第十三回 もふもふ、もふっ、もふもーーーっ!

 暑い……。ムシムシする……。辛い季節ですね、梅雨。

 あれ?梅雨ってこんなに暑い時期だったっけ?


 そんな事を疑問に思う今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。お家にキノコとか生えてませんか?熱中症対策、ちゃんとして下さいね。もう真面目に脱水症状になる可能性ありますからねぇ、こまめな水分補給大事。


 夏本番がまだ控えているという現実から目を逸らしつつ。


 今回も岐阜旅、始めていきましょう~。






 ぬんっ。

 しかのこのこのここしたんたん。

 しかのこのこのここしたんたん。

 しかのこのこのここしたんたん。

 しかのこのこのここしたんたん。


 とあるアニメのオープニングが頭の中でぐーるぐる。鹿ですよ、シカ。今は鹿が熱いのです、世はまさに大DEER時代!


 ……ハッ!?

 今、私は何を口走っていた?


 何故だろう、いま途轍もなく動物と触れ合いたくなってるんですが。どうしてか全く分からないんですが、馬を見に行きたい気分なんです。鹿はもう見たので次はウマ……ん?シカってもう見たっけ?そもそも何でシカとウマがセットなんだ?


 まあいいや。という事で探した所、良い場所を見付けました。


 岐阜市から国道156号線に入り、後はひたすらひたすら北上。関市、美濃市を抜けて、156号は郡上ぐじょう市へと繋がっています。市街地までもそこそこ距離があるのですが、目的地はそこではありません。


 脇を流れる長良川と、山間谷間の地形に沿ったウネウネ道。結構走りやすいのですが、時々ちょっとキツメのカーブがあるのでご注意を。


 下道で行くのが辛いようでしたら高速道路がありますからね、ご安心下さい。


 さて、そんなこんなで156号から158号へ変わった道を進んでいくとスキー場の案内看板が散見されるようになります。この辺りから北は豪雪地帯の飛騨地域、岐阜の上半分に入っているんですよ。


 ですが今回の目的地はスキー場ではありません。というか7月オフシーズンにスキー場へ行く意味はあまり無いですからね。158号を道なりに進んでいきます。


 九十九折つづらおりの上り道。道の駅大日岳だいにちたけを越えて少し行くとようやくその地の名前が看板に現れてきました。


 さて、ここでクイズをば。


 ひるがの高原。


 この後に続く施設名称が頭に浮かんだ貴方、岐阜人です。県外の方で正解した貴方、名誉岐阜人に認定して差し上げましょう。どこ目線だ、私は。


 という訳でやってきました、ひるがの高原。

 ロッジやキャンプ場など、夏場のレジャーに最良な物が揃っている場所です。近くに高鷲たかすスノーパークがあるので、冬場にも強いスポットですね。


 お、看板が見えてきました。ロッジみたいな形の、右折を促す緑の看板です。その案内に従って右に曲がり、県道321号へ。後はひたすら上り道、標高がジワジワと上がっていきます。


 進んでいくと再び看板が現れました、今度は左折。曲がったらすぐに到着です。


 今回の目的地は『牧歌の里』です!


 ひるがの高原、ぼっかのさとっ♪

 岐阜人ならCMで一度は見た事があるんじゃないでしょうか。でも案外、行った事は無いという人も多いかも?少なくとも私はそうでした。なので今回はココへやって来たのです!


 駐車場に車を停めて、いざ、モフの国へ!


 入園料は大人1,300円、中高生とシニア1,000円、4歳以上は700円。

 私は当然ながら大人なので1300円を用意し、大人一人と窓口で伝えます。


「650円いただきます」


 あれ?金額が?

 疑問に思ったので、窓口の方に聞いてみました。


 すると何と!7月12日まで入園料が半額となっていたのです!

