Ⅲ
序章
愉快であるから笑うのか、笑うから愉快であるのか。
――理由の探求は無意味。存在証明は全て自明。そうあるがままに笑顔を浮かべれば、銀の匙に始まる生は万事如意。ままならぬことなど何処にもありはしない。
次々と
斯く在れかしと望んだ畢生矛盾なく。女に飽けば、天はひとつ飛ばしで御子を授ける。浅き春の夜に現れた少年は、ふとお濠の月にかけた願いのままの姿。
「人生は楽しいなぁ、修司」
愛らしい羞恥を含んだ返事すら、創世から在る天の音盤に刻まれて。太陽と月が交互に顔を出すように、星々が同じ軌道を辿るように、天は親子にも必然を約束する。
あらん限りの幸福を。万物万象の調和を。
その約束された世界の中では、愛は永遠に手中にあり、花は朽ちることなく、また全ての者が望ましい姿でこう謳うだろう。
――嗚呼、愉しきかな〈
彼の世界は美しく、
彼の世界は寛容で、
彼の世界は愛に満ち、
彼の世界は幸福で、
彼の世界は調和し、
そして、
世界は全て、彼の思うまま。
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