第十回 美濃が誇るユネスコ無形文化遺産
皆様どうもこんにちは~。
四月の半ば、近頃は季節の変わり目。
体調管理が重要な時期ですねぇ……。
(先週思いっきり風邪をひきました)
桜も次第に終わりを告げる今日この頃、今回もぼちぼちと旅に出発します。
ではでは、岐阜旅始めていきましょう。
ここまで読んで頂いた皆様ならば『岐阜って結構面白い』と感じて頂けているかと思います。でもでも、観光においてはちょーっと思う所が。
有名な観光処の飛騨、世界遺産の白川郷、日本三名湯の下呂温泉。
うーん、ビッグネーム。観光となるとどうしても飛騨地方が強いですね。飛騨には飛騨牛もありますし、観光バスが列を成してあっちの方に行っている気がします。
美濃地方出身としては、これに戦いを挑まねばならぬ……!(使命感)
というのは冗談ですが、美濃地方にもビッグネームになり得るものがあるのです。
今回の旅の目的地は『美濃と言えば!』という場所です。
岐阜市から国道156号、県道77号、県道94号と進んで北東方面へ。そのまま道なりに北上し続け、県道290号へ入ります。道なりにずーっと直進していけばOK。
進んでいくと小さな町の中の突き当たりに辿り着きます。そこを左折し、少し進んだら右折、板取川に架かる橋を超えます。橋を渡り切ったら右へ曲がり、おおよそ1㎞進むと今回の目的地その一に到着!
岐阜県美濃市『美濃和紙の里会館』です!
そう、美濃と言えば和紙!そして美濃和紙は岐阜が誇るユネスコ無形文化遺産!
敷地に入って左側、坂を下った所に一般車用の駐車場があります。結構広いので、余裕をもって入る事が出来ると思います。車を停めたら下りてきた坂を上って建物正面へ。
中へ入ってすぐの所に受付があります。
入館料は大人500円、JAF会員の場合は50円引き。小中学生は250円。
受付の方からとある案内をされました。その情報をありがたく受け取って、案内していただいた事への参加をお願いします。するとラミネートされた用紙を一枚貰い、階段で一階へ向かうように促されました。
螺旋階段を下りると、その正面にはちょっと特殊な場所が。そのまま中には入れないので、右にある売店の受付へとラミネート用紙を提出します。
とある事に参加する料金は500円。少し待つと係りの方が来てくれて案内をしてくれました。
売店受付の横からとある部屋へと通されます。長机と椅子が幾つか並んでいて、机の上には簡易的なファイルが置かれていました。挟まれているのは……?
これから作る和紙の種類について、係りの方が説明をしてくれました。
そう、ここで『紙
作成できるのはA3サイズの用紙もしくは葉書サイズのどちらか一方。ファイルに挟まれていたのはその見本です。
今回私は用紙を選択しました。作成できる和紙の種類は障子紙くらいのきれいな和紙や、水を振りかけて模様を付けた物。それに紅葉を数枚散らして、何とも風情のある紙を作る事が出来ます。
遂に紙作りを行う別室へ。深さのあるステンレス製の台の中には、白濁した液体がたっぷりと注がれています。これが和紙の原料となるものですね。
ビニール製のエプロンを借ります。紙漉きには水を使うので、自前のエプロンが無い場合は素直に借りた方が良。さもないとお腹辺りが紙の材料でべとべとになる事でしょう。
さて、台の前へ。まずは係の方のレクチャーを軽く受けてから実践!
紙漉きに使うのは木製の
横に長い長方形の枠で、長辺同士を繋ぐ形で持ち手が付いています。枠の中に簀がセットされています、これは目が非常に細かい巻き簀または
台の中に入っている液体は、非常に細かく解された
楮は紙の主原料、つまりは紙の白い部分。単純に水に入れただけだと沈殿してしまうので、トロロアオイのネバ成分が必要なんですね。
桁を垂直にして、軽めに原料液を掬います。手前から向こうへ滑らせるようにして余分な液を捨てる、これを三回ほど繰り返します。
次は多めに原料液を掬い、桁を左右に揺り動かして液を捨てる。これを二回繰り返したのち、今度は揺する方向を前後に変えて二回繰り返しです。
ここまでで漉き作業終了。案外簡単、というか係の方が手取り足取りで教えてくれるので、難しい事はなーんにもありません。
私は和紙に模様を付ける方を選択したので、その作業に移ります。金属製の枠に紙を載せた物に水を掛けるのです。
アレです、園芸で使うシャワーホース。1mくらい上から結構な強さで、ざあざあと水を降り注がせる。正直、思った以上の水量&時間です。これで破れないんだから、和紙って強いなぁ。
さて、私が選択したのは紅葉を散らす和紙。と言う訳で、漉いた紙に三枚の葉を置きます。係の方が薄く漉いた紙を載せてくれて、紙漉き完了です。
続いて脱水。下から掃除機の要領で水を除去する専用の台、それに枠を載せて手前に引く事で水分を抜いていきます。水分が抜けていく様を見る事が出来るんですが、それまで朧気な感じだった紙がしっかりと白くなっていきます。
ここまでで体験終了。あとは係の方が乾燥機にセットしてくれます。乾燥機は65℃の温水が内部に回っている山型の金属設備。それに貼り付ける形で乾燥されていきます。
用紙の場合は15分で乾燥完了、葉書の場合は1時間。訪問される方はその日の予定も考慮して、どちらを選択するかを決定してくださいね。
出来上がった和紙は、時間になったら売店で受け取る事が出来ます。私の場合は館内に人が殆どいなかったので、届けてくれました。
さて、この会館では定期的に絵画展などが開催されています。私が訪問した際は『全国和紙作家選抜展』というものが行われていました。こちらは3/14~4/22の期間での開催との事で、終了まで時間が無いです。
ですが4/25~は『にしむらあきこ和紙造形の世界』というものが開催される予定。もしよければ紙漉き体験と共に見に行っても良いかと思います。
……実を言うと私、かなり昔に美濃和紙の里会館を訪問している、はず。というのも多分小学校低学年くらいの頃で記憶が曖昧なのです。ですが会館の周囲の環境(板取川と緑の山)を見たような覚えがあるんですよねー。
とまあ、余談でした。
さて今回はこれだけが目的地ではありません、もう一つの目的地へと車を走らせます。会館を左折して出て、道なりにずんずん進行。道は南へ向かって行き、橋を渡って156号へ進むと美濃市の市街地に繋がります。
『段』交差点を左折し、しばらく進むと進行方向右手に観光バス駐車場の茶色い看板が見えてきます。そのすぐ裏の道へ右折して入ると有料駐車場が。
さて駐車料金ですが……2時間100円!安い!
