第九回 巡礼の終着駅へ繋がる始点
皆様、こんにちは。
本日は3月14日、ホワイトデーですね。
ん?今回の行先には何の関係もありませんよ?
世間の動きは別として、岐阜旅へいざ行かん!
Googleマップで私は次なる訪問地を探していました。
今回は西濃地域、その中の何処かへ行きたい。先に徳山ダムへ行きましたが、そこまで奥へは入らない辺りで。
あ、そうか。本巣市と揖斐川町の間には大野町があるの忘れてた。といっても、大野町に何があると聞かれて思い付くものが無いんだけど。ちょうどいい、それを探すのが岐阜旅の目的だ。
ふーむ、ふーむ。
『道の駅パレットピアおおの』は徳山ダムへ行った際の休憩地として利用しました。とはいえ、道の駅が目的地です、というのもなぁ。折角なら、そこにしかない!という場所に行きたいのだ。
拡大縮小を繰り返し、何処ぞ良い場所は無いかと思案中……。
おん?いま何か見えたような?
むむっ!ここ良いじゃないか、レッツゴー!
皆様は、西国三十三所観音霊場というものをご存じでしょうか。
西は姫路から東は岐阜までに存在する三十三の寺院の事です。四国八十八ヶ所巡りと同じように、西国三十三所巡礼というのがあるのです。
じゃあ今回はそのお寺へ向かうのか?いいえ、そうではありません!
岐阜市から国道303号を西へ西へ。根尾川を越えて少ししたら左折します。曲がるのは黒野八幡町の交差点。
Googleマップのストリートビューで見て頂ければ分かるんですが、思いっきり住宅街です。ホント、何の変哲もない小さな交差点なんですよねぇ。
ですが曲がった先にその施設はあるのです。
急に建物が途切れ、ポンと視界が開けます。その右側、背の低い看板にその場所の名称が書かれていました。
今回の訪問先は『黒野駅レールパーク』です!
右折し、少し奥まった場所にある駐車場に車を停めます。すごく広いわけじゃ無いですが、結構余裕のある駐車場なので駐車は楽ですよ。
車から降りると、すぐそこにそれがありました。
駅のホームです。ですが二十メートル程度のレールが残っているだけで、そこから列車が出発する事は無い場所。三~五メートル程度のコンパクトな赤と白カラーの車輌が一つ、ポツンとそこに停車していました。
ホーム上には『黒野』と書かれた駅名看板。真っ白で真新しいので、これは駅が現役だった時代のものではなさそうです。
ホームとミニ車輌、レール、そして遠くの山。それが一度に見る事が出来る場所には、在りし日に運行していた列車の紹介看板がありました。
モ512号。なんと1926年(大正15年)製造の車輌です。1967年(昭和42年)にここへ転属してきて活躍し、そして2000年(平成12年)に運用終了。随分と長い間、市民の脚として動いていたようですね。
低いチェーンで区切られており、ホーム上へ進入する事は出来ません。少し残念ではありますが、下から見るだけに留めておきましょう。
敷地内には黒野駅ミュージアムが建っています。味わいのある木の造り、時代を感じます。
中へ足を踏み入れてみると、そこではプラレールが走っていました。反対側、つまりは道路側の出入り口も開かれています。そちら側には黒野駅周辺のジオラマが造られていました。
そしてその上の壁面には時刻表、隣には出札口があります。あ、駅員さんから切符買う所ですよ?古い駅ですからね、自動発券機なんてありません。窓口の上には手書きで味わい深い旅客運賃表が。
ここがまさしく『駅』だった名残ですね。
この旧黒野駅、既に配線となった岐阜市~揖斐川町までを結ぶ揖斐線から分岐した『
つまりこの場所は、巡礼の結びの地への始点なんですね。
さて、このミュージアムにはカフェが併設されています。屋外には手書き看板も出ているのです。その看板に書かれている内容ですが……。
『ジオラマ 2F 土日開催 入場無料
10:00~12:00 13:00~15:00
喫茶カフェくろの 1F
一日中モーニング
9:30~15:00(ラストオーダー14:30)』
となっていました。
本日は平日なので、残念ながら二階のジオラマは見れませんね。
ん?何か変な事が書かれてるって?
え、どこか変な所あります……?
あ、もしかして『一日中モーニング』って所ですか?
