第3話 その後

 火のインクは夜に活躍した。

 もちろん筆記に使うわけではない。照明としてだ。

 書き物をする際には手元を照らす。

 ベットに入ってからは、机の上から漏れる暖かい光が天井を踊り、心地良い眠りをもたらしてくれた。

 にじいろインクはどう転んでも役に立たない。

 だけど時々、どうしてもあの綺麗な虹色が見たくなって使ってみる。

 つまるところ、私は友人のインクのある生活を楽しんでいた。

 筆記具としてはポンコツでも人を楽しませることができる。まともでなくとも、その個性で勝負する。そんなインクたちの在りかたに、憧れてすらいる自分がいた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

にじいろインク 夏川しおめ @colokke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