 うわ、めちゃラッキーですよ。下調べなんてしてこなかったから、より嬉しい。 このエッセイを最速で見た皆さん、幸運です。今なら半額で楽しめますよ、牧歌の里。


 思わぬ喜びを得て、園内へと入ります。


 さて、では動物たちと触れ合いを……の前に腹ごしらえだ。既に十二時近かった&空腹だったんですよね~。というのも岐阜市中心部から休憩を挟みつつ、下道を三時間近く走って来たものですから。


 入園ゲートから真っすぐ進むとメインハウスがあり、その中に食事処があります。訪問したのは平日、お昼時ですが人はまばらでした。席へ案内されたので、メニューを確認。


 オムライス、パスタ、ピザ、カレー、ハヤシライス。色々ありますね。ドリンクバーや瓶ビール、岐阜らしくけいちゃん定食もあるぞ~。私はオムライスを頼みました、飛騨牛ハッシュドビーフソースが美味しい!


 さてお腹も膨れたので、今度こそ動物たちの下へ。


 メインハウス一階から外に出ると、そこは牧場まきば……じゃない、列車が停まっているぞ!機関車っぽい先頭車両が、後ろ二両の客車を牽く形。でも線路を走るようなものじゃなく、仕組みは自動車と同じです。


 ちょうど発車のタイミングだったので写真をパシャリ。親御さんと一緒に乗った子供たちがめっちゃくちゃハシャいでる、楽しそうで何より何より。少し奥へ進むと大きく柵で囲われた場所があり、そこでは動物たちが悠々と草を食んでいました。


 一番メインハウスに近い所にいたのは二頭の牛。のんびりと飼葉桶に顔を突っ込んでムッシャムシャしてましたよ。


 続いては馬。かなり広い場所に五頭が放されていて、思い思いに足元の草を食べてます。柵の外にいる我々に興味を示して近付いて来てくれる子もいて、実に写真撮影が捗ります。


 馬と牛の柵の隣には山羊。他の方が餌をやってましたが、ガンガン奪い取られて笑いながら悲鳴を上げていました。簡単に組まれた木の橋の上で、ぬぼーっと日向ぼっこ(?)している二頭を写真撮影。まっっっっったく動かないけど、目開けたまま寝てる可能性、ある?


 馬の柵の向こうには羊とアルパカの放牧場がありました。


 ……なんというか、夏場のアルパカのコレジャナイ感は凄いですね。首の半分から上だけモフモフで胴体はスッキリしてたり、頭頂部だけウルフカットみたいに毛が残されていたり。毛が無くなると身体のホッソリ感が凄い。


 アルパカ達から道を挟んだ反対側には、馬と牛がいる牧舎があります。ここに居る馬はサラブレッド、先程見た馬よりも毛並み艶々でデッカイです。我々の側の窓が開けられていて、ヌッと顔を外へ覗かせていました。


 そしてココには一頭、特徴的な馬が。

 競馬ファンの中には知っている方もいるかもしれませんが、エアガッツ号です。


 1997年のGⅢラジオたんぱ賞を勝った重賞馬。同年の弥生賞では某ゲームでも有名なサイレンススズカらと戦って7着(※スズカは8着)、翌月の皐月賞ではメジロブライトらと戦い9着(※ブライトは4着)。生涯獲得賞金1億6520万の立派な競走馬です。


 牧歌の里でゆったりと余生を過ごしている様子。お隣の馬たちと一緒で、落ち着いた表情をしています。この馬が競馬で猛烈な競争をしていたとは思えませんね。もし当時、彼に夢を賭けた方がいらっしゃいましたら会いに行ってあげてくださいな。


 建物の中に入ると牛たちがいました、ジャージー牛です。20頭ぐらいの牛がいるそこは、かなり強い獣臭が充満していました。私はそこまで忌避感は無かったんですが、こういったものが苦手な方は牧舎の外から観察するに留める方が良いですね。


 それよりも牧舎の前にいる山羊や兎、モルモットに目を向けた方が良いでしょう。山羊は人間に興味が有るのか無いのか、柵に前脚を掛けて立ち上がっています。カメラを向けるとこっちをジッと見つめてきました、彼(?)は何を思っているのか……。


 兎とモルモットはカゴの中にいます。餌やり体験できますよ!写真パシャパシャ、どれもこれもかーわいい。


 牧歌の里は動物だけがウリじゃありません、花も有名なのです。敷地内には綺麗に植え揃えられた色とりどりの花々がありました。赤、青、黄色、実に色彩豊かです。こちらも写真撮影に良く、ベストスポットだらけですね~。


