第十一回 企業博物館は歴史を残す

 皆様どうもこんにちは。

 5月初旬のこの頃、いかがお過ごしでしょうか。GW、有意義に過ごせましたか?え?私?特にどこにも行ってませんよ、灰色Gray週間Weakでした。


 だがっ、しかしっ!我々のゴールデンウィークはまだ終わってねェッ!


 という強硬論を吐いた所で今回も岐阜旅、始めていきましょう!






 岐阜旅の目的地を探す際、私はGoogleマップを使っています。


 観光ガイドHPとかで行く場所を決めても良いのですが、そういったサイトだとどうしてもスポットが限定されてしまいます。たくさん載っていたとしても「ん!これはっ!」という発見が中々難しい、と私はこのエッセイを書くための旅で感じました。


 探している感が薄いというか、カタログを見ている感覚になるんですよねー。別にそれが悪いわけではない(私も普通の旅行時には良く見ます)ですが……こう……「なんか見つけたぞ!」というトレジャーハント感が欲しい。


 で、今回。そんな事をしながら見付けた場所へ向かいました。


 岐阜市から国道21号を東進、もしくは国道156号を北東方面へ。前者の場合は鵜沼うぬまで北上し、後者の場合は関市に入った辺りで国道248号(関バイパス)へ入って東へ。


 二つの道は坂祝さかほぎ町で合流して、なおも東へ続きます。西町5交差点で側道に入り、少し行ったら左折。一つ目の信号を右折し、長良川鉄道の線路を超えたら次の信号を左折です。


 少し走ると左手に施設名とパーキングの看板が見えてきます。


 さて駐車場に停めて、目的地に向かいましょう。坂道、だなぁ……。


 んしょっ、んしょっ。ちょっと歩くな、坂もそこそこ傾斜あるから疲れる。


 ……あれ?駐車場はこちら、の看板が見えてきたぞ?え?さっき止めた所が駐車場だよね?んんん?


 坂道を登り切りました。そこに広がるのは100台は止められそうな駐車場。


 施設の駐車場、こっちかーいっっっ!

 私が停めたの、手前の公園の駐車場じゃん!


 ま、まあ、平日で全然車いないし、移動させなくても良いか。えー、皆さんはお気を付けください、坂の奥まで車で進めば大丈夫です、はい。


 気を取り直して、今回の目的地に到着です。


 ……おや?到着、だよね?建物が見当たらないんだけど……。


 駐車場の奥にあるのは、ガラス張りのピラミッドみたいな建物。高さ5mくらいでそんなに大きくない。おかしいな、ここはそんなに小さな施設じゃないはずなんだけど……。とりあえず突入してみよう。


 あ、看板がありました。間違いない、ここは目的地だ。

 うーん?どういう事なんだろう。


 あ、建物の中に人が入っていくのが見えます。

 ……おんやぁ?みんなスーツ着てるし、外国の方っぽいぞ?関係者以外立ち入り禁止、とかじゃないよね?いや、ちゃんと調べてきたから、だ、大丈夫なはずっ!


 入口に到達すると受付のお姉さんが声を掛けてくれました。良かった、一般人も入って良さそうだ。安心、安心、ほっと一安心。


 入館の前にアンケート用紙に記入が必要との事でササっとカキカキ。項目は、人数、どこから来たのか、そして施設をどうやって見つけたのか、ですね。そんなに難しい事は聞かれません。


 お姉さんに渡して、料金のお支払い。


 ……っとと、今回の目的地の名前をお伝えしておりませんでした。


 今回の目的地は、美濃加茂市にある『ヤマザキマザック工作機械博物館』です!

