幼馴染と初めてしちゃう

「しよって……ちょっと待て」


美琴が俺のズボンに手をかけた。   


「湊も早く脱いでよ!あたしだけ裸じゃ、恥ずかしいじゃない……」

「いや、だから会社が……」

「ちょっとだけでいいから」

「無理だって——おわ!」


パンツまで脱がそうとしてくる。

俺はなんとか美琴の手を掴んで、最後の砦を守る。


「ねえ……お願い。我慢できないの」

「ごめん。本当に仕事があるから」 

「……私はずっと待っていた。湊と……こういうことするの。ずっと昔からだよ。何年も何年も。なのに、会って2日のあの子とは、こういうことするんだ。私とはしないのに」

「そうことじゃなくて……」


美琴は今にも泣きそうな顔をしていた。

俺のシャツの袖を掴んで、身体を震わせる。


「……わかった。じゃあ約束して。今日帰ってきたら、絶対に私として」

「あのさ、本当に俺としていいのか?別に付き合ってるわけでもないのに」

「うん。私は湊としたいし、付き合いたい」

「そっか……」

「OKなの?」

「……少し考えさせてくれ」

「待ってるね。じゃ、指切りしよう!」


美琴の顔が明るくなった。

ニコっと俺に笑いかける。


「指切りげんまん嘘ついたら湊のおちんち◯切っちゃうよ。指切った!」

「おいおい……」

「あー今夜がすごく楽しみ♡」


付き合ってもない幼馴染と、夜にヤル約束か。

改めて考えると、なんだか緊張するぜ……

昔は一緒に風呂も入っていたのにな。


「そういえば、瀬川さんとは何回したの?」

「な、何聞いてんだよ!」


火の玉ストレートの質問に、俺はめっちゃくちゃ焦りまくる。


「な・ん・か・い・し・た・の?」

「……1回だけだよ」

「ふうん……ならあれは何?」


美琴はゴミ箱を指差した。

その中に、使用済みのコンドームがあった。

ティッシュの山の混ざって、5つは見える。


「明らかに1回じゃないよね……」

「ははは。そうみたいだね」

「湊の嘘つき!何回してんのよ!キモい!変態!猿!」

「ひでえなー」

「ひどいのはそっちでしょ!私とも瀬川さんと同じ回数してよね!」

「なんでそうなるんだよ……」


やれやれ。

また寝不足になっちまうじゃねえか。


あ、ヤバい!もうこんな時間だ。


「そろそろ行かないと」

「……ごめんね。いろいろワガママ言って」


美琴が俺の腕に縋ってきた。


「本当だよ。ワガママすぎ」

「なんだと!そこはフォローしてよ!」

「ダメだ。ちょっとは反省しろ」

「はーい!」


テヘペロっと、美琴が自分の頭をこづいてみせる。

その姿を見ると、昔の楽しかった思い出が蘇った。


「じゃ、行くわ!」

「いってらっしゃい!」


俺は部屋から駅へ走った。

……結局、朝飯食いそびれたぜ。


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