第十二回 山方に咲く梅雨の花

 皆様どうもこんにちは。


 六月、気温30℃越え。

 ふざけてんのか!というべき高気温ですねぇ……。梅雨は何処にいるのか、そろそろ南から上ってくる頃合いでしょうか。一先ずそこまでは、夏先取りな暑さを耐える必要がありますね。


 皆さん、水分補給は小まめに、この時期でも熱中症になりますよ~。


 さてそんな注意喚起をしたうえで。


 今回も岐阜旅、始めていきましょう~。






 たまには季節に沿った旅をしてみたい。そんな事を考えた私は地図とにらめっこしました。六月の風物詩、と来ればもうバレているのと同じなので先出ししますが、今回は紫陽花を観に行きます。


 岐阜市から国道256号線を北へ北へ。県道200号線と交差したら左折。


 これで目的地に到着です、なんという分かりやすさ!


 今回の目的地に西から訪問される方は多分同じルートを辿る事になるでしょう。東から向かう方は国道418号を西進する形が早いですね。北からだと国道156号から国道418号へ、というのが分かりやすいかな、国道256号を南下しても良いかも。


 とまあ、どの方角からでもそんなに厳しい道に入る事はありません。安心安全。


 県道200号を西へ向かった私は、小さな郵便局の脇にある坂道へと車を進めます。坂道の入口に今回の目的地の看板が立っていました。それを横目にゆっくりとアクセルを踏み、緩やかな坂道を上っていきます。


 坂の上には駐車場がありました。私が訪れたのは平日の午前10時半くらいなのですが、既に満車寸前。やはり『この時期には観に行かなければ』と思う方が多いのですねぇ。


 さてさて、そんなこんなで到着いたしましたのは岐阜県は山県やまがた市『三光寺さんこうじ

 そう、紫陽花寺です!


 幸いにしてまだ空いていた駐車位置に車を停め、いざ紫陽花を観に……いや、もう見えてた。駐車場の奥、お寺の境内へと続く坂道に青と白の花が咲いてます。これだけで来た甲斐がある、ってくらいに、坂道の脇で咲き誇っている。


 私は勿論の事、他の方々もここで足を止めて写真を撮っていました。そりゃそうだ、これだけ綺麗に咲いてたらカメラやスマホを向けたくなる。


 ですがここで満足して帰るわけにはいきません。紫陽花が咲く緩やかな坂を上っていき、お寺の入口へ。そこには拝観料300円の看板とお金を入れるための賽銭箱、そして護摩祈祷用の護摩木が。一つ手にして、境内へと進みます。


 まずは30cmくらいの長さの護摩木に願い事を記入します。

 ……うーん、何を書くべきか。個人的な事もパッと思いつかないなぁ(億万長者になりたい)ここはやっぱり物書き関連の願いが良いだろうか(非課税で三兆円欲しい)


 よし、無難に世界平和って書いておこう。


 護摩木を奉納したら、敷地内の紫陽花鑑賞の始まりです。

 境内には植木鉢に植えられた幾つかの紫陽花が置かれていました。それぞれ品種が違う……というか、紫陽花ってこんなに種類があったのか!?鉢には品種名が書かれた札が刺してあるのですが、境内に有るだけでも十を超えています。


 本殿の横から境内の散策路へと進む事が出来ました。整備されているとはいえ半分山道、歩きやすい靴で進んだ方が良いですね。皆さんが思う境内は多分、玉砂利が敷き詰められていて仏殿本堂がある場所、だと思うので、ここから先は『敷地内』と表現させて下さい。そのくらい山道だったのです。


 多分皆さんが想像する紫陽花は『青か赤か紫の小さな花がドーム状に密集している花』だと思います。ですが敷地内にあるのはそれだけじゃありません。2mmくらいの小さな鞠のような蕾を無数に抱えて、周囲に数輪の花を咲かせているガクアジサイの方が多いのです。勿論『いわゆる紫陽花』も沢山咲いています。


 三光寺の敷地には8000株、数百種の紫陽花が咲いているのです。歩を進めるごとに別の種の紫陽花が散策路に現れ、実に華やか。日本古来の小柄で控えめなヤマアジサイが中心なので、華美になり過ぎない落ち着いた色どりになっていました。野山の緑といい具合に調和しています。


 ただ、私が訪れた時は気温34℃。何だか紫陽花も項垂れている様に見えました……。歩いているだけで私も汗だく、デジイチデジタル一眼レフカメラで良い写真を撮ろうと悪戦苦闘していると更にダラダラ。死ぬ!


