第14話
『神測。モンスター、バフォメットの発動予定魔法の等級測定……最上位魔法。威力計測……A。測定、計測の際に知り得た情報。闇属性魔法、多数同時詠唱限定。そのため解除時も多数同時中止が必須。中止した場合、詠唱の進行度によって威力が確定。その後自動発動。今回の場合の威力測定……C』
「ということは、もうこれは止まらない。それに、この魔法を撃たれないためには詠唱者を同時に殺さないといけないってことか。……相性最悪だな」
魔法が使えない状態の最大ヒット数は2。
それ以上の数で詠唱をされ始めたら、確定で魔法が発動。
そうなれば俺にやれることは魔法の威力が大したものでないことを祈りながら、魔法陣の外に出る、ということしかない。と思ったのだが……。
「くそっ!」
倒しても倒しても、どこから湧いてきたのかというほど大量に集まったゴーレムたちは怯むことなく、殺されると分かりながら突進。
のろまだが、その図体のデカさと耐久力、防御力で詰め寄られては、なかなか魔法陣の外に移動できない。
ゴーレムをバフォメットが死なないための壁の役割しか担っていないと、勝手に勘違いしてしまっていた。
「このままだとまずい――」
焦りから、ついにゴーレムから一撃をもらってしまった。
攻撃力が低いのか、致命傷となるダメージとはならないものの、俺が態勢を崩したことをいいことに、ゴーレムたちは次から次へとのしかかってきた。
こいつら、自分の命を賭してでも俺に魔法をぶつけたいらしい。
「疲労のことを考えると、しばらく温存したかったが……仕方ない。『超身体強化』」
俺は強化された肉体で、無理やりゴーレムたちをひっぺ剥がす。
だが……。
「ちっ。少し遅かった――」
ようやく解放されたと同時に魔法陣が点滅。破裂音と共に、地面、空中からこれでもかと見えない弾丸が飛び交い始めた。
ゴーレムは勿論、バフォメットの死体すら弾き飛ばすその弾丸の威力は決して威力Cとは思えない。
それに最上位魔法にしては優秀過ぎる点がもう1つ……。
「発動中は、ここから出られないのか」
オロチ本体の縄張りと同じように俺は魔法陣の中に閉じ込められてしまったのだ。
『
「うぐっ! 駄目だ。数が多すぎる!」
見えないというだけで凶悪なこの魔法攻撃だが、それ以上に異常な攻撃回数を持ち合わせているという点が厄介。
俺の持つスキルでは、どうしても1度に撃ち落とせる数に限りがある。
しかも、撃ち落とす度に剣は刃こぼれし、そろそろ剣としての役割を失いそうだ。
まだ竜たちとの戦いが待っていると考えれば、武器はまだ使える状態でとっておきたいのだが。
「こうなれば、時間いっぱいまで避けるしかないか。残り時間は……」
『神測。魔法効果残り5時間。同時着弾数12。対応可能スキル強化まで残り3段階。測定の際、知り得た情報。
「被ダメージに、スキル使用回数か。……なるほど、俺の身体も剣もボロボロになるまでここで我慢しろと。急いでレベルアップする必要があるとは思っていたが、これは本当に地獄だな……『
俺は見えない弾丸を撃ち落としきれないと知りながらも、この状況を打破するためになまくらを構えて弾丸の雨の中突っ込んだ。
……。ここまでのリスクを冒して、レベル上げに必死になるというのは辛いが……絶対に強くなれると知っている分あの時よりも遙かに気持ちが楽だ。
『探索者に向いていない』
「……どんなにがんばっても、だったかな。でも今は頑張れば、耐えれば、それだけ強くなれる。今の俺は探索者に向いているはずだよな、陽葵さん」
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