
とか言って、デッカイ魔石とか持って帰ってくる。
犬のアレに近い。『ご主人、私こんなのも仕留められるんですよ』と何かしらの狩ったものを咥えてくるあれだ。
姉を危険な目に合わせたくないしただのアピールで一狩りいかれちゃうモンスターもなんかかわいそうだし急な上級ソロ挑戦で騒ぎになるダンジョン管理側の為にも、俺は姉のおもてなし猛攻を耐え続けなければならない。
「夏輝」
姉が呼ぶので振り返ると、姉がさくらんぼを口の中に入れるところだった。
いや、それ俺のデザートじゃなかったの?
いや、いいんですけど。分かってますけど。いつもの流れなので。
姉が口をもごもごさせている。全てが整っているにもかかわらず、頭を小さく傾け時折ほっぺたを膨らませるその顔は悔しいが可愛い。
そして、小さく笑うと、俺に向かって舌を出してくる。
舌の上にはさくらんぼの柄が結ばれていた。
「夏輝も、出来る?」
通常営業です。
俺は姉が差し出すさくらんぼを口に入れ柄を結び始める。
その間じいっと姉がこちらを見ている。もてなす場所が他にないか探している。
俺は姉のお陰でとても自立した人間になれました。
ハンカチは忘れたら貸し出されて次の日回収からの洗濯されずに姉のコレクションに加わるので忘れなくなったし、どこかに落とし物をしたら直ぐに姉が動いてくれて新しいものを用意してくれ何故か落としものは回収され何故か姉のコレクションに加わっていたので落とし物もしなくなった。
さくらんぼの柄を結んでみせると姉は器を出してくる。
「ペッなさい」
俺がそこにペッすると、姉が器を持ってどこかに向かう。
「か、片付けてくるわ」
ドアが閉まる。俺は追わない。追えば見てはいけない何かを見ることになる。
以前、さくらんぼを貰って、柄を結んでみせたのが大きな間違いだった。
姉は衝撃を受けていた。
「そんな良いものが……!」
と、言っていたような気がするが、あの声色を思い出すと、う! 頭が! しちゃうので気にしない。
それから姉はことある毎にご褒美にさくらんぼをくれた。
そして、柄を結ばせた。
そして、それを捨ててくれた。
捨ててくれた。
捨ててくれてるはずだ。
それ以来、姉は好きな食べ物にさくらんぼと書く。
姉、多分好きな食べ物はそういう意味ちゃう。知らんけど。
スマホが震える。MINEだ。
氷室レイラさんとジュリさんからそれぞれ来てる。
『氷室レイラが画像を送信しました』
『氷室ジュリが画像を送信しました』
俺はそっとスマホを机に置いた。
どうせ肌色が多い。
狂戦士ちゃんもお姉ちゃんに触発されて肌色に違いない。
そっちで『狂』して欲しくなかった……。
「夏輝、行ってくる」
怖っ!
背後で急に姉の声。
振りかえると姉の背中が見える。
ヤバい、対抗意識が芽生えてる!
姉は肌色は見せない。時々肌色ではなく差し色を渡しては来るけど見せはしない。
それは姉の中で恥じらいであり、恐らく彼女の中の線引きだ。
だからこそ、姉が心配にもなる。姉は自分の価値を低く見過ぎている。
俺は引いてはいるけど姉が思うより姉の事が大切だ。引いてはいるけど。
「待って! 姉さん! 俺も行く」
あの日見た、氷室姉妹への対抗心と俺の返事への喜びが渾然一体となった姉の獰猛な笑顔を僕は消して忘れない。忘れたいけど忘れられないだろう。
そして、一時間後。
俺は、ドラゴンの前にいた。
あ、ドラゴンと言ってもドラゴンの中では下級の『
何故?
「夏輝、見てて」
メイド姿の姉が悠然と歩みを進めていく。
ヴィクトリアンメイドとかなんとかいうらしいメイド服の黒いロングスカート靡かせながら姉は魔力を高め始める。
そして、手を宙に掲げると、無数の武器が雨のように降り注ぐ。
手を伸ばすとすらりとしたスタイルの良さとそれとはアンバランスな肉付きの良さが強調され、妖しい色香が漂う。
美しい黒髪がふわりと浮かび魔法の光で輝き、夜空で瞬く満点の星空にも見える。
妖しく小さく笑い、彼女は口を開く。
「【
台無しだった。
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