第32話⁂末期的状況⁂


「オ~ッホッホッホッホ~!ワッハッハッハ~!この私は、あのブ男王ケビン王が邪魔で仕方なかった。昔は随分ハンサムだったが、最近はぶくぶく太って昔の面影はどこへやら……更には…有能な王様と言われてこの星を手中に収めていたが、それもこれも私有っての事、浮気はスルは、無能なバカだはで、うんざり!私が発明したあの薬で跡形もなく消すことが出来て幸いだった。これからは私がこの国を自由自在に操り、私好みの国に作り上げようではないか!オ~ッホッホッホッホ~!ワッハッハッハ~!」

 こうして、このホイットニー妃は自分に都合の良い国を作ろうと、とんでもない暴挙に出た。


 まず何よりもの、お気に入りそれは……若いイケメン。

 国中のイケメン達から体細胞を採取して凍結保存。

 こうして日夜イケメン作りに奔走されているご様子。


【体細胞クローン技術とは、皮膚や筋肉などの体細胞から取り出した核を、未受精卵子に移植することによって元の動物と全く同じ遺伝子を持った新たな生命を作り出す技術のこと】

 

 更には…無駄な人材は必要無いとの理由から、とんでもない法律を制定された。


 それは……「プラン七十五」ならぬ「アイ ドント 二-ド七十五」と言うとんでもない法律を制定された。


「プラン七十五」は、遥か遠いジャパンで2022年映画化された75歳から“自らの生死”を選択できる制度を描いた衝撃作であるが、それは当然の如く、どこの国にも当てはまる少子高齢化の波が、押し寄せていると言う話ではあるのだが、地上のフラワーフェアリー星でも、やはり少子高齢化が進んでいた。


 それでも…今までお国の為に必死で国を支えてくれた高齢者に、まだ「プラン七十五」なら“自らの生死”を選択できる制度なので分かるのだが「(アイ ドント 二-ド七十五)I don't need 75」と言う制度はあんまりだ。


 要は七十五歳以上は必要無いと言う法律を制定なさったのだ。全く血も涙もないとはこの事。


 高齢者が、頑張って支えてくれたからこその繫栄をすっかりお忘れのようだ。

 人生経験も豊富で知識も豊富なのだが、リタイヤしてしまったら要らないという事なのだろうか?


仕事をリタイヤして、これから人生を謳歌しようと考えていた矢先の高齢者には、衝撃が走っている。


 ホイットニー妃にすれば、税金対策に四苦八苦した結果編み出した法律らしいが、結局自分勝手な考え方、若くて優秀なイケメンだらけにして、自分の側近としてハベラセたいだけの事。


 更には…それこそ百年ほど前に滅茶苦茶な政治を行い、狂気の独裁者と呼ばれたアドルフ・ヒ○ラー率いる某国のアウシュビッツ強制収容所 ガス室を真似てカウシュビッツ強制収容所 ガス室なる物をお作りになった。

「エエエエエエ————ッ!毒ガスで殺すって事?酷い酷すぎ!メチャクチャ!職権乱用も甚だしい!」


 この国の大臣たちも、軒並み高齢者ぞろい。

 この年までこの国の為に尽力していたにも拘らず「アイ ドント 二-ド七十五」と言う法律のせいで、カウシュビッツ強制収容所 ガス室送りにされては、堪ったものではない。


 全く、このホイットニー妃も常軌を逸しているとしか考えられない。

 

 そこで……今まで側近として働いていた流し目ロバ-トを呼んで欲しいと、スプリング姫が言うと、大臣たちが思わぬことを口走った。


「それが……どうも…流し目ロバ-ト様のお姿が……プッツリと消えたのでございます」

 一体何が起こったのか?


 ◆▽◆

 どうも…流し目ロバ-トがホイットニー妃の、一番のお気に入りだったらしいのだが、そして…もう一歩でホイットニー妃との結婚に、こぎ付けそうだったのだが、この流し目ロバ-ト子供の頃からの悪い癖、寝言が酷いのだ。


 そこで……とんだ失態を繰り返し逆鱗に触れたらしい。

 一体どんな失態を繰り返していたのか?



