第5話 地獄の20分間、過去

今、地獄の20分間が始まった。これは、人生のカウントダウンでもある。これに勝てば人生が変わる。負ければ人生が終わる。

「仮面は一体何が目的なんだ。」

仮面の目的がわからない。それだけが知りたい。仮面は、人が無様に死ぬのを見ると喜ぶ。絢香さんのように嬉しそうに死ぬのを見ると悲しむ。怒る。何がしたいんだ。

仮面の声が聞こえる。

「ふぅ~ん。なかなかいけ好かない野郎が出てきませんねぇ。これじじゃつまらないじゃないですか−。小細工にも引っかかってくれない。何なのよ。もー。だけど、ルールはルール。守らないといけないもんね。もっと、楽しませてねぇ。死という名の楽しみを。」

仮面の頭には、ある過去が浮かんでいた。

1991年。ある事件が起きた。札幌銀行事件。父は、そこの社員。裕福な暮らしで、とても幸せだった。あの事件が起きるまでは。それは、ある日の出来事だった。

父は帰りが遅かった。いつもより2時間遅い。迎えに行こうとしたら、無数のパトカーが停まっていた。父は死んだ。遺体を見たとき思った。

「あぁ。なんて、幸せそうなんだろう。この幸せをみんなに分けなきゃ。そうだ。やらなくては。」

死は幸せだ。そうとっても。まるで、好きなものをたくさん食べるくらい。


仮面は一体何を考えている。何がしたいんだ。タンスの中を覗いた。そこには見出しに札幌銀行事件とかかれた新聞があった。もしかして、

「仮面。」

「はぁい。なぁにー。」

「お前、札幌銀行事件となにか関係あるだろ。」

「さぁ。何の話かね。」

「しらばくれても無駄だ。お前の父は事件で死んだ。そういうことだろ。そしてお前は、紘汰(こうた)だろ。友達だろ。」

「…。正解だ。分かったならお前を殺す。友達だろうが関係ない。さよなら。

壁からたくさんの銃が出てきた。

「バン。」

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