 さて、園内は結構広いです。動物たちがいた所から花々が植えられた場所の端まで歩くと、そこそこの運動になります。くまなく探索する場合は、歩くのに適した靴の方が良いですよ。


 なお先述の列車に乗れば、花々を眺めながら園内をゆったり見て回れるのでオススメです。花々を横目にゆっくり走る列車は写真映えもしますので、そっち目当ても良いですね。


 で、私は徒歩で移動しまくったので歩き疲れました。何か、身体の疲れを癒す物が欲しい。そう考えていたその時、私は発見しました。いま自分が求める全てを満たす物を!


 売店で注文し、それを受け取りました。


 ソフトクリームです!暑い時にはコレ!

 あと、ココに来たら牛乳製品を買わなければ勿体ない!


 バニラとラベンダーのミックスを選びました。なおラベンダーソフトは6月中旬から8月末までの限定、今がチャンスです。


 ぐわーっ!濃厚すぎるッ!旨い~!

 甘いのは勿論なんですが、牛乳の深みがダイレクトに来ます。これは絶対に食べるべき、400円払う価値がありますよ!


 ソフトクリームを堪能していた、その時。園内放送が聞こえました。


 ふれあいコーナーでアニマルタッチが出来る、と!

 一日2回だけのチャンス、これは行かないわけにはいきません。という訳で、いざ行かん!ソフト食べてた売店は園内の端、ふれあいコーナーの正反対の場所。……速足、全速前進です!


 無事に到着した時、ちょうど係員さんがモルモットをケージから取り出している所でした。どうやって運ぶのかと思ったら小さなバスケット……というか買い物カゴみたいなのに三匹詰めてました。めっちゃ大人しく収納されてる、なんか面白い。


 列に並んでその時を待ちます。とはいえ平日、人は少ないのですぐに私の番になりました。撫でる前に係員さんに断って写真をパシャっと。


 おお、フワッとモフッと。撫でられるがまま、モルモット&ウサチャンはジッとしてくれています。低いベンチみたいなところに布マットを敷いてその上に並べられていたんですが、そこから一切動こうとしない。人間に馴れてます、プロの撫でられ師ですよ、この子たち。


 大人しいですね、と係員さんに言うと、モルモットやウサギは目を開けたまま寝ると教えてもらいました。肉食獣から逃げるための、草食動物の習性だそうな。で、口元がヒクヒクしてるかどうかで判別できるらしい。動いていない場合は寝てる……あ、モルちゃんの一匹がそうなってる。


 短い至福の時間を終え、私はその場を離れます。これで園内をぐるりと回り終え、メインハウスへと帰還しました。いや~、充実の時間、歩き疲れなんて何のその。身体的な疲労<精神的回復、ですね、これはまさに回復魔法。


 こうして、私のモフモフ訪問は終了しました。


 ずーっと名前は知っていた場所でしたが、もっと早く訪問するべきでした。でもそうしていたら半額での入園は出来なかったはず。これは僥倖、巡り合わせという奴だったのかもしれません。


 なお牧歌の里には年間パスポートがあります、大人3000円。通常の入園料が1300円なので、三回行けば元が取れる計算になりますね。春夏秋冬と違った景色が見られる場所、秋にはコスモスが咲き乱れるようです。


 で、今年で牧歌の里は29歳と掲示されていました。つまり来年は30周年。もしかしたら何か、特別な事があるかもしれませんね。近い時期に行けないよ、という方も、この事を頭の片隅入れておくと良いのかもしれません。


 車で行くの難しいよ、という方には名古屋の名鉄バスセンターからの直通便があります。往復乗車券+入園券のセット購入をすると、通常6900円のところが5700円になるとの事。訪問を考えている方は是非。


 もう少し……といってもそこそこ距離がありますが、北へ進むと世界遺産の白川郷もあります。東には高山市もあるので、牧歌の里で動物と触れ合い、白川郷で歴史を感じ、高山の朝一を巡る、というのも良いのかもしれません。


 さあ、貴方もモフモフしに牧歌の里へ行きましょう。


 さあ、さあっ、さあ!


 また次回お会いしましょう。


 ではでは~。

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