第7話 時雄君(後編)
その後、高架下の変死体事件は立て続けに起きました。
そして、10人目の被害者の時、高架下のトンネルには警察が入り口と出口の両方に常時、2名ずつの警察官が立ち、通行人を見守る事になりました。
10人目の被害者は、彼女と一緒に歩いてきたギターリストの男性でした。ギターケースを背負い、彼女と手を組みながら歩く金髪の男性です。
あれー?これは、これは、お巡りさん!遅くまで、ご苦労さまでぃ~す!
と少し酔い気味に絡み横を通りました。時間は夜12時です。
入り口の警察官は無線で出口の警察官に伝えます。
ジー、、、、
ギターケースを背負った男性と女性の2名が通過!どうぞ!
ジー、、、、
コチラ、02了解!
そして、トンネル内に入ると、それまで普通に付いていた電気が消え、真っ暗な中、10分後に男女が出て来ました。
すると女性の声が聞こえてきました。
ちょっとー!しっかり立ってよー!重たいじゃない!もー!
と嘆いています。
出口の警察官は気になり、トンネル内を見ました。
すると、月明かりの下に出てくるなり、女性が悲鳴を上げたのです!
出口の警察官が女性を男性から離し、すぐに救急車を要請したのです。
男性は痩せ細り、髪の毛も全部、抜けていたからです。
女性はパニックになり、頭を抱えて右往左往しました。
そして、警察官が男性に近寄り、声をかけました。
おい!話せるか?何があったんだ?!
と、、き、、、、お
と話すと男性は気を失ってしまいました。
それから、病院に運ばれて男性は一命を取り戻し入院になりました。
入院して2週間後、警察が男性の元へ面会に来ました。
そして、事情を聞きました。
で、あの日、高架下で何があったのか覚えてますか?
あー、覚えてるよ。けど、話したって多分、信じねーよ。
では、倒れる直前に口にした「ときお」とゆーのは?
名前。ガキの名前!
子供?あなたの?
違う!トンネルの中にいたんだよ!
トンネルの中に?しかし、出入り口にいた警察官からは、子供が出入りする話しは聞いていませんが。
と話すとポケットからスマホを取り、確認の電話をした。
やはり、見てないようです。
まー、だろうなー!だって、ありゃー、人間じゃねーから。多分!
人間じゃない?
すると男性は一服したいからと申し出て、パトカーの中でタバコを1本、吸いながら、ゆっくりと話しだした。
俺も、未だに信じられねーんだけど、現に、入院になってるし、話すよ。
トンネルの中には10歳くらいの男の子がいたんだ。最初は酔ってたから幻覚かなー。と思ったんだけどさー、だって、今時、あんな格好をしたガキなんかいないからさー。
どんな格好ですか?
ほら、戦争時に子供が着てたような。俺もアニメとかでしか見た事がねーから。あれなんだけど、白色のボタンが付いたボロボロの服でさー、ブカブカの紋章がついた帽子をかぶってて、一番、印象的だったのは首から下げた時計だわ!アレだけ、格好に合わず、金ピカで!
う~ん。それで、その男の子がトキオとゆう名前なんですね
そう!で、ソイツが話しかけてきて、付いて行ったのよ。
どこに?
トンネルの真ん中辺りにある路地に入ったら、ある古い建物に。
あー、建物に?路地とか見た事あるか?
後ろの席で年配の警察官はメモを書きながら、運転席にいる警察官に聞いた。運転席の若い警察官は首を横にふった。
それを見て、後ろの警察官は話しを続けた。
もう1本、吸うか?
男性に飲み物とタバコを渡すと男性は続けた。
で、建物に入ると女が4人くらい?いてさ、服は古い水商売の女みたいのを着てて、胸とか開いてて、腕を掴まれて密着してきたんだよ。で、そのまま、奥に連れて行かれると、これまた古風な店の中でさー、誘導されるがまま、椅子に座ったのよ。
そしたら、開店サービスだから。って無料で酒と飯が並べられて、気分が良くなってきたから、そのまま、しばらく飲み食いしたのよ。
警察官は頭を抱えた。
あのだね、結局、どうなったんですか?
うん。それで、飲み食いしてたら、外で爆発音が聞こえて、店内はパニック!
で、また、あのトキオってガキが来て、手を掴まれて、走ったんだけど、周りの家は燃えてるし、悲鳴が、ずっと聞こえてた。
で、着いた場所が防空壕つーんだっけ?そこに着いたら、しばらくして、ユキの声が聞こえてきたのよ。
ユキ?一緒にいた彼女さんかな?
まー、彼女つーか、メンバーつーか。
それから?
で、ユキがいて、それから覚えてねー
なるほど。ありがとう。
と、そんな話しを聞いてから2ヶ月、同様の被害者が4名、現れ、死者も3名になった。
その後、分かったのは事件は必ず、14日の真夜中0時から2時の間で起きるとゆう事。被害者は老若男女を問わず無差別である事。
そして、必ず「トキオ」と名乗る男の子が絡んでいる事だ。
警察は高架下周辺に住む9歳から12歳のトキオ君とゆう男の子がいないか?を調べた。
が、そんな子供はいなかった。
そして、被害者の老人の話しから、連れて行かれた店が終戦前にあったお店だとゆう事が分かり、終戦前に存在したかもしれないトキオとゆう人物を調べた。
すると、第2次世界大戦中、海軍として戦死した大佐の息子にいきついた。
当時、大佐の息子であるトキオ君とゆう男の子には2歳違いの妹がいて、父親の死後、母親は水商売で二人を養っていたが、敵の空軍の爆撃によって職場で亡くなった。
その後、妹と防空壕に逃げたトキオ君であったが、心ない大人が目の前で妹を無残な姿にし、父親の形見である懐中時計を奪い逃走。
その後、あてもなく彷徨ったトキオ君は、遂に行き倒れになっていた事が分かった。
そして、高架下のトンネルは、かつて妹が惨殺された防空壕跡地だと判明した。
その為、事件は寺院の住職の力を借りて解決に向かった。
そして、高架下には花束や線香が供えられ、念仏が唱えられた。
が、未だに時雄君の呪いは残っているかもしれません。
おわり
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