そーか、岐阜・愛知民以外は意味が分からない人が多いですわな。完全に気にしていませんでした、失敬失敬。
まずモーニングに関して。
すごーく簡単に言ってしまえば『飲み物頼んだらパンとか色々付いてくるよ、料金は飲み物一杯分のままね!』というもの。何を言っているか分からないって?そういうものだ、とご理解くださいませ。
続いて一日中モーニングについて。
これはそのまま、一日中モーニングやってるよ、という事。『カフェくろの』の場合、9:30~15:00の間は飲み物頼んだら色々付いてくるサービスを実施しているよ、という事なんですね。
そこ、12:00~15:00はアフタヌーンじゃないのか、とか言わない。モーニングサービスだらかモーニングでいいの。そういうものなの。
さて、そんなカフェへ入ります。
木を基調とした店内、落ち着いた雰囲気です。温かみのある雰囲気といっても良いかも?
お支払いが先の様子、店員さんに声を掛けます。……店員さんという表現で良いのかな、なんというか近所のおばちゃんに声かけたみたいな、良い意味での気安さが。
本日、ちょっと暖かい。なのでアイスコーヒーを頼みます。お値段、500円。
丸テーブルの席に掛け、のんびりと待ちます。どうやらこのカフェ、近くに住んでいる人の憩いの場になっているようで、常連さんと思しき方々がゆったり世間話をされてました。
おまたせしましたー、と運ばれてきたのは木のプレートに載せられたアイスコーヒーとパン……と、なんか他に色々小鉢があるぞ……?
アイスコーヒー、厚切り1/2食パン。ここまでなら「まあ良くあるよね」という感じ。
煮物、焼うどん、マカロニサラダ、温泉卵、デザートのゼリー。いや多い多い。
一つ一つは小鉢で少ないんですが、種類が多いので結構な量です。
訪問したのは12時だったので「ご飯食べなきゃー」と思って入店しましたが、正直モーニングだけだと足りないかもな、と思っていました。別の場所で追加で何か食べないといけないかな、どこ行こう、とか考えてました。
が、このモーニングで十分。これ朝イチで出されたら結構大変では……?
なにより、このモーニングで500円!コストパフォーマンスが高すぎる!
平日なのでモーニングしか無いのですが、土日祝日はカレーライス700円、焼きそば・焼うどん500円、天むす600円を注文する事も出来ます(飲み物は+150円で付けられます)。勿論モーニングも注文可能です。
十分に満足して退店。
この黒野駅レールパーク、名前の通り
せっかくなので端っこまで歩いてみます。
ホーム横から伸びる歩道の先には踏切遮断機が一つだけ残っています。線路が確実にそこを通っていた、という事が分かりますね。黄色と黒のそれを通り抜け、更に先へと進んでいきます。
木で組まれた藤棚?のような物を潜っていくと終着点へ突き当たりました。そこは歩道の終わりと行き止まりを示す金属ポール。ですがその向こうには、まだ先があります。
列車が通っていた小さな橋があるのです。それはガードレールで進入を禁止されており、おそらくレールが残っているであろう上部は枯草に埋もれていました。諸行無常といいますか、少し寂しく感じます。
その小さな橋のずぅっと向こうには、かつて列車が向かっていた谷汲山……と見せかけて西を向いているので別の山が見えます。というのも黒野駅から西へ揖斐線が伸びていたので、こちら方向にも線路が続いていたのですよね。
ん?あ、そういうことか。
私が歩いて来た歩道、途中で二つに分かれていたのです。一本は西へ、一本は西北へ伸びて、どちらも途中で行き止まりに。
この二つの道がそのまま、昔の線路跡なんですね。Googleマップの航空写真で見て頂くと、この辺りがよーく分かります。既に廃線となっても繋いでいた道は残っているんです、なんとも感慨深い。
さて、今回の訪問はこれにて終了。
正直を言いますと、このレールパークだけで一日過ごすのは難しいと思います。小規模な公園ですからね。なので道の駅パレットピアおおのへ寄ったり、東隣の本巣市にあるモレラ岐阜に寄るのもいいかもしれません。
ですがこのレールパーク、とても静かで穏やかな場所。ただゆったりと過ごしに来るのも良いと思います。大野町ウォーキングマップという看板があり、それを元に4km程度街中を歩いてみるのもアリでしょう。
このレールパークにあるもう一つの駅名看板。そこには黒野駅レールパークと書いてあります。そしてその下、本来なら前の駅と次の駅が書かれているその場所にはこう書かれているのです。
『 黒野駅レールパーク
← →
おもいで しあわせ 』
今は小さな公園ですが、かつては多くの人が訪れた場所。
その過去の思い出を覗いて、モーニング食べて幸せになりましょう。
皆さんも是非一度、足を運んでみて下さいね~。
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