というわけでここに車を停めて歩いていきます。駐車場から出て右、先程まで車が進んでいた方向へと進みます。ほんの3分~5分歩くと、何とも風情のある街並みが見えてきました。
今回の目的地その二『うだつの上がる街並み』です!
うだつって何ぞや?という方も多いかと思います。『うだつ』とは屋根の両端を一段高くして火災の類焼を防ぐために造られた防火壁の事。で、このうだつ、裕福な家しか造る事が出来なかったのです。
こうした由来から『うだつの上がらない奴』というのは、地位・生活などがよくならない、転じてぱっとしない奴、という事なんですね。
街並みは江戸時代の商家のそれを残した感じ。つまりは瓦葺きで木造の住居が連なっている街です。西から東に向かって写真を撮ると、真っすぐな道の向こうに緑の山が映って実にイイ感じになりますよ。
お、いい雰囲気のお店を発見。『和紙の店 紙遊』さん。
お邪魔すると中は紙で一杯。封筒やメモ、シール、そして生地ならぬ
ここは雑貨屋ですが、ちょっとした飲み物を頂く事も出来ます。私は休憩ついでにアイスコーヒーを注文。店の奥、別棟にカフェスペース兼用のギャラリーがあります。そこでちょっとコーヒータイム。
静か~。紙細工で彩られた空間の向こうは木塀と植物、実に落ち着く場所ですね。うん、リフレッシュ完了、街歩きを再開しましょう。
……おや、コーヒーを頼んだ事でトレイの上にコースターが付けられていました。全く使っていませんでした、がコレけっこうお洒落です。正方形の紙製コースターには喫茶紙遊の文字、どこか大正時代の風情がある意匠ですね。
折角なら貰って帰りたい。店員さんにその旨を相談すると快く承諾してくれました、ありがとうございます。家で使う、というよりも旅のお土産になりますよ、コレ。
街中を歩くと分かりますが実に、うだつが上がっている街、です。連なる建物は古めかしく伝統的、所々にお酒を提供する酒店もあります。車で来ているから寄れませんけどね。
歩いていると、とある建物に辿り着きます。
『美濃和紙あかりアート館』です。
街の真ん中からは少しだけ横道に逸れていますが、大した距離ではありません。
中へ入ると一階部分は紙細工の販売所。先程の雑貨屋とは異なり、紙製の照明器具が置かれています。まあその、そこそこのお値段がする奴です、はい。
奥には2階へ上がる階段が見えます。この建物の上階はギャラリーになっているのです。1階部分だけなら無料ですが、先へ進むなら有料です。
受付の方に声を掛けて入館料を支払います、200円。安い!
こちらのギャラリーは写真撮影OKと案内してくださいました。私、首からデジイチ下げてましたから気を使ってくれたようです、感謝。
古めかしい木製階段を上ると、二階は薄暗い場所。そこにライトアップされた紙細工が飾られています。どうやら一般の方や工芸家の方の作品である様子で、多種多様な姿。和紙を使って非常に細かい加工がされている物も多く、照明が抑えられた館内の雰囲気によく合っており、写真を撮ると紙細工が輝いて見えます。
すごく広いというわけでは無いので、ちょっと時間がある場合に訪問できる場所ですよ。ゆったり落ち着いた温かみのある空間、と言う感じですね。
さて、今回はここまで。
和紙の強さと柔らかさ、そして温かみ。それが分かる美濃市の旅でした。ユネスコ無形文化遺産である美濃和紙、1300年の歴史は伊達ではありません。
いまやメールが主体となった人と人のやり取り。たまには形で残る、ずぅっと残る和紙の手紙を送るのも風情があると思います。
洋紙は100年、和紙は1000年もつと言われる程に和紙はとても強靭。友人知人、家族との絆もまた和紙によって強くなる事でしょう。
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