 敷地内の散策路は境内から一旦上り、続いて下ってくるルートとなっています。最高地点、と言ってもそんなに凄い上ったわけではありませんが、そこには見晴らしスポットが。紫陽花を観るというよりは緑の野山を望む、といった感じの場所ですね。


 おや、眼下に人が集まっている場所があるぞ?ちょっと降りていってみましょう。


 うん、下りは更に山道感が強いですね。階段部分は不揃いな石階段なので、ヘタすると転げ落ちそうです。結構急な部分もあるのでハイヒールやサンダルでの訪問はお勧めしません、怪我するぞ。


 気を付けながら下って、ようやくその場所へと到着しました。


 そこにあったのは池。


 ここが『マネの池』です。


 え?『モネの池』じゃないのかって?

 いいえ、マネです。

 モネの池はお隣さん関市


 正確には弁天池と言うそうですが、住職さんの一言で通称が付いたそうな。本家(?)なモネの池と同様に鯉が泳いでいますが睡蓮は有りません。代わりに池の周囲には紫陽花が沢山。


 この時期(6月中下旬)は三光寺のマネの池で紫陽花と鯉を、もう少し後(6月下旬から7月上旬)は関市板取のモネの池で睡蓮と鯉を見てはどうでしょうか。重なる時期ならどちらかへ行った後にもう一方も、と巡れるかもしれません。当然ながらどちらも混むでしょうけどね。


 さて、敷地内をぐるっと回って境内へ戻ってきました。紫陽花のベストショットを撮るために動き回ったので、そこそこ良い運動になりました。駐車場に戻り、車の中へ。うぐお~、灼熱地獄ぅ……。


 駐車場は完全に満車。出る車と入る車でごちゃごちゃ状態です。うーん、この煩わしい状態にハマらないようにするなら、お寺が開く9時に来るしかなさそうですね。まだ夏じゃないのに暑いですし、比較的涼しい時間の方が快適ですし。


 そんな事を考えながら、私はお寺を後にします。坂道を下り、県道200号線へ。続いて北上して国道418号へと入ります。


 さて、では次の……!!!うわっ!!!!????


 交通事故!

 あ、私じゃないですよ、ご安心ください。


 418号は片側一車線なんですが、小型車がセンターラインから少しはみ出した状態で停止していました。警察の方が誘導してくれてたので特に問題は無かったんですが、事故車は側面がベッコリいってる、ひぃぃ。


 これは他人事じゃありません。私もあっちこっち車で動いている訳ですし、他山の石として気を引き締めなければ。皆さんもどうかお気を付けを。護摩木、交通安全って書いておいた方が良かったかな……。


 では気を取り直して。


 今回はもう一か所、訪問する場所があるのです。


 国道418号と国道256号が交差する地点まで戻り、今度は256号を北へ進みます。道なりにしばらく走っていくと、道の右手に目的地が現れました。


 到着したのは『ふれあいバザール』です。


 地図で三光寺周辺を調べていた時に、ふと見つけたんですよね~。


 駐車場は結構埋まってました。

 あれ?今日平日だよね……?それだけ人気って事か。


 店内は至ってシンプル。地産の野菜が並ぶ直売所とその隣の食事処だけです。


 まずは直売所へ、面積はそんなに大きくはないですね。地元野菜が置いてある棚が四つ、壁際に山県市のグッズ類が置かれていて、逆の壁際に冷蔵冷凍庫が設置されています。午前中で主だった野菜は売り切れたのか、棚の七割は空でした。


 山県市の伝統食品に『桑の木豆』という物があります。桑の木から取れる豆……ではなく、木に絡ませて栽培されていた事が名前の由来なインゲン豆の一種です。直売所で買えますので、訪問の折には是非。木工細工やメダカも売られています、あと紫陽花の株も。


 ここを訪問した理由は、お隣の食事処がメインです。

 受付表に名前を書いて暫し待ち、おおよそ25分で呼ばれました。お客さんが多いから、待つのは仕方ないですね。


「一名でお待ちの和扇さまー」


 お、呼ばれた。正直お腹は限界、既に12時を回っております、ぐぅぅ~。


 さて注文は……既に決まっています。

 ざるそば定食!(1,100円)


 というのも、お蕎麦は手打ちで天ぷら付き。五目おこわには桑の木豆が入っているのです。これを頼まずして何を頼むのか。あ、他の料理も美味しそうなので、是非食べてみて下さい。個人的には、そばがきを食べてみたかったです。


 料理の提供は結構早い。三光寺で撮った紫陽花写真50枚を確認しているうちに到着しました。お蕎麦もおこわも天ぷらも旨い!


 さて、今回はここまで。


 快晴の下での紫陽花鑑賞も良いですが、しとしと降る雨の中で七つ色めき変化する姿を観に行くのも良いでしょう。まあ何よりも、もうちょっと涼しい日に訪れるのが一番だと思います。


 紫陽花寺は来週あたりが花時最盛期でしょうか。


 雨恋し

 四葩よひらに鯉し

 七変化

 つの光の

 寺にて出会う


 では、また次の岐阜旅でお会いしましょう。


 ばいばい、ねくすとたいむ!

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