俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
第5話 変態、自慢マンに絡まれて楽しい下校オワタ
第5話 変態、自慢マンに絡まれて楽しい下校オワタ
「ごめんね! 夏輝、今日、緊急のクエストが入って、一緒に帰れなくなったの!」
愛さんが顔の前で両手を合わせて謝ってくる。
「いや、別にいいって……そもそも」
「この埋め合わせは今度、必ず、絶対するから! じゃあね!」
そういうと、短めのスカートを翻し、愛さんは颯爽とかけていった。
愛さんの所属するチームは人気もあるし、実績もある。
だから、何かダンジョンで事件が起きた場合は頼られることが多い。
まあ、大体が、ライセンスのランク詐称とか調子こいた冒険者が動画再生数の為にムチャしたとかなのでかわいそうなのだが……。
俺としては、静かに帰れるのでありがたいことこの上ない。
そうして、のんびり帰り始めた俺に声がかけられる。
「よお、更科」
今日、鑑定レンズでヒャッハーしてた円城だ。
「円城、じゃあね」
円城はマジで話がめんどい。
自慢話ばかりするからめんどい。
違う話題を振っても自慢話に繋げるからめんどい。
何その技術、固有スキルか何か?
なので、できるだけ刺激せぬようスッと通り抜ける。
「お前さあ、愛と幼馴染だからって調子に乗るなよ」
はい、めんどーい。
「オレはこの前、能力検査受けたが、かなりのステータスだったぜ。愛に一番近いのはオレだ」
自慢だ。何コイツ、本当にすごいな。
「そっか。この前、検査してたもんね。俺も家族に勧められたけど、どうせ大したことないだろうしと思って、検査費で漫画大人買いしちゃったよ、知ってる? すっぺえファミリーっていう漫画」
「すっぺえファミリーか、人気だよな。けど、ウチはすっげえファミリーなんだぜ」
自慢の天才かよ。
「らしいね。会社の社長なんだよね、お父さん。お母さんもなんかビジネスやってるとか」
「まあな。お前んとこは……まあ、すごい、けど、お前の家族がな!」
あ、詰まった。
そうなんだよな。ウチもなんだかんだですっげえファミリーなんだよな。
「だけど、お前は、なんかヤバそうだもんな」
ん? なんだ? 変な会話だな。
「オレもある意味ヤバいけどな。キレたら止まらねえって言われてる」
うん、いつも通りだった。
誰に言われてるんだよ。
その自慢クソだせえぞ。なんだ俺ヤバいって。
「……いいか、この際はっきり言ってやる。お前と愛では不釣り合いだ」
うん、その線で行こう。
その線で行ってくれ。
俺にはアイツは無理です。
でも、お前、いつもは愛さんのこと、武藤って呼んでない?
あれ? 近いアピール? 自慢? コイツすげえな止まんねえな。
「分かった、な!」
円城が腹パンしてくる。
しかし、当方鋼の肉体持ちなり。
っていうか、流石にこういう暴力に訴えかけるのはどうかと思う。
被害者を増やさないためにもいったん後悔していただこう。
「……ぃってええ!」
円城、叫ぶ。
はーい、みんなー、ちゅーもーく。
「て、て、手ぇーがくせえよ! おい! 更科ぁああ」
誤魔化し方、下手か。
「てめえ……オレに恥かかせたな」
頭ん中、お花畑か。
「明日だ、明日覚悟しておけ」
テンプレ悪役、お上手か。
そう言って、円城は帰っていった。
鞄につけた鑑定レンズを見せびらかしながら。
アイツ、マジですげえな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます