同人二次エロ、私も好きです♡

がっつり見られてしまった。

俺のベッドの下にあった、エロ二次創作の同人誌。

しかも、昨日会ったばかりのギャルに。


「こういうの……好きなんですか?」

「好きっていうか……えーと、弟がこういうの好きで置いていったんです。それで……」


俺に弟はいない。

なんとかこれで誤魔化したい……


「こんなにたくさんですか?」

「ははは……」

「別に恥ずかしがることないのに。私はこういうの好きだから」


金髪ギャルが、同人二次エロが好き……?

見た目とのギャップに、俺は驚いてしまう。


「これって、MAOの二次創作?」

「そうです……」


MAO……マジック・アート・オンラインというラノベ原作の人気アニメだ。

MAOのヒロイン、ミズナちゃんは俺の嫁(自称)だ。

青い髪の女騎士で、胸甲から大きなおっぱいが……みたいな美少女キャラ。

そのミズナちゃんがいろいろ(えっちなこと)している同人誌を、俺は買い漁っていた。


「瀬川さんって、ミズナちゃん好きなんですね。ミズナちゃんのえっちな漫画ばっかりです」

「はい……」


ミズナちゃんが触手に犯されていたり、アレを咥えていたり……女の子には見せられない漫画ばかりだ。

死にたいくらい恥ずかしいぜ……


「わ、嬉しいっちゃ!」


う、嬉しいだって?マジか?


「私もミズナちゃん大好き。私もこういう漫画、ネットでよく見てますもん」

「そ、そうなんすか」

「ふふ。瀬川さんとは趣味が合いそー!」


◇◇◇


掃除が終わる頃には、もう夕方になっていた。


最初はおしとやかだった津島さんは、だんだんギャルぽっさが出てきた。


「よぉし!終わったば!」


リビングもキッチンもトイレも風呂も、すべてピカピカになった。

すげえ気持ちいいぜ。


「ありがとうございます。全部掃除してくれて」

「よゆーよゆー!」


これでやっと帰ってくれるかな……?


「あ!もう5時!そろそろ夜ご飯じゃん。ご飯作って行くね」

「そんなの悪いですよ」

「湊っち、めっちゃ顔色いし。普段いいもの食べてなさそうだから。作るねー!」


早くも冷蔵庫を開けて、食材を探す津島さん。

しかも、さりげなく俺を「湊っち」って呼んでるし。


「うーん。何にもないなー?」


一人暮らしの男の冷蔵庫だ。

缶ビールとキムチしか入っていなかった。


「近くのスーパーで買ってくるから、待っててねー!」


パタパタと津島さんは出て行った。


ふう……いきなりギャルが来て、掃除してくれた上に、ご飯まで作ってくれるとは。

なんだかエロゲみたいだな……と一人でニヤニヤしていると、電話がかかってきた。


≪湊ー!久しぶりー!≫

≪なんだ……美琴か≫

≪なんだと!せっかく幼馴染が電話してやってるのに≫


こいつは、小山美琴(こやまみこと)。

俺の幼馴染で、高校までずっと一緒だった。

大学からはずっと離れていて、話すのは久しぶりだ。


≪急になんだよ?≫

≪今度、東京に転勤になったんだ。また湊に会えるなって思って≫

≪マジか≫

≪嬉しいでしょー?≫

≪別に≫

≪ひどーい!≫


妙にテンションが高いな……

なんかいいことでもあったのか?


俺と美琴は、いろいろとお互いの近況を話した。

久しぶりに昔の友達と話せて、なんだかんだで楽しい。


≪今日は何してるの?あ、そうか!陰キャの湊はどうせ一人で寂しくビールでも飲んでいるのよね!≫

≪うっせなー!≫


ガチャ!


「湊っちー!ただいまー!」


津島さんが帰ってきた!


≪……もしかして、女?≫


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