ギャルの正妻ムーブ

「うどん。作ったよー!」

「お、うまそう」


白い湯気が立ったきつねうどんだ。

ちょうど暖かいものを食べたかったから有難い。


「さあ召し上がれ!ミナトン!」


さっきまでの暗い感じから、明るすぎるぐらい明るい。

無理してるのかな?


「ありがとう。美味しくいただくよ」


俺はうどんを啜った。

めっちゃくちゃ美味い!

卵もワカメもネギも入ってる。

もともと我が冷蔵庫になかったものだ。

昨日、いろいろ帰ってきてくれたらしい。


「ミツキンの分は?」

「あたしはいいーの!もう食べたから!」


津島さんは俺をじーと見ている。


「見られると恥ずかしい」

「ミナトンが美味しく食べてるとこ見たいなって」

「本当にすごく美味しい」

「作った甲斐あった!そうだ。お風呂沸かしてくるね。ミナトンお仕事で疲れてるでしょ?」

「今日はもうシャワーでいいかな」

「ダメだよ!寒いしちゃんとお風呂入って疲れを取らなくちゃ!」


だだーっと、津島さんはお風呂へ走っていった。

夜食を作ってくれて、お風呂も沸かしてくれる。

これってまるで……奥さんじゃん。

いいのか?付き合ってもいない女の子にここまでやらせちゃって。


「ねぇー!私が先に入っていい?」


津島さんの声が聞こえる。


「いいよー!」


あっさりOKしてしまったが、これは、今日も泊まるっめことになるよな……


「ミナトンー!あたし、着替えないからミナトンの服貸してくれる?」

「ぶ!」

「どーしたの?」

「……わかった!置いておくね!」


おいおい。俺の服を津島さんが着るのかよ。

ヤバい……ちゃんと洗濯してなかった。

ど、どうしよう?


俺はうどんを一気にかきこんで、津島さんが着れそうな服を探した。

一人暮らしの男の服だ。女の子から見れば汚物に等しいだろう。

なかなか見つからないな。ロクな服がない。

もともと、女の子が足を踏み入れることを想定していない陰キャ男子の部屋だ。

女の子が着れる服なんてあるわけない。


「ミナトンー!持ってきて!」


タイムアップだ。

俺は見た目的に1番きれいそうなシャツを選んだ。


脱衣所のドアを開けると、


「おわ!」


生まれたままの姿の、津島さんがいた。




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