第3話

 家に帰って箱を開ける。


 煙が立ち上って、ボクだけ歳を取る。

 なんて浦島な話はなく、その箱の中には一冊の<本>が入っているだけ。


 取扱説明書のような、マニュアルのような。

 いわゆる、世界の成り立ちと現在までの過程が小説のように綴られていた。


 それは、ボクが救わないといけない世界なのだろうか。

 部屋のベッドに腰掛けて箱の中身を眺めてみた。


「A. ボクは本の1ページ目から順番に読み始めた。

 

 B. 本を閉じて箱に戻しスマートフォンを取り出す。」



A. 世界の謎+1

B. コミュニケーション-1


 ●


 時間が経ち、眠気が襲ってくる。

 ボクは手に持っているそれをベッドの脇に置いて電気を消した。


「朝起きると異世界に転移していた。なんて、

 そんな事が実際に起こればいいのにな。ボクがいなくたって世界の誰も気にしない」


 そんな独り言をつぶやいて、ボクは目を閉じた。


 何故か、今日はすごく寝つきが良くすぐに意識がなくなった。

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