第3話
2022年11月24日の日記 ~その2~
今日は特に予定もない。妻はパートを休んだ。幼稚園の年長の息子が来年入学する小学校の検診に付き添うためだ。まだ時間があるので妻は自分の部屋にいる。妻の部屋の隣にある壁一枚で隔てられた自分の部屋に私はいる。ふとパソコンでヤフーニュースを開く。特に興味をそそられるトピックもない。何気にカーソルを下にもっていくと“引退した有名人で復帰してほしい人ランキング”というのがあった。興味が湧いた。3位は長瀬智也。2位は堀北真希。1位は誰だろう。山口百恵かな?と予想していると、安室奈美恵だった。久しぶりに堀北真希を画像で見たくなった。画像を見るとやっぱり可愛いなと改めて思った。今度は検索ワードを“堀北真希 アダルト”で打ってみた。そうすると堀北真希の水着画像が沢山出てきた。その中に堀北真希そっくりのAV女優の画像も混ざって出てきた。まだ午前11時。全くそんな気はなかったのに、エロい画像を見ているとだんだんチンコが固くなって膨張してきた。一番興奮する画像を探した。そっくりさんが下着姿で四つん這いになってお尻を突き出してパンティーがお尻に食い込んでいる画像があった。そそられる。この画像を見てオナニーをしようと思ったが、別のそっくりさんが女子高生の制服を着てフェラをしている画像も興奮する。思わずズボンを下ろし、下半身を露出してチンコを少し扱き始めた。また別の画像を探した。アイコラ画像があった。堀北の顔を別の裸の体にアイコラさせていて、男優と正常位で上半身を起こしながらキスをしている画像を見つけた。一番興奮した。これでフィニッシュをしよう。私は、隣の部屋に妻の気配を感じながら、堀北真希のアイコラ画像を見てティッシュを二枚重ねた上に射精をした。
年齢のせいなのか、精神安定剤のせいなのか分からないが、若い時と比べて極端に少なくなった精子の量を確認し、それを受け止めたティッシュをつまみ、何事もなかったかのように部屋を出て、廊下にあるトイレの便器にそれを流した。
私は昼飯を食べるため台所に行った。カップ焼きそばにお湯を注いだ。お湯を入れ過ぎたのか、別の所に置くために運ぼうとした時、並々としたお湯が揺れ、私の指に熱湯がこぼれた。
「熱っ!」と思わず叫んだ。以前の私なら、そのまま怒りに任せて流しにそれを全てたたきつけ、近くに置いてある椅子を蹴飛ばしていただろう。しかし、自分でもびっくりするぐらい穏やかだった。熱湯を浴びた指を冷やすため洗面所に行き、指を流水にしばらくさらした。
新しく変えた精神科の薬が自分に合っていると改めて思った。
カップ焼きそばを食べ終え、タバコを一本取り出し、ライターを持って、玄関のドアを開けて庭先に腰かけてタバコを吸った。3か月前に転職活動中に覚えた。42歳で初めてタバコの味を知った。今でも肺に煙が入っているのか分からない。ただ、無性に吸いたくなる時がある。タバコを吸い終わって、吸い殻を庭の土の上に捨てた。いつのまにか吸い殻の捨て場所になっていた。ふと顔を移すと、柿がぐしゃぐしゃにつぶれて落ちていた。隣の家の柿の木から落ちた柿だろう。
色々な事が頭に浮かんだ。今年、妻の浮気を疑い、携帯を見たら知らない男とラインでやり取りをしているのを発見し、問い詰めたら合コンに行っているとの事。会社に行くと言いながら会社に電話をかけると妻は出勤していないといい、妻に電話をかけると合コンに向かっているとの事。しかし、明らかに公共の交通機関の車内ではなく、誰かの車の中にいる様子であった事。誰かの気配があり息をひそめている感覚を覚えた。未だに疑惑が晴れていない妻との関係。そして長年不仲で価値観の全く違う義母との関係。私がいて家事をしているのに、それでも義母がいないと精神的に不安だからと言って、毎日のように妻が義母を呼び寄せて家事の手伝いをしてもらっている。泊まり込みで毎日のように顔を合わせないといけない。義母は義母で自分は娘と孫のためにお手伝いに来ているのだ。決して私を助けるためではないという姿勢。この頭の中で、整理ができていない関係。そして私の仕事の件。
生活のため、ある程度の収入を得るには、これまでの経験を生かせる英語を使用した貿易業務に転職しないと生計が成り立たない。しかし、これから入社する会社での仕事内容で一番期待されている事は、海外への新規開拓営業。その営業戦力立案。そんな事ができるのか。私の中で不安以外の何者でもない。そして、自分の病気の件。睡眠導入剤で自動的に脳をシャットダウンさせて、目覚めればコーヒーのカフェインで脳を覚醒させる。脳が起きたと思ったら、ふと仕事や将来の不安が押し寄せて精神安定剤や頓服薬を飲んでまた、脳を眠らせる。アルコールが止められないから、止められているのに夕食後に飲む精神安定剤はビールで流し込んでしまっている。脳は毎日毎日、覚醒と睡眠で疲弊している。このコンクリートの上でぐしゃぐしゃに飛び散った柿はまさに私の脳そのものだと思った。色々な事がひっちゃかめっちゃかになって、私の頭の中はぐしゃぐしゃだった。
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