第4話⁂怪しい宇宙人⁂



 やがて……他の星の宇宙人が、この星『セルフィッシュ星』の空を傍若無人に埋め尽くした。

 陽葵姫は、この難局を乗り越えることが出来るのか?


 19歳に成長した陽葵姫は、愛する両親を相次いで失い憔悴しきっている。


「嗚呼あんなにお優しかった父上と母上……きっと父上は仏様となって、この星を照らしてくれているに違いない。母上は……女神となって、この星『セルフィッシュ星』を大地のような深い愛で、見守って下さっているに違いない。ウウウウッ(´;ω;`)ウゥゥワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


 すると……陽葵姫が住む城から約一Km離れた、この星『セルフィッシュ星』の、ひょうたんの首辺りにある宇宙ステーションの警報器が”ウ——ウ——”鳴り響いた。


 この警報器は、「エンペラーシティーの王様シティー」と…地球上とさして変わらない環境空間「シチズンシティーである市民シティー」全土に響き渡る様になっている。


 陽葵姫は慌てて宇宙ステーションに飛び込んだ。

 すると……今度は、宇宙通信機器が物凄い音を立てて鳴り始めた。

 そして…どこか……?聞き慣れた声が聞こえて来た。

 

「シャ-シャ-ビリビリビリ———————————— ォォオオオ~イ!オオオ~イ!ジジジィ————ッ ジジジジジジィ————ッ ゴッホン!」


「ええエエエエエエ?誰?誰??」


「イヤイヤ?ワシじゃ!ワシじゃよ!」


「……あああ……パパ?とっくに死んでしまったかと思って……盛大な国葬が行われたっていうのに……どこを、ほっつき回っているのよ?」


「イヤ~悪かった!俺達夫婦は死んでは、おらぬわ~!……実は…もう高齢になって来たので無重力空間の生活が嫌になってしまった。かと言って……今更『市民シティ―』に渡る事も出来ないし……それで妃と以前から話し合っていた。『エンペラーシティー』の生活も若いうちは、プカプカ浮いて鳥や蝶々みたいで楽しかったが、度々『市民シティー』の視察で『シチズンシティー』に滞在している内に、無重力空間の我が家に戻るのが億劫になってしまい、ネットで色んな星を検索している内に、地球と言う星が我が国『シチズンシティー』と同じ環境だと知って、居ても立っても居られなくなった。そして…地球と言う星に降り立ったが……地球人はワシ等と同じ姿形でビックリしておる。だが……ここでの生活は快適でなぁ~ワッハッハッハ~!もう……帰りたくなくなってしまった。最近では……運動不足がたたり……主治医から軽い心筋梗塞と狭心症と診断されている。一方の妃も、高血圧・糖尿病を疑われている。健康の為にも、この地球は最適だ。だから……当面は帰れぬ」


「エエエエエエエエ——————ッ!じゃ~?この星の王様が居ないじゃないの?」


「ワッハッハッハ~!陽葵姫お前が婿養子を迎え入れて世継ぎとして、その『セルフィッシュ星』を守ってくれ!……嗚呼ワシ等はこれから、ニャオンモ-ルで映画『ローマの平日』を見る予定だが、時間が迫っておる。まぁ~ここでの生活は快適でなぁ~!ワッハッハッハ~!ではまた!ジジジジジイ————ップツリ!」


「あれ~?電波が、切れちゃった。もう💢」


 ◆▽◆ 

「シャ-シャ-ビリビリビリ—————— ォォオオオ~イ!オオオ~イ!ジジジジジジィ————ッ ゴッホン!」

 

 警報機が鳴ったあの日、王様は最後に国民全員にお触れを出していた。


「ゴッホン!皆のものこれから私は……重要な宣言をする。私がこの星に帰還するまで次期王である陽葵姫を王として『セルフィッシュ星』を守り通してくれ!」


 ☆

 ある日の事である。


 この星では王様の条件として、何と言ってもそれは……代々血族、家族が最重要視されてきた。

 幾ら経験が有って優秀だからと言っても、血族や家族でなければ王になれない決まりがあった。


 王が居なくなったこの星は、早速、周りの星々から攻め込まれている。


 他の星の宇宙人が、この『セルフィッシュ星』に降り立ち、陽葵王は役人たちと日夜会議中。

「全く……それでもどうして王様がこの星から姿を消した事が、他の星にバレてしまったのか、不思議で仕方ない?」

「どうも……スパイが『シチズンシティー』に紛れ込んでいるらしい?」


 こうして会議も終わり……クタクタになって「エンペラーシティー」の城に帰ると、庭先で誰かが………。


 何と…そこに居たのは……王様の次に偉い首相の子息で、次期政財界期待の星との呼び声の高い、高学歴のイケメン、エドワ-ド公だった。

「嗚呼……陽葵姫……一人で心細いと思い馳せ参じました。エヘへへへ~!困った事がありましたらエヘへへへ~!何卒!何卒!僕におっしゃって下さい」


 人一倍出世欲の強い、この胡散臭いエドワ-ド公、どうも……陽葵姫に、言い寄り次期王の座を………?


 だが……他にも………意味有り気に………陽葵姫に近付く野心有り有りの男達。


 次の男は『シチズンシティー』出身の俳優で天下一のイケメンと称されている男。何だかんだと口実を付けて陽葵姫邸に、出入りするようになって来た。


 それより何より……宇宙人の一人で……何とも怪しげで……魅力的且、凄腕のライフル狙撃の達人ロバ-トが、この『エンペラーシティー』をうろつき始めた。

 

 だが……このロバ—トの魅力は他の二人の比ではない。


 それは……圧倒的な知能と実力、それに何とも美しい、それこそ……この世の者かと思う程の美しさ。


 このロバ—トという男の狙いは?


 陽葵姫も圧倒される、この男は、何とも魅力的な流し目で陽葵姫を見詰め、うぶな陽葵姫を……とろんとろんに骨抜きにしている。


(姫!ダメ!駄目です!とろりんとなって居る暇はない!しっかりしないと⁈)

 骨抜きにされた陽葵姫。


 この星はどうなってしまうのか?








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る