第4話 平静を装っている? 少女の接客姿

 マスターに代わって、その娘ではなく、同じ服装のもう一人のウエイトレスが珈琲と水を持ってきた。


「岡山さん、お久しぶりです。本田陽子です」

「陽子さん、お久しぶり。あんたも、また一層女らしくなられたねぇ・・・」

 20代前半の女子大生、いささか、顔を赤める。

「あ、ありがとうございます・・・」

 さらにここで、丸眼鏡の老紳士が入店してきた。


「いらっしゃいませ・・・、あ、森川先生ですね、どうぞ、こちらへ」


 女子大生のウエイトレスが、同級の大学生とウエイトレスの同僚の父親のいるテーブルへと、老紳士を案内した。


 軽く挨拶の終わった段階で、早速、今回問題となっている案件の話が始まった。

 もう一人のウエイトレスは、状況を意識してか、他のテーブルの接客をしている。

 自分自身の話がこれからこの場所で始まるということを知ってか知らずか、それでも彼女は、平静を装っているのかどうか。


 ともあれ彼女は、いつもとさして変わった雰囲気を見せず、自分の仕事に淡々と従事している。

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