ソフトクリームジャンクション
@ramia294
第1話
今日の映画は、ミステリー。
犯人役の女優さん、
お気の毒。
途中で、お話の結末。
彼女が犯人と分かってしまった私。
映画館を出る私たち。
眩しい空とひんやり秋風。
あなたと私の未来。
ふたりの悲しい結末の予感に、気づかないふりの私。
デート中の私たち。
二人で歩く落ち葉の歩道。
出会ってから、季節を2つずつ過ごし、
互いの思いがより深く、
と、思っていたのに…。
長過ぎる春には、ご用心。
私は、飽きられたのかしら。
隣を歩く彼。
最近無口な彼。
戸惑う私の思いは、つむじ風の中の落ち葉。
彼に届かず、その場をクルクル。
彼の大きな歩幅。
小さな私は、離れないように、小走りで追いすがる。
あなたは、何を考えているの?
あなたの頭の中のミステリー。
ふたりの結末。
悲しい事にならない様に、祈る私。
ふたりの出会いは、スキー場。
の、帰り道。
高速道路のパーキング。
ソフトクリーム販売機。
コーンの上に、上手く巻けない私に、突然差し出された、絵の様に、巻かれたソフトクリーム。
良ければこれをと、爽やかな笑顔。
では、お返しに、これをと私。
私のヘンテコソフトクリームと、交換。
初めて、出会った人なのに、ふたりで笑う不思議な時間。
彼の住む街は、私の街のふたつ隣。
職場は、同じ最寄り駅。
仕事の帰りの偶然の出会い。
これは、運命なの?
ソフトクリームのご縁、
ふたりで食事。
居酒屋デート。
でも、焼き鳥さんの好みが、
1位が、ネギマ
2位が、ツクネ
3位が、私がレバーで彼はボンジリ。
1位と2位が同じ。
これは、運命なの?
お仕事のお休み、週休二日制。
毎週、土日はお休み。
これも、運命なの?
土曜のスキーショップ。
スノボの森をくぐり抜け、
スキー用品を探すふたり。
お揃いのネックゲーター。
次のお休み、ふたりでの日帰りスキー。
ゲレンデを滑るスキーより速く、
近づいていく、
ふたりの距離。
やがて、ふたりは、気持ちを確かめ、恋人になる。
ふたりの生きる道、
仲良く隣に、並ぶ道。
春のお花見の桜の花びらが、私の髪に舞い降り、そっと触れるあなたの指の温もり。
夏の水着の私の素肌の恥じらい。
秋風が、ふたりの間を通り抜け、ふたりの気持ちが冷えない様、
あなたの腕にすがりつく私の腕。
に、込める私の精いっぱいの力
と、あなたへの思い。
そして、冬が、訪れる。
ふたりの冬。
深まるふたりのスキー場のホテルの夜。
ゲレンデのナイターのライト消えて、
雪の降る静かな夜。
降り止まぬ雪の数だけ、あなたの囁く愛の言葉。
尽きる事のない、あなたの言葉。
ふたりの道、
触れ合う。
ふたりの思い、
触れ合う。
ふたりの夜、
そっと、触れ合う。
変わることのない、ふたりの
これからの未来。
と思っていたのに…。
今は、無口なあなたの背中。
見つめる私。
近づく、
3度目の冬。
何度も言葉に出す事を
迷う彼。
新しい道をみつけたのかしら?
ふたりの未来の道、
交わらない2本の道。
離れていく予感の2本の道。
私の最後のわがまま。
あのソフトクリームをもう一度。
高速道路を走るクルマ。
スノータイヤを身につけ、
私を運ぶ白い四駆。
あのソフトクリーム、
やはり上手く巻けない私。
お別れの、
その時くらい、
成長した私を
ひとりでも平気なところを見せないといけなかったのに。
いつまでも、彼に甘えたいと泣く、
私の幼い心。
彼の右手が差し出す最後の優しさ。
絵の様に、巻かれたソフトクリーム。
では、なく。
それは?
その光は?
「なかなか、渡す勇気が出なくて」
それは、指輪。
もしかして…。
「僕と結婚してください」
最近の、彼の無口なミステリー。
犯人は、泣き虫の私でした。
私の未来へ続く道。
あなたの道と
無事合流。
私は、ソフトクリーム。
コーンのあなたの胸に、飛び込む。
(✿ ♡‿♡)
ソフトクリームジャンクション @ramia294
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