ギャルと幼馴染、どっち?

なんとか遅刻さず、会社に着いた。

今朝あったことが頭から離れなかったが、仕事は上手くこなせた。

今、俺は新しいオンラインゲームの制作に携わっている。

ファンタジー系MMORPG「幻神」(げんしん)だ。

社運をかけた重要プロジェクトで、俺は絶対に成功させたいと思っていた。


昼休みになって、俺はコンビニに飯を買いに行った。


ピコン!

あ、ラインが来ている。

……ミツキンからだ。


≪ミナトン、今朝はごめんね。あの人は彼女さんじゃないんだよね?≫

≪気にしなくていい。美琴は彼女じゃないよ≫


俺が返信すると、すぐ既読になった。


≪だったら、今日飲みに行かない?私、渋谷でいい店知ってるから≫


ミツキンが俺を飲みに誘ってる。

これって、デートになるよな。

でも今日は……夜、美琴と約束がある。

しかもその約束は、普通は恋人としかしないことだ。


今朝、ガキのころ夢に見ていた、美琴の胸を触ってしまった。

めっちゃくちゃ柔らかくて、まるで大きなマシュマロを掴んだみたいだった。

今夜、普通に家へ帰れば、あのおっぱいをまた触ることができる。確実に。


でも、俺は、ミツキンのことが……


≪飲みに行こう!終わったら連絡するね≫


またすぐに既読になる。

俺の返信をじっと待っていたみたいだ。


≪ありがとう!すっごく楽しみ!≫


メッセージと一緒に、飛び跳ねて喜ぶ女の子のスタンプが送られてきた。


……美琴、ごめん。

今回はタイミングが悪かった。

また今度、しような。


◇◇◇


午後、鬼のように仕事をこなして、なんとか19時に会社を出れた。

渋谷のハチ公前でミツキンと待ち合わせだ。


あ、そうだ。

美琴にラインしとかないとな。


≪ごめん!今日、緊急の案件が入ったから、帰りは終電になるわ。先に寝てて≫


送信してから思ったけど、まるで奥さんへの連絡みたいじゃないか。

彼女ですらない、ただの幼馴染だけど。


すぐに既読になって、返信が来た。


≪本当に?≫


ドキっとした。

もしかして、バレてる?

いや、そんなことはないはずだ。


≪本当だよ。大事な仕事なんだ。埋め合わせするから≫

≪そう。わかった。後でたっぷり埋め合わせしてもらうから。絶対に≫


俺は土下座した猫のスタンプを送った。

するとまた返信が来た。


≪湊のこと、信じてるから≫


正直、少し胸が痛くなった。

でも、別に美琴と付き合ってるわけじゃない。

俺は何も悪いことはしてないはずだ……


「ミナトーン!」


ミツキンのかわいい声した、

ブロンドの巻き髪を揺らしながら、俺に向かって走ってきた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る