第33話⁂アダム王子とスプリング姫の結婚式⁂


 

 この国の妖精の特に高齢者や大臣たちの、たっての希望でスプリング姫が、この国の王様に祭り上げられそうになって居る。


 その声は日増しに大きくなり、いくらホイットニー妃が声高に自分の異を唱えようと、大群の群れは一層大きくスプリング姫を押し、ホイットニー妃の入る余地はみじんもない。

 

 当然と言えば当然の事、自分の私利私欲に燃えて、歳を取り見苦しくなった王様ケビン王をあっさり消しておしまいになり、高齢者をいわれなき理由でカウシュビッツ強制収容所 ガス室に送り込み殺害するなどとんでもない暴挙の数々。


 結局今まで、いわれなき罪でカウシュビッツ強制収容所 ガス室送りにされた、親族の声が日に日に大きくなり、やがて…食い止めようと思っても歯止めが利かなくなった。

 こうして、このフラワーフェアリー星の大臣たちの意向で、やむを得ずホイットニー妃はカウシュビッツ強制収容所 ガス室送りにされて、殺されてしまった。


 それにしても一体どうした事だろう。

 もうかれこれ二年も経つと言うのに帰って来ない王に、業を煮やした大臣たちが強行突破に出た。正式にスプリング姫が王様の座に就く事になってしまったのだ。


 だが待て待て?アダム王子との結婚に進展は見られたのか?


 実は…アダム王子には、弟王子の存在が有った。

 だから海底都市アクア王国は第二王子が次期王の座に就く事になり、アダム王子はスプリング姫との結婚に向けての準備中。


 ◆▽◆

 結婚式は、深い森の中の美しい白いチャペルで盛大に行われた。

 深い森の中には、美しく花開いた大輪のピンクの花や、オレンジの花が豪華に咲き誇っている。


 白いウエディングドレス姿の、美しいスプリング姫の歩くバージンロ-ドには、可愛い花々が色とりどりに延々と咲き誇り、二人の結婚を祝福してくれている。


 すると今度は……森の中を、小さな妖精が黄金の光を放ちながら、ぐるぐる円を描きピンクの光るステッキを振り回して、金の粉や淡いブルーの粉をまき散らして二人に幸せの魔法をかけている。


 すると…アダム王子とスプリング姫は、魔法の金の粉やブル―の粉を浴びたと同時に、光る銀の羽を広げて美しい森の中を蝶のように舞いながら、熱い口付けを交わした。


 やがて…ギリシア神話に登場する伝説の白馬、鳥の翼を持ち、自由に空を飛ぶことができる白馬で何とも美しい、幸せをもたらすと言われ「不死」の象徴ペガサスが青く光る羽を広げどこからともなく現れた。


 すると…その美しいペガサスが、アダム王子とスプリング姫を乗せ青い夜の月夜に飛び立った。


 空高く飛び立った水の妖精であるアダム王子は、その美しいペガサスに乗り、ブル―に光るステッキを振り回しながら、幸運を招くダイアモンドようにキラキラ輝く✨銀の雪をまき散らした。

 

 一方のスプリング姫も、ペガサスに乗りながら幸福の金の粉を四方八方に、まき散らした。


 こうして自分たちの幸福だけでなく、招待客であるフラワーフェアリー星の妖精たちにも幸福の、おすそ分けをした。

 

 地上では、緑の森と白亜のチャペルに降り注ぐ、金や銀の粉が舞い散り、何とも優美で尚且つ豪華絢爛な祝宴の真っ最中。

 誰もかれも、金の粉のシャワ-と銀の雪を身体に浴びて幸せに満ち溢れ、笑顔満載である。


 すると今度は…お姉さん妖精の演出で一斉に花吹雪が舞い、得も言われぬ森の美しい結婚式場となった。


 


 ◆▽◆

 やがて…愛し合うアダム王子とスプリング姫の、新婚生活がスタ-トした。


 それでも悠長な事は行っていられない。

 このフラワーフェアリー星の王となったスプリング姫には、王としての任務が待っていた。またアダム王子も王配としての役目をはたしている。

【王配とは、女王の配偶者に与えられる称号】


 スプリング王とアダム王配が任務についてからと言うもの、この国は見違えるほどの安泰な幸せな星になった。


 ◆▽◆

 嗚呼……そう言えば……その後マリリンはどうなってしまったのか?


 もう王様もいないのでとっくにお役御免になってしまい『セルフィッシュ星』に帰ってしまったのか?

 それから……何とも……お気の毒に……最後の頼みの綱、流し目ロバ-トが居なくなった今、この星に完全に居場所が無くなってしまったマリリン。

 一体どこに行ってしまったのか?


 それが……どうも…プッツリ行方知れずになっているらしい。


 ◆▽◆

 一方『セルフィッシュ星』では、妻にも逃げられマリリンにも捨てられ、行き場を失った王様は、懸命にマリリンの行方を探している。


「マリリンどこに行ったのだ~?何故この私を捨てた~!帰って来ておくれ————ッ!」


 こうして王様の職務の事もお忘れになるくらい、マリリンの事で頭の中が一杯で、日夜宇宙船に乗りマリリン探しに余念のない王様。








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