第4話 赤子の泣き声


赤子の泣き声 尊い


赤子の泣き声は尊いものである

それは何故か。


普通 泣くということは 過去に向かって泣いている

赤子の泣き声は

未来に向かって泣いているのである


赤子 それは 皮膚が薄いため 赤く見えるから

赤子なのである。

そのちっちゃくて柔らかくて

優しい手のひらは

これからの未来を掴むために 握られる

愛する人の指を 掴んで離さないように 握られる


その顔は お父さんと お母さんの

半分こずつの塊の 結晶だ

じたばたする手足

裸のその体は

何ものをも 受け入れる力を持っている


この子がどう育つかの 鍵は

お父さんと お母さんが持っているだけじゃない

これから出会う幾千人の 人々も

少しずつ持っている


私は赤子に出会う時 必ず笑いかける

赤子はキョトンとしたり 不安そうになったり

笑ってくれたりするものだ

どれもいい どれもありのままで

とても赤子らしいといえる


まだ仮面を被る必要は無い

無垢な 赤子

私はいつもこう語りかける


「おめでとう!幸せもの!」

「辛い時もあるかもしれないが 君の幸せを私は祈る」

そうやって この国の誰もが

赤子に笑いかけられるのならば

この国も まだまだ 大丈夫だと思う

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