 どうも…側近の話では…唯一の婿候補としてホイットニー妃と、昼夜を共に過ごしていたらしいが、寝言でとんでもない事を口走っていた。


「ああ……とんだ誤算……耐えられない……美しいなど……とんだ間違い……化粧を落としたら……目が……無い……それこそ……き……つ……ね……目で……つけまつげに……アイシャドウ塗りたくり……厚化粧……オッパイは……貧乳に……シリコン入れて……巨乳に……アアア嗚呼……噓っぱちだらけ……あんなババア……あんなババア……イヤだ~!マリリン……愛する……マリリン……」


 更にある夜の寝言。


「もう……もう……二重まぶた……埋没法を行っていたらしいが……加齢で垂れ下がり……酷い顏……オッパイの……シリコン……脇の傷でバレバレ……マリリンに会いたい……愛しいマリリン💛💘😚*・゚゚💕」


 こんな寝言をショッチュウ口にするらしく、最初はホイットニー妃も可愛い年下のツバメちゃんくらいに思っていたが、ある日とうとう許せない出来事が起こった。


 マリリンの事は噂には聞いていたが、このホイットニー妃はフラワーフェアリー星の北部に位置するダーマンに、重要な仕事の拠点が有るのだが、ホイットニー妃はそこでイケメン軍団に夢中になり、ほうけていたせいで、夫ケビン王の秘書兼愛人マリリンの顔など全く眼中になかった。流し目ロバ-トの話では「少しバカ」と聞いていたので、さして問題にもしていなかった。


 だが…流し目ロバ-トと生活して半年くらい過ぎた頃だ。

 流し目ロバ-トの机の引き出しが偶然にも開いていたので、閉めようとした時に、引き出しに今の今まで会った事も無いような、魅力的な女性の全身が写った写真や顔だけアップの写真が、何枚も目に飛び込んで来た。


 これはただ事でははない。

 

 今の今までこの世で一番美しいのは、誰有ろう自分しかいないと思ってうぬぼれていたのに、こんな魅力的な女がこの世に居たなんて、そして……この女とあの愛する流し目ロバ-トが付き合っていたなんて許せない。


 今までは、二十五歳も年の離れた可愛いツバメちゃんで、どんな事も許せたのが、こんな女が居たなんて、そして…誰有ろうこれだけの知性と美貌全てを手中に収めるこの私と、一緒に生活していると言うのに、寝言のうわ言で口にするほど今尚愛しているとは許せない。プライドがガタガタ。


 散々寝言で暴言を吐くのも、自分に揺ぎ無い自信が有るからこそ目をつむっていられたが、まさか……これほど魅力的な女性だったとは?こんな女なら離れられる訳が無い、ひょっとして私に隠れて会っていたかもしれないと思うと、嫉妬で気が狂いそうになり、眠った所を見計らって、すぐ外がプールになっていたので、車いすに乗せプールに落として跡形もなく溶ける薬で溶かして流し目ロバ-トを溶かしてしまった。


 アッ!実はホイットニー妃は、イケメンクロ―ン作りに専念しておいでなのだが、しっかり流し目ロバ-トの皮膚組織を採取しておいでだった。


 だから……嫉妬に狂ったと言うより、わがまま放題の流し目ロバ-トが嫌になったと言った方が正解かも?


 要は、いつでも若い流し目ロバ-トを生み出せるという事。


 やはりもう……美しさも損なわれそうな流し目ロバ-トに散々好き勝手言われて嫌になり、どうも少年の一番美しい盛りの流し目ロバ-トに、お目に掛かりたくなったご様子。

「エエエエエエ————ッ‼殺されたって事?」

 

 まぁ証拠も一切残らず消えてしまった以上仕方ない。


 流し目ロバ-トが消されてしまった事は、非常に残念だが今更どうにもならない。

 それより、このフラワーフェアリー星を好き勝手に、自分の思いのままに操るホイットニー妃には困ったものだを、通り越して末期的状況だ。


 こうしてスプリング姫が、この国を背負う事になる。






 


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