 企業博物館という奴ですね。


 入館料は大人500円、しかしJAF会員なら450円です。


 丁寧に説明してくれます。このガラスピラミッドは建物の1階、博物館は地下1・2階にあるとの事。なるほど埋まっていたのか。


 で、最重要な注意事項。地下2階は写真撮影OKですが、地下1階はNGです。これは地下1階は工場を見学する形になるので、企業秘密を撮ってしまわないように、という注意ですね。……変に写真をSNSとかにアップしたら捕まりそう。


 エレベーターで地下2階へ。そこにも受付があり、1階で受け取ったチケットを見せます。あ、入口で見た海外の方々がヤマザキマザック社員の人から説明を受けてる。結構詳しく説明しているみたい。


 自分で自由に見て回るか、それとも彼らの様に社員の方から解説を受けながら回るかを受付さんから聞かれました。私はもちろん、解説を頼みましたよ!(じゃないと、ここで書く内容が薄く……ゲフンゲフン)


 受付さんと「ちょっと時間かかりそうですね~」なんて話していると、彼らよりも先に奥へ行く事を提案されました。まあ、今回のメインは奥にあるので承諾。


 少し先に進むと、目的のものが私を出迎えてくれました。


 日本国有鉄道が昭和15年(1940年)に作り上げた、金色のプレートをかしらに付ける黒鉄くろがねの車。誰もが知るであろう通称を持つ、蒸気動力の列車。


 蒸気機関車D51、デゴイチです。ここに在るのはD51409号。


 いやー、デッカイ。多分皆さんが思っている1.5倍くらい大きいと思います。これに出迎えられる形になるので、結構圧倒されるんじゃないでしょうか。


 受付さんはより詳しい社員の方を連れてきて下さいました。話を聞いてみると本日の一般客は私だけ。先程の海外の方は、やはり他企業からの見学者だったようです。


 まずは目の前のD51に関する説明から。


 ここで私、初めて知った事があります。


 皆さん、D51がなんで『D』であるかご存じでしょうか?

 「A~C、どこ行ったん?Eから後ろは?」とか思ったりしませんか?


 はい、説明して頂きました。


 このアルファベットは、車輪(動輪)の数による種別です。Dは4軸、Cは3軸、Bは2軸。D51の場合は片側4輪、合計8輪あるという事ですね。なおEもあるそうで、それは5軸。


 で、ちょっと驚きの説明。


 立派で堂々とした佇まいのD51409号、ヤマザキマザックが引き取った時点では錆塗れの状態だったのです。写真が掲示されていましたが黒の塗装は剥げ、赤茶の錆に覆われた姿でした。


 それを分解整備、再塗装した物が現在展示されているのです。凄い。


 さてこの機関車、運転席への立ち入りが出来ます。機械部品とバルブ、レバーに圧力計。まさに機械!といった場所。で、案内してくれている社員さんから、とある一言を投げかけられました。


 「汽笛、鳴らして良いですよ」


 良いんですか!?

 機関室右手上部から下がる逆T字。それが汽笛のレバーです。


ボォッ!


 おおー、鳴った~。ただ、どの程度引けば良いのか分からず、ちょっと遠慮気味になっちゃった。ちなみに1人2回くらいに留めておいてね、と注意書きがあります。まあ、連発したら喧しいですからね。


 外観内観、もう写真撮りまくりです。こういう無骨な機械は浪漫ですね~。

 ……もうちょっと早く来れば良かったな。というのも、とある小説作品に機関車出したばっかりなんですよ。結構詳しめに描写する必要があったので、先にこれを見ておきたかった。嗚呼。


 続いて、ちょっと面白いものを見せてもらいました。


 タッチパネルを操作して、ロボットを作ってみようゲーム。

 工作機械メーカーのヤマザキマザックらしい、研磨・切削・穴あけ・ネジ切り。それを画面の中でロボットを作る工程として体験できる、そんなゲームです。こういった内容は、企業博物館らしいですね。


 そこから先は工作機器ゾーン。人力式の工作機械(足踏み式ミシンみたいな構造)や水車式そして蒸気式の機械。歴史の流れ順に機械が置かれており、初めは机一つ分くらいの大きさだったものが、時代が下るにつれて部屋一つ分くらいに進化してました。


 突然ですが皆さん。ヤマザキマザックのヤマザキに関しては元の社名が山崎製作所と言う名前だったのでそこからですが、『マザック』って何が由来かご存じでしょうか?


 今回説明して頂いて知りましたが、欧米の方はYAMAZAKIの頭の『YA』と尻尾の『I』が発音できないそうです。で、それを引くと『MAZAK』=『マザック』となるわけですね。海外へ向けての名づけだったのですね。


 奥へと進んでいくと1900年代初頭の映像でよく見る、T型フォードが置かれていました。その反対側にはプロペラ式の戦闘機……正確には練習機T-6Gがあります。


 でん、と置かれているのは各務原市にある、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館からの貸出機。その手前で分解された状態で置かれているのも同じ機体です。


 この分解されている機体は中々面白い遍歴で、なんと元々は八百津やおつ町のとある保育園の屋上に30年間も置かれていたのです。何でそんな所に?というと保育園の園長さんが元特攻兵であり、その思いがあったとのこと。


 まだまだ館内は続いています。


 『せいみつ体験室』と書かれた部屋がありました。ここは小学校などのモノづくり体験で切削加工を行う場所。バイクオブジェ、フォトスタンド、文鎮などを作るみたいです。


 ここまでで1階終了。

 あ、ヘリコプターも置いてありましたが、あんまり説明無かったので割愛します。


 続いて2階へ。

 ここは製造工場の内部を見下ろす形で見学出来ます。


 ……が、今回ちょっとタイミングが悪かった。現在時刻ちょうど12時、お昼休憩の時間でした。そして私も空腹ぐーぐー。


 シアタールームでは『工場へ行こう』が流れていたので、それを見て待とうと思ったんですがちょっと辛かった。2階は写真撮れませんし、変に疑われたくないのでスマホも出しにくい。(スマホを出すだけなら注意されたりはしないと思いますが、念のため)


 というわけで、ここで撤退です。一部の機械(運搬機かな?)は昼休憩中も動いていたので、何も見れなかったわけではありませんので、まあ……。


 さて、皆さん気になっている事があるかと思います。


 平日空いてるのは分かった、休日は?


 案内していただいた方に聞いてみました、まず土日も開館しています。で、直近のGWではかなり多くの人が来館したそうで、結構混雑していたとのこと。普通の休日もそこそこ人は来ているらしい。


 夏休みは激混みしそうですね……。


 これから梅雨時期ですし、雨模様のお出かけには良い場所だと思います。通常の土日で訪問するのが良いかな?どの程度混雑するかは分かりませんが、長期連休と比べれば絶対マシなはずです。


 うーん、でもココに行くだけで帰るのもなぁ……。


 と考えた、そこの貴方!

 もう一つ良い場所をお教えしましょう。


 博物館から車でおおよそ15分。

 道の駅みのかも、ぎふ清流里山公園です。

 この場所は高速道路の美濃加茂ハイウエイオアシスでもあります。


 ココ、お風呂が有るんですよ。里山の湯。

 大人620円、JAF会員の場合は100円引き。意図して割引がある場所を選んでいる訳ではないんですが、JAF会員証、便利だな。


 タオル類は購入オンリー。フェイスタオル200円、バスタオル500円です。下駄箱と脱衣ロッカーは100円投入式(使用後返却してくれます)なので100円玉が2枚必要、ご注意を。


 公園をのんびり散策してから湯に浸かり、旅の疲れを癒してから帰宅というのも良いものです。


 ……あ、寝湯にはお気を付けを。タイル床で斜めに作られているのでスリップする可能性があり……滑ります。滑りました。ちょっとだけ怪我しました、掠り傷ですが。痛い。疲れを癒しに行ってちょっとダメージ入りました、しょぼん。


 ………………。


 さてさて、今回はこの辺で終わりにしましょう。


 企業博物館、モノづくりの歴史、蒸気機関車。機械が好きな人、機関車を間近で見てみたい方にはめちゃお勧めです。ただ解説無しで見て回ると中々難しい展示もある(NC旋盤とかの知識があれば理解できる、かも?)ので、是非社員さんに説明をしてもらって下さい。


 何はともあれ、蒸気機関車の汽笛を鳴らしに行くのが良いでしょう。


ポッポーッ!


 それでは次の岐阜旅でお会いできるのを楽しみにしております。


 ばいばーい。

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